プロ野球2013・「目立たなかった記録」ランキング〜投手編〜
楽天の田中将大がシーズン24連勝、史上初の無敗の最多勝投手など、さまざまなプロ野球記録を打ち立てた2013年。オリックスの金子千尋が沢村賞の基準をすべて満たしていたのに選考委員の誰からも相手にされなかったように、実は他にもたくさんの投手が好成績をあげ、さまざまな記録が生まれたことはあまり知られていない。
そんな「目立たなかった投手記録」の中でも、「リーグ新記録」や「史上初」という偉業の数々をピックアップ。凄いのは田中だけじゃなかった！
日本記録を次々と更新＆樹立！
――岩瀬仁紀（中日）
昨年まで9年連続10セーブで、あの佐々木主浩（元横浜ほか）とタイ記録だった岩瀬が、5月14日の対日本ハム戦で日本プロ野球史上初の10年連続10セーブを達成。この偉業を皮切りに、今年だけでも実に数多くの「日本新」を樹立している。さすがは軒並み大幅なダウン提示だった中日“高給”選手の中で、数少ない「現状維持」だった男である。今シーズン、岩瀬が達成した主なプロ野球記録は以下の通り。
9年連続30セーブ（自身の記録を更新）
10年連続20セーブ（NPB史上初）
15年連続50試合登板（新人時代から）
通算382セーブ（日米最多記録。従来は佐々木主浩の日米通算381セーブ）
「目立たなかった」と言うには語弊がある気もするが、あまりに凄い記録の数々なのに、田中ほど騒がれていないのが不憫なので、今回、上記をまとめて1位とした。
6年連続60試合登板の偉業達成！
――山口鉄也（巨人）
球界を代表する抑え投手でもうひとり忘れてはならないのが巨人の山口鉄也。自身の持つ「5年連続」を更新する「6年連続60試合登板」という偉業を達成。まさに名前通りの「鉄腕」ぶりだ。だが岩瀬同様、自分の記録を塗り替えた場合、なかなか注目してもらえないのが何だか切ない。なお、今季38ホールドを記録し、通算ホールド数は「187」に。これも、浅尾拓也（中日）を抜いて歴代最多記録を更新中である。
もうひとつのプロ野球記録
――山口鉄也（巨人）
今季、山口はもうひとつの日本新を達成している。それが、「1打席の投球数19球」で、プロ野球タイ記録（史上3人目）だった。記録が生まれたのは8月25日の対DeNA戦の8回、鶴岡一成の打席。翌日の紙面ではいずれも「鶴岡が19球粘った」という表現だったが、結果は空振り三振と山口に軍配。その鉄腕ぶりにも敬意を表して、投手編でのピックアップとした。
プロ野球タイ記録の6試合連続S
――涌井秀章（西武）
10月6日の日本ハム戦で記録。6試合連続セーブは小林雅英（ロッテ）、岩瀬（中日）、藤川球児（カブス）、青山浩二（楽天）に次ぎ史上5人目のプロ野球タイ記録。うち6日連続で達成したのは小林雅に次ぎ2人目。来季、ロッテにFA移籍するのが確実視され、「先発確約」を受けていると言われている涌井だが、なんだかちょっともったいない気もしてくる。
「先発完投なし」が107でストップ
――藤井秀悟（DeNA）
4月27日、対ヤクルト戦で藤井秀悟が完投勝利。藤井の完投勝利はヤクルト時代の2002年5月29日の対巨人戦以来11年（3986日）ぶり。せっかく完投勝利をしたにもかかわらず、プロ野球記録を更新中だった「連続先発完投なし」が107でストップしてしまうという形に。その後、8月24日の試合で左ヒジを痛め、登録抹消。そのままシーズンを終えている。復帰を祈願して今回ランクインとした。
今回取り上げた記録は、いずれも、長く続けたからこそ生まれた記録ばかりだ。まさに「継続は力なり」。今シーズンの投手陣では、藤浪晋太郎（阪神）、則本昂大（楽天）、小川泰弘（ヤクルト）、菅野智之（巨人）など新人選手の活躍が目立ったが、初年度だけの活躍に終わらず、先達を見倣って、是非とも息の長い野球人生を歩んで欲しい。
■ライター･プロフィール
オグマナオト／1977年生まれ、福島県出身。広告会社勤務の後、フリーライターに転身。
「エキレビ！」では野球関連本やスポーツ漫画の書評などスポーツネタを中心に執筆中。また
「幻冬舎WEBマガジン」で実況アナウンサーへのインタビュー企画を連載するなど、各種媒体にもインタビュー記事を寄稿している。ツイッター／
@oguman1977
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