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【週刊野球太郎的2017年MIP】主役を食う脇役・今宮健太(ソフトバンク)こそ陰の主役!?

【週刊野球太郎的2017年MIP】主役を食う脇役・今宮健太(ソフトバンク)こそ陰の主役!?

 2年ぶりに日本一に輝いたソフトバンク。パ・リーグのMVPはNPBシーズン記録の54セーブを上げたサファテが受賞。岩瀬仁紀(中日)と藤川球児(阪神)の46セーブを大幅に塗り替え、しかも防御率は1.09。これは多くのファンも納得の戴冠だろう。

 ほかにも、投手陣では最多勝の東浜巨、最高勝率の千賀滉大、最多登板と最優秀中継ぎの岩嵜翔、野手陣ではキャプテンとしてチームを引っ張った内川聖一、本塁打と打点の二冠に輝いたデスパイネ、打率2位、本塁打3位、打点2位の柳田悠岐、声出し番長の熱男こと松田宣浩と目覚ましい活躍を見せた選手は五指に余る。

 そんなスター揃いのソフトバンクのなかにもう1人、代えのきかない男がいる。それが今宮健太だ。「最も印象的だった選手」を独断で選ぶ『週刊野球太郎的MIP』には、敢えて今宮を挙げたい。

進化が止まらない今宮は、主役を食う脇役


 今宮の持ち味といえば、まず守備だ。今オフも5年連続となるゴールデン・グラブ賞を受賞した。今季の失策数は140試合に出場してわずかに7。ついに自身初となる1ケタ台に到達している。

 近年の名遊撃手では、宮本慎也(元ヤクルト、遊撃部門でゴールデン・グラブ賞6回)、井端弘和(元中日ほか、同7回)の名前が挙がるが、宮本は2003年に遊撃手として140試合に出場して8失策。井端は遊撃手として140試合以上に出場したシーズンが5回あり、いずれも年間4から8失策しかしていない。今宮の守備力は、この名手の域に近づきつつある。

 近年は、セイバーメトリクスなどの広まりで守備に関する指標も多角的に示されるようになってきた。失策数が守備力のすべてではないという見方もあるが、やはりアウトにすべき打球をきっちりアウトにできているからこその失策の少なさだ。投手に安心感を与えるという意味でも、その功績は大きい。

 そして、今宮のもうひとつの持ち味が犠打だ。昨年、史上最年少で200犠打を達成したバントの上手さは、今季も健在。リーグ最多の52犠打を記録している。プレッシャーのかかる場面でのバントは、想像を絶する緊張感がある。それを、いともたやすく一発で決める技術と強心臓。柳田が出塁し、今宮が送って先取点という形を何度も作った日本シリーズが、記憶に新しいところだろう。

 また今季は、守備と犠打以外でも進境が見られた。打率.264、14本塁打、64打点は、いずれもキャリアハイ。さらに加えれば、139安打、7三塁打、27二塁打、得点圏打率.293、15盗塁も自己記録を更新している。

 堅実な守備、そして日本一のつなぎ役でありながら、パンチ力とスピードも秘める。ソフトバンクのなかでは脇役と言わざるを得ないが、ときに主役を食う存在感を放ったのが今季の今宮だった。

胸を打つデスパイネの全力疾走


 MIPという視点では、もうひとり、同じソフトバンクからデスパイネを挙げておきたい。上でも触れたように、今季は35本塁打、103打点で二冠を獲得。打率は.262と前年より落としたものの、ポイントゲッターの役割は十分に果たした。

 また、その打撃に劣らず印象に残ったのが全力疾走だ。ロッテ時代から真摯なプレースタイルには定評があったが、移籍してからもその姿勢はまったくブレていない。ボテボテの当たりでも、95キロの巨体を揺すって一塁までフルスロットルで駆け抜ける姿は、足を痛めやしないかと、見ている方が心配になるほど。とくに、無死あるいは1死で一塁に走者がいる場合の内野ゴロでは、併殺を避けようと必死で走っているのが伝わる。

 スリムなスピードタイプならともかく、巨漢のスラッガータイプで、ここまで全力疾走する外国人選手がかつていただろうか。若手の見本となる、あるいはチームの士気を高めるという点において、この全力疾走を怠らない姿勢は、強打に勝るとも劣らない貢献度があり、そして胸を打つものがある。


文=藤山剣(ふじやま・けん)

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