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《妄想ベストナイン!》山の神をいれなくても佐藤悠基、渡辺康幸ら百花繚乱の箱根駅伝ベストナイン


 野球選手以外でベストナイン選んだら、どんなチームができる!?

 男優、女優、食べ物……。人間以外もあり! ということで、週刊野球太郎が「妄想ベストナイン」を選出。オーダーを組んでみた。

 栄えある(?)「妄想ベストナイン」が集うリーグは、名づけて「モ・リーグ」(「モ」は妄想の「モ」です……)!

 連載第2回となる今回のテーマは「箱根駅伝・印象深いランナー〈平成編〉」だ!

 今年のお正月に行われた第93回箱根駅伝では青山学院大が3連覇(総合優勝のみならず、往路も復路も3連覇)。そして全日本大学駅伝、出雲駅伝と合わせた学生駅伝3冠も獲得し、大いに盛り上がった。視聴率不況と言われる昨今ながらも、箱根駅伝は別の話。1993年から常に20%中盤以上の視聴率を記録し、むしろ2000年代は高値安定を保つ。「お正月のテレビは箱根駅伝」が定着したと言っても過言ではない。そんな箱根駅伝を少し紐解き、年号が平成になってから、箱根路を駆け抜けたランナーのベストナインを考えていきたい。
※筆者の独断と偏見によるものなので、お気楽な気持ちでお読みください。

◎今井正人、柏原竜二、神野大地の“山の神”はスタメン落ち!?

 まず、箱根駅伝・印象深いランナーベストナインは以下の通りだ。カッコ内は在籍した大学名。

1(遊撃):佐藤悠基(東海大)
2(中堅):徳本一善&坪田智夫(法政大)
3(三塁):中村祐二(山梨学院大)
4(右翼):藤田敦史(駒澤大)
5(一塁):鐘ヶ江幸治(筑波大)
6(二塁):千葉健太(駒澤大)
7(左翼):小林正幹&小林雅幸(早稲田大)
8(捕手):古田哲弘(山梨学院大)
9(DH):木原真佐人(中央学院大)
投手:渡辺康幸(早稲田大)

 1番・遊撃手には佐藤悠基。3年連続区間新という偉業を達成している以上に、2年時の第83回での走りが印象的だ。1区で起用されると、スタート直後から飛ばして、2位に4分の差をつける圧巻のパフォーマンス。今年の箱根駅伝でもそうなのだが、1区は失敗が顕著に見えることもある不安からか、力があるランナーでもなかなか飛ばしにくい。「花の2区」「神を生む山登り」などもてはやされるが、1区でぶっちぎれるランナーこそ“強いランナー”だと考えている。歴史上、1区で最大の差をつけた佐藤悠基こそ、最強の駅伝ランナーだ。打順はもちろん1番で勢いをつける。

 2番に徳本一善&坪田智夫というコンビで入るウルトラCが来てしまったが、この理由はもちろん第76回で見せたロケットスタートだ。1区を任された徳本が2位に1分5秒離して区間賞を獲得すると、2区の坪田も区間賞。これほど見事なスタートからの飛ばし具合は、この2人以外見たことがない。また、派手でイケイケっぽく見える徳本と、職人っぽさが溢れる坪田という組み合わせのコントラストも美しかった。

 残念ながらこの大会では、3区以降の美しい落ちっぷりも見られるのだが、この経験があったからこそ、エースだけじゃなくチームの力が必要だと実感できた。そして、鍛錬を積んだ1年後の第77回では10人中5人が区間3位以上の走りを見せ、法政大は総合4位に食い込んだ。ここまで徳本・坪田物語が続いていることを、声を大にして言いたい。ちなみに、この時に5区を走ったのは大村一。中央大・藤原正和、順天堂大・奥田真一郎に抜かされても食い下がり、根性で一旦抜き返す走りに“法政魂”を感じたことも付記したい。

 3番・三塁手が中村祐二。1年では3区で区間賞、2年では1区を任され、2位に1分20秒近く離しての区間賞を獲得し、2連覇に貢献。4年時は2区を走って区間賞、そして総合2位。だが、この華やかさよりも思い出に残っているのは3年で4区を走ったものの途中棄権した、あの場面。顔を手で覆いながら、上田誠仁監督に抱かれる光景は忘れられない。

 4番・右翼手には藤田敦史(駒澤大)がどしっと構える。ころころ区間が変わったおかげで、4年時に出した4区21キロの1時間56秒の区間記録は、現在は残っていない。しかし、区間が変わらなければ、破られていなさそうな大記録だ。ちなみに、藤田在学時において駒澤大の総合優勝は1度もなく、卒業後に優勝、1年置いて4連覇を成し遂げた。さらに、藤田自身は実業団ではケガに苦しみ、福岡国際マラソンで現在にも残る国内のマラソン、日本人最速タイムを出したものの、またケガ、ケガ……。悲哀がついて回った藤田に、ここでは4番に座ってほしい。

 とここまでくると、だいたい打順は走りが印象的な区間に合わせている、とうすうす気づかれているだろうか。となれば、5番はもちろん5区・山登りで輝いた選手になる。そう、筑波大の鐘ヶ江幸治だ! ……山の神々は有名だからいいじゃないですか。

 学連選抜のメンバーとして第79回、第80回で5区を走った鐘ヶ江。第80回では9人を抜いて区間賞、さらにMVPにあたる金栗四三杯も獲得した。学連選抜では唯一の区間賞獲得者である。現在、学連選抜はオープン参加となり、区間賞の対象から外れているため、今年の10区を走った東京国際大の照井明人が区間賞相当のタイムで走っても、区間賞獲得にはならなかった。いろいろと学連選抜の存在意義について語られるが、学連選抜が光だと思っているランナーが少なからずいるのであれば、私は学連選抜賛成派だ。

私の“コバマサ”はWASEDAの2人の“コバマサ”


 6番・二塁手には千葉健太。1時間を切ってくるランナーがスゴい、という指標が箱根の6区・山下りにはある。走れる(下れる)すべての箱根駅伝で千葉は1時間を切っており、さらに58分11秒という区間記録のタイムも素晴らしい。まさにスペシャリスト。箱根湯本あたりでは平地を走る6区。下りきった後だけに、平地でも上っている感覚があるという。そこもスイスイと走っていくのが印象的だ。

 ただ、2年連続で区間記録を作り、今年は58分1秒と、夢の57分台目前までタイムを縮めた日本体育大の秋山清仁も外し難かった……。近年の日本体育大は山下り職人が2、3年置きに育つので、“4年連続”という称号があるだけ千葉に軍配が上がった。二塁手のポジションは、千葉茂さんリスペクト。

 7番・左翼手には再び連名で選出となる小林正幹&小林雅幸。この2人といえば第71回の2区渡辺康幸、3区小林正幹、4区小林雅幸の3区間連続区間新という偉業だ(それでもこの年の総合優勝は山梨学院大。どれだけ強い10人を育てあげたか恐れ入る)。4年連続区間賞、3年連続区間新記録、15年破られない区間記録を作った武井隆次のスゴさを見ていても、子ども心に「早稲田強い、早稲田カッコいい」と思わせたこの2人をピックアップしたい。2人とも7区で区間賞をとっているので、7番にした。

 8番・捕手はもちろん古田哲弘。現在、最も古い区間記録を残し、破られないこと20年。あまり言われないが、1年生でこの記録を作っているのもまた驚異的だ。3連覇を達成した青山学院大の原晋監督が「(2年連続8区区間賞の)下田(裕太)に区間新記録を狙わせるチームを来年作りたい」と意識し、箱根駅伝ファンもいつ・誰がこの記録を破るのか楽しみに思っている。

 9番・DHには、箱根駅伝出場だけでなく、シード権も取るイメージが定着してきた中央学院大の元祖エース・木原真佐人を指名したい。初めての箱根でいきなり1区区間賞、3年4年ではモグス(山梨学院大)、ダニエル(日本大)という留学生ランナーには遅れたが、2年連続で2区日本人トップ。チームも総合3位となり、箱根駅伝に新しい風を吹かせた。コツコツと惜しまない努力とストイックな姿勢に敬意を払いたい。

 最後に、投手を任せるのは渡辺康幸だ。コンディションのいい留学生ランナーには日本人は勝てない、と感じる中で、真っ向勝負で勝ったランナーは渡辺康幸くらいだろう。これぞ“エース”である。のちのちに、1区、2区の区間記録はともに佐藤悠基と三代直樹(順天堂大)、モグス(山梨学院大)に更新されるものの、当時の記憶は色褪せない。

 引退後、早稲田大の監督に就任してからは太ってしまい、当時の面影はだいぶなくなってしまった。しかし、2010年から2011年にかけた駅伝シーズンで胴上げしてもらうために減量に成功し、見事に駅伝3冠を獲得。選手でも監督でも、ここぞの強さはあるタイプだ。駅伝やマラソンの解説も好評で、選手・渡辺康幸が達成できなかったことを指導者として達成してほしい。

 他にも、コースを間違えてあわやシード権落ち!? となりそうになった國學院大・寺田夏生。4年連続学連選抜で走った松蔭大・梶原有高。3年時に途中棄権した5区を4年時も走り、見事区間2位に入り、リベンジを果たした順天堂大・小野裕幸。名前がとてつもなくかっこよかった明治大・北魁道。いつも予選会では1位、2位なのに、他のランナーの関係もあって、本戦には出場できなかった流通経済大の留学生たち(ジョン・カーニーとフランシス・ムヒアを除く)。ふとももがセールスポイントの駒澤大・堺晃一……とまだまだ名を挙げたい選手はたくさんいる。

 みなさんにもそれぞれの“箱根駅伝今昔物語”があるはず。あなたのベストナインを組んで楽しく語り合いましょう!


文・カバディ西山

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