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日本シリーズ2013・ゲスト解説者ランキング

 楽天が球団創設初の日本一を達成して、幕を閉じた2013年のプロ野球。思えば日本一になるまでの道のりは長く、険しいものだった。巨人と楽天が万が一、CSファイナルステージで敗退していたら、この物語は達成されなかった。そのCSを含めたポストシーズンゲームは開催球場が限られ、さらに日本シリーズはチケット入手が困難だったために、現地観戦は叶わずにTVにかじりついて試合を見守ったプロ野球ファンも多かっただろう。

 「なんでも」ランキングにしてしまうこのコーナー。今回はその余韻が冷めないまま、日本シリーズTVゲスト解説者の評判をふまえたランキングを敢行しよう。今年は特に、MLBのポストシーズンのTV解説者として川?宗則(ブルージェイズ)が登場。抱腹絶倒のしゃべりを聞かせてくれたこともあり、個人的にはNPBの日本シリーズ・ゲスト解説者のしゃべりにも注目していた。普段はインタビュー時にしか話を聞く機会がない、現役選手によるゲスト解説は“見物”ならぬ“聞き物”。さっそく振り返ってみよう。


前田健太(広島)
人気・実力ともにNo.1。その丁寧なしゃべりにも定評があった

 なんといっても、Twitterなどのネット上で大好評だったのが前田健太(広島)。10月31日の第5戦に登場したマエケンは放送当日の朝、自身の公式ブログ「あったりまえけん絶対負けん」で解説することを告知。同じ解説陣にPL学園の大先輩・立浪和義がいるなかで、堂々の解説者っぷりをみせてくれた。

 アナウンサーの「前田さんならこの場面、どういったことを想定して投球しますか?」といったフリに対しても的確にコメント。例えばエラーでランナーが出塁した場面では「エラーのランナーは野手に責任を感じさせてしまうので、絶対(ホームに)返さないように投げる」と、自身の経験に基づく話で視聴者を納得させた。事実、シーズン中に同じチームの三塁手・堂林翔太がエラーした場面で、そのピンチを抑えたこともあるマエケン。他にも「投手がランナーの時は確実に二塁で殺す」といった、投げるだけではなくフィールディングにも言及する、玄人受けする解説は大好評だった。

 そして、最も印象に残ったコメントが「チーム(広島)で日本シリーズに出たい」というひと言。来年の日本シリーズには是非とも、その夢を叶えて欲しいものだ。

ダルビッシュ有(レンジャーズ)
思ったより大人しかったその理由は?

 そのマエケンの解説の前日、第4戦にゲスト解説を務めたのがダルビッシュ有。テレビに登場する前には、一部のパパラッチ(プライベート写真などを撮影して生計を立てるカメラマン)と起こしたカーチェイスを、Twitterで吐露したダルビッシュ。その一挙手一投足が注目を浴びる人物なだけに、その解説っぷりが注目された。

 自身が日本ハム時代に初出場した日本シリーズの思い出を聞かれると「必死でした」と答え、またメジャーで対戦成績もある巨人・ロペスに対しては、その時の印象を語るなど、聞き応えのある解説を展開。

 しかしネット上の評判は「思ったより大人しい」「もっと上から目線だと思った」といった、少し肩すかしを喰ったような評判が目立った。

 その理由は放送終了後の自身のTweetで明らかになる。「日本シリーズの解説終わりました!長かったー! てかやっぱり日本の野球見てないのに解説は厳しいと痛感。。 」というつぶやきは、野球に対して真摯な態度をみせる、ダルビッシュらしいつぶやきといえるのではないだろうか。

能見篤史(阪神)
やっと登場! CSでも解説でも登板機会が危ぶまれた

 ネット上で意外な盛り上がりをみせたのは、第3戦のゲスト解説として登場した阪神の能見篤史。広島とのCS1stステージを思い出して欲しい。第3戦に先発予定も、阪神が連敗したおかげでCSのマウンドに立たないまま、今シーズン終了となってしまった。

 その能見に、さらなる不運が襲う。続くセ・リーグCSファイナルステージの巨人vs広島ではTV中継のゲスト解説のオファーが届いた。しかし、その出演依頼は第4戦。ご存じの通り、巨人が広島を3タテしてしまったせいで、能見の出演は幻となってしまったのだった。

 そんなこんなでシーズン最終登板も流れ、CSでのテレビ解説も流れ…と、散々だった能見。やっとのことで、東京ドームでの日本シリーズ第3戦のテレビゲスト解説が実現した。ファンだけでなく、能見自身もホッとしたのではないだろうか。


 他にも、今シーズン限りで引退を表明した山?武司(中日)や宮本慎也(ヤクルト)など、長い現役生活に裏付けされた、含蓄のある解説は視聴者を唸らせた。宮本慎也は不振に終わった巨人のキャプテンである阿部慎之助を、自身のキャプテン経験をふまえながら、そのつらさを解説。山?武司は楽天に在籍したこともあり、独特の「声質」で、印象的な解説を展開してくれた。

 その山?と一緒に、副音声ながら解説していたのが亀梨和也(KAT-TUN)。ファン目線に徹し「本当に野球が好きなんだな」と感じさせるコメントを続けていたのは、ネット上でも概ね好評だった。


番外編:わけが分からない組み合わせ? 石田純一と東尾修のW解説


 その亀梨と同じく、番外編として芸能人のゲスト解説者を挙げて、今回のランキングを締めようと思う。10月26日の第1戦、ラジオ局の文化放送で実現した奇蹟のゲスト解説者が、芸能人の石田純一と元西武ライオンズ監督・東尾修の「義理の親子」解説だ。

 単なる話題作りでは? と受け取るプロ野球ファンも多かったようだが、実は石田純一は結構な野球通。自身は都青山高ではエースで四番を務め、その放送中には義父の東尾の解説にフォローを入れる野球狂ぶりをみせた。特にメジャーリーグに精通している石田は、楽天のアンドリュー・ジョーンズがいかにスゴイ選手だったかを説明するなど、完全にプロ野球解説者・東尾修の「お株」を奪う格好になってしまった。さらに東尾の娘でもあり、石田の妻でもある理子さんまで電話出演するという、カオス状態になってしまったのだった。


 普段の慣れた言葉のうまい解説者とは異なり、現役プレイヤー目線での解説は取材では聞くことができない選手心理や細かい判断について、選手だからこそ知り得る情報など、上記のようないつもとは違う放送になるだろう。

 もちろんレギュラーシーズンも担当している解説者はわかりやすい解説をしたり、面白い話ができたりする人が多い。そして、元プロらしい経験談に加え、監督・コーチ経験者はそれぞれの職務でしかわからない話もできる。テレビを見ながらだと、けっこう聞き流してしまうことが多いが、じっくり聞くとけっこういい解説をしている解説者に気づくものだ。

 地上波全国放送でテレビ中継は限りなく少なくなってしまったが、BS、CS、ローカル放送でほぼ全試合の中継があるので、むしろ解説者の需要は増えてきている(同時にプロを引退している選手もどんどん増えるが…)ところだ。

 もちろん野球そのものが楽しめれば申し分ないが、プロとして出てくる解説者の言葉にも耳を傾けてはいかがだろうか?


■ライター・プロフィール
鈴木雷人(すずき・らいと)…会社勤めの傍ら、大好きな野球を中心とした雑食系物書きとして活動中。"ファン目線を大切に"をモットーに、プロアマ問わず野球を追いかけている。Twitterは@suzukiwrite

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