週刊野球太郎
中学、高校、プロ・・・すべての野球ファンのための情報サイト

年末年始プロ野球特番TVウォッチャー「テレビ出演で男を上げた選手ランキング」

 「珍プレー好プレー大賞」のナレーションにみのもんたが復活し、「とんねるずのスポーツ王は俺だ」で中村剛也、西岡剛、中田翔、浅村栄斗の大阪桐蔭高出身選手が勢揃いして縦社会の厳しさを垣間見せるなど、実に見どころが多かった年末年始の野球関連番組。その中から、選手たちが見せた「男気」の印象度でランキングを作成。年末年始、男っぷりを上げたのは果たして誰でしょうか?


清原和博「母に捧げるホームラン」
――31日放送『大晦日スポーツ祭り!KYOKUGEN2013』より

 ちょうど1年前、2012年の大晦日でも「息子のためにホームランを打ちたい」と特訓を重ね、盟友・桑田真澄(元巨人ほか)から見事にホームランを放った清原和博(元西武ほか)。今年は病に伏せる母を元気づけるためにホームランを見せたいと、生中継で村田兆治(元ロッテ)・北別府学(元広島)・西崎幸広(元日本ハムほか)・阿波野秀幸(元近鉄ほか)というプロ野球史にその名を残すレジェンドたちとホームラン対決を演じた。

 最後の最後、阿波野相手にレフトポール際へのホームランを放つ清原。放送終了10分前、土壇場に追い込まれた状況で生まれた打棒は、NPB史上最多となる12本のサヨナラホームランを放ってきた、「ここ一番に強い」男の面目躍如だった。

村田兆治「史上最速の64歳」
――31日放送『大晦日スポーツ祭り!KYOKUGEN2013』より

 その清原を相手に、3打席3三振の快投を演じたのが、11月末に64歳になったばかりのマサカリ投法・村田兆治。球速表示こそなかったものの、昨年夏の始球式で記録した球速135キロの球と遜色のない豪速球を披露。さらには伝家の宝刀フォークボールも健在だった。

 また、ニクい演出だったのが、村田の球を受ける捕手をかつての恋女房・袴田英利(元ロッテ)が務めたこと。「俺のキャッチャーはお前しかいない」と、現役引退も同じ日だった二人。その黄金バッテリーが一夜限りの復活を果たしたのだ。番組中、「人は誰しも『人生』というマウンドに立っている」というナレーションが流れたが、村田兆治にとって、まだまだマウンドは勝負すべきステージなのだ、ということを痛感した夜となった。

斎藤隆「みんなの兄貴分」
――24日放送『中居正広のプロ野球魂』より

 日本一に輝いた楽天投手陣はテレビ番組でも人気者。その中で、若手メンバーのフォローに務めていたのが43歳、チーム最年長の斎藤隆だった。

 特に印象的だったのが、『中居正広のプロ野球魂』での立ち居振る舞い。メジャーも知り、番組ゲストの古田敦也(元ヤクルト)や長嶋一茂(元ヤクルトほか)らの時代から現役を続ける男だけに、昔とどう変わったか、海外とどう違うか、他チームとどう違うかを丁寧に説明。新人王を獲得した則本昂大のフォーク習得の裏には斎藤隆のアドバイスがあったことが判明し、さらには田中将大のスプリットがいかに凄い球かもわかりやすく解説。そして、この場にはいない星野仙一監督を立てる気配り力も見せつけた。

 また、口ベタで日本球界の事情を知らないレッドソックス・田澤純一へのフォローがとにかく巧い! 将来の名コーチ誕生の瞬間を見たようだった。

松井秀喜・河野和洋「21年後の第6打席」
――31日放送『大晦日スポーツ祭り!KYOKUGEN2013』より

 1992年夏の甲子園、星稜高vs明徳義塾高戦で生まれた伝説の「松井秀喜5打席連続敬遠」。あれから21年後の大晦日、因縁の対決の「続き」が演じられた。

 打席には松井秀喜(元巨人ほか)。そしてマウンドには、あの試合で一度もストライクを投げることなく5つの敬遠を許した河野和洋さん。

 果たして、21年ぶりの対戦結果はフルカウントの末の四球となった。2つのストライクはいずれも見逃し。21年前、20球中一度もバットを振ることはなかった松井は、今回も一度もバットを振らなかったのだ。

 恐らく、だが、6球目がストライクであっても松井はバットを振らなかったのではないだろうか。バットを振るチャンスすらなく甲子園を後にするしかなかった当時の悔しさ。そしてその後、日本球界不動のホームラン打者となり、MLBヤンキースでも4番を務めた男だからこそ、易々とバットを振るわけにはいかない……そんな松井の男の意地を感じることができた対戦だった。

番外編/辻内崇伸、細山田武史、山室公志郎、安斉雄虎「クビになった男達」

――30日放送『プロ野球戦力外通告』より

 特番となって10回目の放送となった年末の風物詩『プロ野球戦力外通告』。今年も、妻が妊娠中、亡き父のために、トライアウト5日後に結婚……など、波瀾万丈の家族のドラマが描かれていた。

 その中で、唯一2014年もプロ野球選手の座にとどまることができたのが細山田武史。ソフトバンクの育成選手として契約を果たした。


※ユニフォームはDeNA時代の細山田武史

 他の3選手のうち、安斉雄虎(元DeNA)は現役続行を模索するも、辻内崇伸(元巨人)、山室公志郎(元ロッテ)は現役引退を決意。仕事探しの様子も描かれていた。人生の決断の瞬間を見せてくれた勇気に拍手を送りたい。

田中将大・野村克也「原点の二人」
――31日放送『大晦日スポーツ祭り!KYOKUGEN2013』より

 2013年、24連勝という圧巻のシーズンを送った田中将大。ポスティング移籍が球団から承認され、恐らく最後になるだろう楽天ユニフォーム姿を大晦日に披露した。

 通常の「ストラックアウト」とは異なり、徐々に投げられる範囲が狭くなるストライクゾーンに持ち球10球全て投げ切ることができるか、というゲームに挑戦。ここで田中がこだわったのが「原点」と呼ぶ外角低めだった。

 なぜ、外角低めを「原点」と呼ぶのか。プロに入って最初に野村克也監督に教えてもらったのがアウトローの大切さ。「ここに投げられなければプロの投手としてダメだ」という野村の教えこそが、自身の「原点」だと示した。

 日本シリーズ以降、コースを意識して投げるのは初めてという田中。当初は枠外にばかり投げていたが、追い込まれるほど制球が定まっていく。これこそ、ピンチになるとギアチェンジする田中将大の真骨頂。そして、最後に見事「原点」であるアウトローに投げ込み、チャレンジを成功させた。

 すると突然、「よう、そこのヘボピッチャー」の声。声の主は田中の“日本最後の1球”を受けるためにやって来た恩師・野村克也氏。日本最後の1球であり、田中から野村への感謝の投球。2013年を締めくくるにふさわしい1球だった。


 また1月12日には、こちらも毎年恒例『プロ野球オールスタースポーツフェスティバル』が放送される。田中将大が里田まい夫人と出会ったと言われる番組だけに、今年はどんな「縁」があるのかにも注目してみてはいかがだろうか。


文=オグマナオト/1977年生まれ、福島県出身。広告会社勤務の後、フリーライターに転身。「エキレビ!」では野球関連本やスポーツ漫画の書評などスポーツネタを中心に執筆中。また「幻冬舎WEBマガジン」で実況アナウンサーへのインタビュー企画を連載するなど、各種媒体にもインタビュー記事を寄稿している。ツイッター/@oguman1977

記事タグ
この記事が気に入ったら
お願いします
本誌情報
雑誌最新刊 野球太郎No.32 2019ドラフト直前大特集号 好評発売中
おすすめ特集
2019ドラフト指名選手一覧
2019ドラフト特集
野球太郎ストーリーズ
野球の楽しみ方が変わる!雑誌「野球太郎」の情報サイト
週刊野球太郎会員の方はコチラ
ドコモ・ソフトバンク
ご利用の方
KDDI・auスマートパス
ご利用の方