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本当はもっと凄いヤツ…李大浩(オリックス・バファローズ)

 今季、9月15日現在で125試合に出場し、打率.302、22本塁打、74打点。来日1年目の昨年は144試合の出場で、打率.286、24本塁打、91打点。ほぼ昨年に近い数字で終わりそうな李大浩(オリックス)を見ながら、スッキリしない感じをこのところずっと抱えている。もっと凄いはずなのだ、この男は。それが…。

 去年もそうだった。夏前から7月頃にかけて調子を上げ、夏の大爆発を期待したら、8月、9月がジリジリと下降線。今年も同じパターンで、7月あたりまでは後半の爆発があれば三冠王の可能性さえ感じていた。しかし、8月に乗り切れず、9月もその流れで淡々と打席を重ね、残りも20試合を切った。昨年と今年、2年間の姿を思い出すと、よく言えば大きな波はなかったが、一方で爆発力に欠けるタイプに映った。

 しかし、そんな李大浩を見ながら思ったのは、上位争いをしているチームにいれば、この安定感は大きな評価になっていたのだろう、ということだ。



 言わずと知れた、韓国の元三冠王。打率、打点、本塁打の中で、最も李大浩のイメージに合うのは打点だろう。昨年も来日1年目で91打点を挙げ、タイトルを獲った。しかし、この点でも本人に大いに同情すべき点がある。昨年は1番を打つ坂口智隆が肩の脱臼で6月に戦線離脱したが、今年も1番・坂口、3番・後藤光尊、あるいは5番を予定していたT−岡田らが揃って不調、あるいは故障で1軍から姿を消した。

 李大浩は昨年の144試合、今年ここまでの125試合と全試合で4番を打っている。こんな選手は12球団でもこの男だけだが、いかんせん前を打つ選手が頼りない。

 昨年のオリックスでは、1番を打った選手が12人、2番も12人、3番が7人…。今年も1番を11人、2番を11人、3番を4人。まさに1番から3番が代わる代わるの状態なのだ。当然、出塁率がいいわけがなく、逆に言えば、その中で昨年は打点王、今年も一定の数字にまでは持って来ている。ただ、もっと秘めたるものがあるはずなのだ…。

 2年間を見て、李大浩が腹の底から喜びを表したり、悔しがったり、感情を爆発させる場面を目にした覚えがない。もちろん、本人の穏やかな性格によるところが大きいのだろうが、思うのは、これまで様々な経験を積んできたスラッガーが、心の芯から昂ぶりを覚えるような場面、ペナントレースの戦いがこの2年のオリックスにはなかったということだ。

 オリックスは来年、本社が創業50周年の節目を迎える。2010年に岡田彰布氏を監督を迎えたのもそこへ向けた常勝軍団作りへの一歩だった。大枚をはたいての李大浩獲得もまた同様。しかし、岡田氏は昨年限りでユニフォームを脱ぎ、チームは昨年、今年と早々に最下位に沈む戦い…。

 そして、李大浩の契約も今年で切れる。もし、オリックスが手応えのあるシーズンを重ねていたなら、当然、総力を挙げて来季へ向けた残留交渉に入っていたはずだが、そのあたりもどうなっているのか。

 関西では夏場あたりから、阪神が来季の4番として興味を持っているという報道が何度か流れた。オリックスを去るとしたら、もちろん、残念なことだ。ただ…。李大浩のまだまだ眠っている能力を引き出せるのはこのチームではないのかもしれない。そんな思いが何度も浮かぶようにもなっている。

 ちなみに今年ここまでの李大浩の成績は、セ・リーグの打撃成績で見比べると、マートンの数字に近い(打率.303、本塁打16、打点75)が、脚光の浴び方はまさに天と地ほどの差がある。それがいいか、悪いか、本人が望むか、望まないかは別として。ユニフォームを替えた、環境を変えた李大浩を見てみたい、「本当はもっと凄いヤツ」李大浩の本領を見てみたい…。実に淡々と秋の戦いを重ねる李大浩にそんな思いが強くなっている。果たして来シーズン、この男にどこで会えるのだろう…。


ライタープロフィール
谷上史朗(たにがみ・しろう)…1969年生まれ、大阪府出身。関西を拠点とするライター。田中将大(楽天)、T−岡田(オリックス)、中田翔(日本ハム)、前田健太(広島)など高校時代から(田中は中学時代から)その才能に惚れ込み、取材を重ねていた。

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