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糸井嘉男に続いて糸原健斗も離脱濃厚。キツい後半戦、阪神に差す光明はルーキー・小野泰己と西岡剛だ

糸井嘉男に続いて糸原健斗も離脱濃厚。キツい後半戦、阪神に差す光明はルーキー・小野泰己と西岡剛だ

 ベンチでじっと一点を見つめ、微動だにしない阪神・金本知憲監督の姿が、すべてを物語っていた。

 7月19日の広島戦(甲子園)、阪神は7回裏に西岡剛のタイムリーで同点に追いついた。しかし、8回表にリリーフしたマテオが4失点と打ち込まれると、緊張の糸が切れたようにマテオの後を継いだ山本翔也も連打を食らい4失点。終盤で大量失点を喫した。

 オールスター明けの首位・広島との3連戦。この直接対決直前で8ゲーム差をつけられていた阪神は、優勝争いに加わるためには少なくとも勝ち越すことが必須条件であった。

 7月19日、1勝1敗で迎えた3連戦の3試合目。勝って7ゲーム差に詰め、首の皮一枚つなげるか。それとも9ゲーム差をつけられ優勝戦線から脱落するか。大事な一戦であることは阪神の誰もが承知していた。

糸井に続き成長著しい糸原も離脱か


 この試合、金本監督がベンチで見せた落胆ぶりは、首位・広島に力の差を見せつけられ、連日の大量失点で完敗したことだけが理由ではない。

 8回表の守備でルーキー・糸原健斗が捕球の際、右膝を故障。歩くことすらできず担架で運ばれ、離脱が決定的になったことにも起因している。

 ここ数試合の糸原の活躍には、目を見張るものがあった。

 7月9日の巨人戦で4安打を放ってから7月19日の広島戦まで、15打数11安打2四球、打率.733、出塁率.764を記録。打撃において何かをつかんだ矢先のアクシデントだった。

 このまま長期離脱となれば、チームにとっても、また遊撃のレギュラーの座を手繰り寄せつつあった糸原自身にとっても、非常にダメージが大きい。

 そして、離脱が危ぶまれるのは糸原だけではない。

 3連戦の初戦で途中交代した糸井嘉男も「右わき腹の筋挫傷」で登録を抹消され、短期間での復帰は難しいと見られている。

勝ち星が未だない小野泰己への期待


 ただ、この試合では後半戦に向けて、明るい兆しがなかったわけではない。終盤、頼みの救援陣が炎上した状況にあって、唯一救いとなったのがドラフト2位ルーキー・小野泰己の好投だ。

 先発を務めた小野は4回まで広島の強力打線を無安打に封じ込め、与えた四球も2つ。勝利投手の権利が得られる5回表も1安打で切り抜けた。

 広島の打者が3巡目となる6回表は、先頭の田中広輔を空振り三振に抑えたまではよかったが、後続の打者に甘く入ったところを連打され降板となった。

 小野はこれまで8試合に先発して0勝5敗と勝ち星にこそ恵まれてはいないが、試合を作ることで先発としての最低限の役割は果たしていた。登板のたびに何かをつかんで、再びマウンドに上がる。その繰り返しでここまできている。

 常にポーカーフェイスでマウンドでは何事にも動じない小野。未だ勝ち星は手にしていないが、一歩ずつ階段を昇り、成長を続けている。後半戦は、ルーキー・小野が投手陣のキーマンになるに違いない。


西岡の存在がチームの沈滞ムードを払拭する


 前半戦を、これといった故障者なく戦ってきた阪神。しかし、独走し始めた広島に食らいつきたい正念場にきて糸井が登録抹消。加えて、成長著しい糸原まで離脱となれば、後半戦への追撃ムードが萎えてしまうことにもなりかねない。

 そんなに不穏なムードにあって、復帰した西岡がベンチのナインを鼓舞している。この3連戦の初戦のお立ち台で梅野隆太郎が熱く語った。

「西岡さんが帰ってきて力となり、チーム一丸となっている」

 糸井、福留、鳥谷が引っ張ってきた前半戦。ここからは、その役目を西岡が一身に受け、ベンチの沈滞ムードが一新されれば……。

 後半戦は、やはり西岡の存在感がチームの行方を大きく左右しそうだ。


 文=まろ麻呂
企業コンサルタントに携わった経験を活かし、子供のころから愛してやまない野球を、鋭い視点と深い洞察力で見つめる。「野球をよりわかりやすく、より面白く観るには!」をモットーに、日々書き綴っている。

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