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リーグ優勝したチーム同士が日本シリーズに出場することが決定!

 東京ドームでは点差以上にその“実力差”を見せつけた巨人が、2年連続34度目の日本シリーズ進出を決め、Kスタ宮城では粘るロッテを振り切った楽天が、球団創設以来初の日本シリーズ進出を決めたクライマックスシリーズ・ファイナルステージ(CSファイナルステージ)。プロ野球ファンは改めて、短期決戦の面白さを十分に堪能できたのではないだろうか。前回に引き続き、CSファイナルステージ期間中の監督や選手たちの「コメント」を中心に振り返ってみる。

【セ・リーグ編】
◎10月16日(水)
第1戦:巨人3-2広島
巨人・坂本勇人「もう細かいことを気にしても仕方ないと思った。開き直った」

 苦戦を予想された広島が2点を先制した第1戦。そこまで力投を続けていた広島先発・大竹寛は6回裏2死、巨人・坂本勇人に対峙した際、スパイクの紐を結び直した。その間、1分以上…。そこで坂本は配球を考える時間もあったが、あえてコメント通りに「開き直った」という。結果、値千金の同点本塁打を放った坂本。シーズン終盤の不調を引きずり、前の打席では無死満塁で三振するなどファンの期待を裏切り続けていた男が結果を出した。

 一方の広島は9回表2死一、二塁のチャンスに菊池涼介がこの日4本目となる内野安打を放つも、三塁をオーバーランした赤松真人がタッチアウトで試合終了。「難しい判断だった」とは赤松。「あそこは仕方ない」とコメントしたのは野村謙二郎監督。巨人に対してはレギュラーシーズンでも7度の逆転負けを喰らっており、CSでもそのパターンにハマってしまった格好だ。

◎10月17日(木)
第2戦:巨人3-0広島
巨人・菅野智之「見ている方が菅野でもいけるんじゃないかと思ってもらえる投球をしたかった」

 やはりルーキーとは思えない。入団後の春季キャンプで「使い物にならない」といわれたフォークをこの大舞台で披露した菅野。シーズン中はほとんど投げなかっただけに、カープ打線が困惑するのもムリはない。自身プロ初、しかもセ・リーグCS史上初の完投、完封勝利を挙げ、あの前田健太に投げ勝った。

 ペナントレースとは違う緊張感のなかで行われるCSは、若手選手がグングン成長する場でもある。だからこそ出場するチームは年々、強くなるのだ。菅野はさらに「今日みたいな投球ができれば、この先の短期決戦にも生きると思います」とコメント。やはり普通のルーキーとは思えない。これで巨人は日本シリーズ出場に王手をかけた。

◎10月18日(金)
第3戦:巨人3-1広島
広島・小窪哲也「なぜバットを振れなかったのか…悔しいです」

 ここ数年で、いや十数年で一番長かった“鯉の季節”が終わった。1点を先制した初回2死二塁で打席に立った小窪は、フルカウントから見逃し三振。フルカウントだからクサイ球にはバットを出すのはセオリー中のセオリー。しかし、バットが出なかった。その時のコメントがこれだ。

 1勝もできなかった広島・野村監督は「今日が一番、力を出せなかった」とコメント。小窪の例もそうだが、1stステージで阪神投手陣を打ち込んだ打線は本来の力を発揮できず、ファイナルステージ3試合で3得点。しかも打点1で終わってしまった。「CSは初戦がいかに大事かを確認した」とコメントした野村監督は、翌19日に来季の続投が決定。「一度敗れた者が再び勢いを盛り返し巻き返す」という意味を持つ「捲土重来(けんどちょうらい)」をアレンジした「剣砥挑来(けんどちょうらい)」をキャッチフレーズに掲げた2013年シーズン、来年はさらに勢いを盛り返して欲しいものだ。


【パ・リーグ編】
◎10月17日(木)
第1戦:楽天2-0ロッテ
楽天・銀次「これで乗っていけると思います。でも田中将大スゴいですね。スゴすぎです(笑)」

 レギュラーシーズンを含めて25連勝を7安打9奪三振、完封で飾った田中将大を褒め称える銀次のコメントが印象深かった。

 「じぇじぇじぇ! ビックリしましたけど感謝しています」とは田中のコメント。銀次のキャラクター性も手伝って、チームの重苦しい雰囲気を振り払ったホームランでもあり、そういう意味でも“値千金”の活躍をみせた銀次だった。

 「練習でも出ない当たりでね。頼もしい男になった」とは星野仙一監督の銀次評。4回裏に飛び出した銀次の一発は、緊迫した投手戦の雰囲気を切り裂き、CSの流れをグッと楽天側に引き寄せた。

 これでアドバンテージの1勝を含めて楽天が2勝。ロッテはレギュラーシーズン含めて田中に4敗目を喫した。

◎10月18日(金)
第2戦:楽天2-4ロッテ
ロッテ・グライシンガー「(仙台の寒さを)熱さで吹き飛ばしたい」

 ひと言で表現すると「しぶとい」チーム。それがロッテだ。負ければ楽天に王手がかかる第2戦。先発は9月12日の楽天戦以来、右肩痛で登板のなかったグライシンガーだったが、予想外のベストピッチをみせる。9回裏一死から同点に追いつかれるも、10回表にブラゼルが勝ち越し本塁打を放ち、楽天をうっちゃった。

 グライシンガーは久々の登板で不安視されたが、6回を0封。今季は5勝止まりだったが、来季に向けて残留の目も出てきた。そして、今季途中加入のブラゼルも打率.133と苦手としている左腕から1発。大砲不在が嘆かれていた去年までのロッテにはない勝利パターンで、CSファイナルステージを1勝2敗とした。

◎10月19日(土)
第3戦:楽天2-0ロッテ
楽天・美馬学「まさかこんな時に(初完封を)やるとは…」

 田中将大だけではない。楽天にはこんなに素晴らしいピッチャーがいるのだ。第3戦は楽天・美馬の投球に尽きる試合となった。「9回まで投げれるとは正直思っていなかった」とも話す美馬。それもそのはず、10月4日の西武戦で右ヒジに違和感が発生し、3回途中降板。美馬の右ヒジは過去4度も手術しており、再度、手術の可能性もあったという。しかし1週間のノースロー調整後、痛みはなぜか和らいでいた。「自分でもびっくり。お医者さんもびっくり。なんで治ったかわからない」とは美馬のコメント。

 「今年一番じゃないかな。入団以来一番じゃないか? やりゃあできるやん」とは星野監督のコメント。2010年、東京ガスからドラフト2位で入団した直後はプロゴルファー・石川遼に似ていることから「小さい遼クン」と冷やかされていた169センチ右腕。楽天にまた強力なラッキーボーイが誕生した。

◎10月21日(月)
第4戦:楽天8-5ロッテ
楽天・星野仙一監督「私の永遠のライバル、ジャイアンツを(胸を借りて)やっつけます!」

 杜の都が熱く燃えた。楽天が先制するも、G.G.佐藤の逆転本塁打などで食い下がるロッテ。しかし、マギーが勝ち越し本塁打を放つと、8回に則本昂大、9回は田中将大をリレーさせる“禁じ手”リレーでロッテに競り勝ち、日本シリーズ出場チケットを手にしたのは楽天となった。

 試合のほうは両チームともに6投手をつぎ込む総力戦となった。ロッテ・伊東勤監督は「勝てそうで勝てなかった。相手の投手陣にやられてしまった」と敗因を挙げた。星野監督の優勝インタビューでも、先発投手陣のがんばり、助っ人のジョーンズ、マギーの活躍にインタビュアーが触れるも「やっぱりチームが1つになってるな」とチームの力で勝ってきたことを強調した。チーム一丸となって、セ・リーグを制覇した巨人に挑む。

 話を少しロッテに移そう。思い起こせば今シーズン開幕前、他球団が新外国人獲得やトレードなどで軒並み戦力補強するなか、ロッテはこれといった補強をしなかった。そんななか「最大の補強」と嘲笑されたのが、テスト入団したG.G.佐藤。

 雨天中止が決まった前日には「2010年も1勝3敗から、ある男が秘密兵器として投入されている。ボクには秘密兵器が乗り移っています」とちょっと謎のコメントを残した。その秘密兵器とは? 本塁打を打った後のコメント「打ったボールは良く分かりません。(3年前のCS第4戦で同じく本塁打した)今岡誠が乗り移りました」でハッキリしたのだった。

 そして、24日(木)のドラフト会議を経て、26日(土)から日本シリーズが開幕。2013年プロ野球は本当の意味での「クライマックス」を迎える。


■ライター・プロフィール
鈴木雷人(すずき・らいと)…会社勤めの傍ら、大好きな野球を中心とした雑食系物書きとして活動中。“ファン目線を大切に”をモットーに、プロアマ問わず野球を追いかけている。Twitterは@suzukiwrite

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