週刊野球太郎
中学、高校、プロ・・・すべての野球ファンのための情報サイト

【投手の“投げすぎ問題”を探る】岩嵜翔、秋吉亮に不安…。「酷使」の境目は70試合登板か?

文=勝田聡

【投手の“投げすぎ問題”を探る】岩嵜翔、秋吉亮に不安…。「酷使」の境目は70試合登板か?
 近年のプロ野球は投手の分業制が進み、継投策を用いることが当たり前となった。2004年まで19度(16人)しかなかった70試合以上の登板が、2005年以降に急増している。2005年はちょうど阪神のジェフ・ウィリアムス、藤川球児、久保田智之による「JFK」が結成された年でもある。調べてみると、この年を境になんと2005年から2018年までの14年間で40度(31人)も70試合以上の登板が記録されているのである。

 と同時に「酷使」という言葉をよく耳にするようになった。もちろんこれは、登板数だけで計ることができるわけではない。投球数や登板間隔といったことも加味しなければならない。だが、今回は「酷使」の一つの目安として「70試合」という登板数に注目してみる。

 近年で70試合以上に登板した投手たちは、それ以降にどのような成績を残しているのだろうか。

昨シーズン70試合以上に登板したのは6名


 今から2年前となる2017年シーズンで唯一、70試合に到達した岩嵜翔(ソフトバンク)。大ブレイクを果たし、リーグ制覇、日本一に大きく貢献したことは記憶に新しい。しかし、昨シーズンは開幕早々に登録抹消から右ヒジの手術を受け、シーズン中の復帰はならなかった。

 2016年は秋吉亮(ヤクルト)、マシソン(巨人)の2人が70試合に登板した。2015年は74試合と2年連続で70試合以上登板した秋吉は、2017年から苦しんでいる。2017年に途中離脱となり43試合の登板にとどまると、昨シーズンも不振でキャリアワーストとなる35試合の登板に終わってしまう。また防御率も2016年から2.19→3.35→4.23と悪化しており少々気がかりだ。このオフに日本ハムへ移籍しているが、復活なるだろうか。

 一方のマシソンは2017年こそ59試合で27ホールドをマークし、防御率2.24と例年と変わらぬ働きを見せてくれた。しかし、昨シーズンは後半戦開幕後に左膝痛で離脱すると、そのままシーズン終了まで復帰できなかった。今シーズンは復活が期待されているものの、ウイルスの罹患により合流が遅れている。

 ここ2年、70試合以上に登板した投手は2年以内に故障し成績が悪化しているという事実がある。

藤川球児や平野佳寿はその後も好成績を残す


 もちろん70試合以上に登板した投手全員が故障しているわけではない。逆にレジェンド級の成績を残している選手も多くいる。

 その一人が藤川球児(阪神)だ。前述の通り、藤川は2005年に80試合に登板し、7勝1敗1セーブ、46ホールド、防御率1.36と「JFK」の一角として結果を残した。そして、翌2006年は反動がくるどころか成績を向上させる。63試合に登板し防御率0.68を記録したのだ。

 さらに2007年は71試合に登板すると守護神として46セーブ、防御率1.63と圧倒的な数字を残した。2008年も63試合で防御率0.67と、2度あった70試合以上登板の翌シーズンはともに防御率1点台を切っていたのである。

 そこからはMLB移籍後の2013年にトミー・ジョン手術を受けたが、NPBに復帰後は再び中継ぎとして好成績を残している。今シーズンは39歳となるが、クローザーとして起用される可能性もあり、まだまだ現役で活躍してくれそうだ。

 また藤川と同じくメジャーリーガーとなった平野佳寿(ダイヤモンドバックス)もそうだ。オリックス時代の2011年(72試合)、2012年(70試合)と2年連続で70試合以上の登板となったが、成績は大きく悪化しなかった。2015年こそ不振で33試合の登板にとどまり、防御率4.06と結果を残せなかったが翌2016年からは復活。昨シーズンから活躍の舞台をアメリカに移すまでの存在となった。

 その他にも増井浩俊(オリックス)や武田久(日本ハム)といったクローザーも70試合以上の登板後に成績を悪化させていない。

 このように70試合以上の登板があっても、成績を悪化させず結果を残す選手もいれば、故障により戦列を離れてしまう選手も存在する。昨シーズン70試合以上に登板したのは6名だった。74試合の近藤一樹(ヤクルト)を筆頭に、加治屋蓮(ソフトバンク)が72試合、石山泰稚(ヤクルト)が71試合に登板。砂田毅樹(DeNA)、益田直也(ロッテ)、高梨雄平(楽天)の3人が70試合で続いている。各選手ともにチームに欠かせない存在だ。

 今シーズンも彼らが故障することなく中継ぎの柱、クローザーとして君臨し、故障なく藤川や平野のようなタフな活躍ができるだろうか。

なお最後に試合数の推移についても付記しておきたい。1995年までは年間130試合で、そこから徐々に増え、2005、2006年には146試合まで増えた。現在は微減し、2018年は年間143試合が行われている。試合数の増加が登板数増加の背景の一つだろう。

■2018年登板数ランキング
(※70試合以上)

74試合:近藤一樹(ヤクルト)
72試合:加治屋蓮(ソフトバンク)
71試合:石山泰稚(ヤクルト)
70試合:砂田毅樹(DeNA)
70試合:益田直也(ロッテ)
70試合:高梨雄平(楽天)

文=勝田聡(かつた・さとし)

記事タグ
この記事が気に入ったら
お願いします
本誌情報
雑誌最新刊 野球太郎No.31 2019夏の高校野球&ドラフト大特集号 好評発売中
おすすめ特集
2019夏の甲子園特集
2019ドラフト特集
野球太郎ストーリーズ
野球の楽しみ方が変わる!雑誌「野球太郎」の情報サイト
週刊野球太郎会員の方はコチラ
ドコモ・ソフトバンク
ご利用の方
KDDI・auスマートパス
ご利用の方