週刊野球太郎
中学、高校、プロ・・・すべての野球ファンのための情報サイト

28年間のプロ野球生活に終止符!日米で8球団を渡り歩いた木田優夫、引退の理由とは……

 投げて、営業して、似顔絵も描く……異色の野球人が遂にユニフォームを脱いだ。

「9月14日、石川県立野球場で行われたBCリーグ、石川ミリオンスターズvs群馬ダイヤモンドペガサスが引退試合となりました。もう2カ月が経つんですね。

 ただ、シーズンが終わってからも、石川でイベントや報告会など結構あってバタバタしています。また、今季はGMを兼任しているので、他の選手たちの契約のことで打ち合わせを重ねたり、野球を辞める決断をした選手の相談にのったりと、球団の仕事がまだまだ残っていることもあって、結構忙しい毎日を送っています」


1986年ドラフトで巨人から1位指名され、プロ野球選手になった木田優夫。以降、日本4球団(巨人、オリックス、ヤクルト、日本ハム)、アメリカ3球団(デトロイト・タイガース、ロサンゼルス・ドジャース、シアトル・マリナーズ)でプレー。さらに2013年からはBCリーグ石川に所属し、1年目は「投手兼営業」、2年目は前代未聞の「投手兼GM」という肩書きでプレーを続けた。そんな異色の野球人が、今年、遂に28年間のプロ野球選手生活にピリオドを打った。決断を促したものとは───?



「引退を決意したのは今年の7月31日、NPBのトレード期限を過ぎてから。これで2014年のシーズン中のNPB復帰の可能性がなくなったので、じゃあ、トライアウトを受けて来年またNPBを目指せるのか? このままの状態でNPBには通用するのか? そのことをもう一度考えました。

 実際に投げてみたら、いろいろタイミング外したりとか、なんとなく投げれるんじゃないかなとは思うんです。でも、仮に僕がどこかのチームの監督だったり、ピッチングコーチだったとして、木田優夫という投手を積極的に使いたいか、と思わせるボールなのかどうかを冷静に考えたときに、去年と今年、BCリーグで投げてきた力量を考えると、そうじゃなくなっているな、と思ったことが一番のキッカケですね。

 特に今年はGMという立場で、他の選手たちにも『NPBやMLBを目指せ! 逆に目指さないんだったら、ここで野球をやる意味はないんだよ』ということをずっと言ってきて、僕自身もそういう気持ちで野球をやっていました。その意味でも、僕自身がちゃんと決断をしなくちゃいけないよな、と考えたわけです」


自著『木田優夫のプロ野球選手迷鑑』の中で、《球団から戦力外通告を受けても、まだまだ野球を続けたいと考えているプロ野球選手は数多くいます。(中略)僕らのようなベテラン選手がBCリーグで復調をアピールしてNPBに復帰することができれば、野球選手としてのキャリアの積み重ね方の選択肢が大きく広がることになるのです》と、BCリーグの意義を語っていた木田。引退した今、改めて思う、独立リーグの意義や課題とは?

「今春、僕は12球団のキャンプ地をまわりました。そのとき、星野監督(当時楽天)が、『社会人野球のチームが減っている中で、ドラフトにかからなかった選手たちはどこで野球をすればいいのか? BCリーグや四国アイランドリーグplusといった今の独立リーグがなくなってしまうと、さらに野球の規模は縮小してしまう』というお話をされていました。

 だから、日本球界のためにも、独立リーグがしっかり残っていったほうがいいだろうな、というのは改めて思いますね。ただ、本当に残っていけるかどうか、っていうのはまた別の話です。

 BCリーグでいえば来年、埼玉と福島にも新たに球団ができ、形の上ではすごく拡大している印象を受けますが、問題点はまだまだいろいろあります。特に地域貢献、地元のために何ができるのか、ってことをもう一度考え直さなきゃいけないんじゃないでしょうか。

 たとえば、僕の所属していた石川ミリオンスターズは、毎年優勝争いして、独立リーグ日本一を2度達成した強いチームです。でも、勝つことが地域のためになるかというと、そう単純な話ではないんです。今年でいえば、前期最下位で、後期に優勝しましたが、実は結果を残した後期のほうがお客さんは入りませんでした。

 つまり、勝つことが集客につながらなかった。じゃあ、勝つこと以外でやらなきゃいけないことは何か? というのを去年からずっと感じていた中で実施したのが、僕の引退試合前日に行った明石家さんまさんの《1日限定コーチ》でした。まあ実際には、僕自身が想定していた以上のことをやっていただいたんですが(笑)、でもあれは、独立リーグだからこそできたこと。


 でもだからこそ、あの1回で終わらせるのではなく、他の独立リーグ関係者一人ひとりが、さんまさんがやってくれたような新しい野球の見せ方、楽しみ方をちょっとでも考えて、来年以降につなげていけたらいいなと思いますね」


(次週へ続く)

■プロフィール
木田優夫(きだ・まさお)/石川ミリオンスターズGM。1968年9月12日生まれ。東京都出身。1987年、日大明誠高からドラフト1位で巨人に入団。1998年、トレードでオリックスに移籍。同年10月にFA宣言し、日本人8人目のメジャーリーガーとしてデトロイト・タイガースに入団。その後は、オリックス復帰(2000〜2001)、ロサンゼルス・ドジャース(2003〜2004)、シアトル・マリナーズ(2004〜2005)、ヤクルト(2006〜2009)、日本ハム(2010〜2012)と、日米7球団を渡り歩く。2013年からは、日本の独立リーグ・BCリーグの石川ミリオンスターズに所属。「投手兼営業」「投手兼GM」の肩書きでプレーした。2014年限りで現役を引退した。

■ライター・プロフィール
オグマナオト/1977年生まれ、福島県出身。広告会社勤務の後、フリーライターに転身。「エキレビ!」、「AllAbout News Dig」では野球関連本やスポーツ漫画の書評などスポーツネタを中心に執筆中。『木田優夫のプロ野球選手迷鑑』(新紀元社)では構成を、『漫画・うんちくプロ野球』(メディアファクトリー新書)では監修とコラム執筆を担当している。近著に『福島のおきて』(泰文堂)。Twitterアカウントは@oguman1977(https://twitter.com/oguman1977)

記事タグ
この記事が気に入ったら
お願いします
本誌情報
雑誌最新刊 野球太郎No.29 2018ドラフト総決算&2019大展望号 好評発売中
おすすめ特集
2019センバツ特集
2019ドラフト特集
野球太郎ストーリーズ
野球の楽しみ方が変わる!雑誌「野球太郎」の情報サイト
週刊野球太郎会員の方はコチラ
ドコモ・ソフトバンク
ご利用の方
KDDI・auスマートパス
ご利用の方