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いてまえ打線が杜の都で復活! 楽天・梨田昌孝監督の超攻撃采配を表す「興味津々の数字」

超攻撃的打線で好調なスタートを切った梨田昌孝監督(楽天)

 楽天が依然として絶好調だ。先週末は昨季の覇者・日本ハムを大食らいし、対戦カード1巡目を終えての成績は10勝2敗。2位との間に2.5ゲーム差をつけ、首位をがっちりキープした。

 優勝予想にソフトバンクを挙げた数多くの評論家を慌てさせる「球団史上最高の開幕ダッシュ」を見せている。

(成績は4月17日現在)

躍進を支える「杜のいてまえ」超攻撃的打線


 躍進の原動力は「杜のいてまえ」打線だ。梨田昌孝監督が指揮を執り、リーグ優勝を飾った2001年の近鉄のように、とにかく打線がよく打つ。驚くほどよく点を取る。

 1番に茂木栄五郎を据え、2番にペゲーロを置く「超攻撃的な布陣」が面白いようにハマった。1試合平均5.42得点は、日本一になった2013年の4.36得点をも上まわる爆発力を誇る。

 ホームランは開幕12試合で11本。気は早いがシーズン131本ペースだ。3点差以上を追いかけての逆転勝利が早くも2試合あるのもうなずける。

オリックスとは対照的、楽天の犠打の数


 ここで、超攻撃的な今シーズンの楽天をよく表す「興味深い数字」を紹介したい。それは犠打の数だ。

 2位のオリックスがすでに19個の犠打を記録しているのに対し、楽天は7個。その7本は9番を任されている「小技のデパート」嶋基宏によるお仕事。犠打失敗を含めても、バント策に従事したのは嶋、茂木、島内宏明の3人にとどまっている。


無死一、二塁からのバントがゼロ!


 超攻撃的な采配のなかでも筆者の特に注目するのは、無死一、二塁での采配だ。

 無死一、二塁は判で押したようにバント策が多くなる場面。事実、大久保博元監督が采配をふるった2015年の楽天は、この状況において53パーセントの割合でバント策を採った。梨田監督就任1年目の昨シーズンも38パーセントがバント策だった。

 しかし、今シーズンは無死一、二塁からのバント策が1度もない。7度の機会のうち6度までが、確実に加点したい「3回以降での3点差以内」の接戦にもかかわらず、犠打で一死二、三塁を作りにいくケースがなく、全て強攻策に出ている。


3点差を追いかける苦境でも「超攻撃的」を貫いた梨田采配


 象徴すべきシーンが4月16日にあった。大入りのKoboパーク宮城で戦った日本ハムとの3回戦だ。

 この試合、最後は延長戦を制するサヨナラ勝ちを飾ったが、中盤まで押される苦しい展開だった。楽天打線はメンドーサの前にゴロ凡打を量産。4回まで散発2安打と攻略の糸口がつかめない。先発の岸孝之は日本ハムの一発攻勢に屈し、楽天が3点を追いかける戦況で5回裏の攻撃を迎えていた。

 この回に初の連打が飛び出し、無死一、二塁。絶対に得点して反撃の起点にしたい場面で、打席にはバントの達人・藤田一也。

 しかし、梨田監督はここでも打たせていく。結果はゲッツー。2死三塁となった後、三塁走者を呼び込む嶋のバントヒットが決まったため、1点を返すことに成功したが、嶋の機転がなければ、絶好機を無得点で終える可能性もあった。


 このように「結果オーライ」となることもあるが、梨田監督の超攻撃的采配がパリーグをどこまで沸かせるのか、今シーズンの見どころとして注目したい。


文=柴川友次
信州在住の楽天推しの野球好き。ノムさんの「ID野球」「弱者の兵法」に感化され、イーグルスに関するありとあらゆるデータの収集を実施しながら、ペナントレースを追いかけているデータ好きの野球ブロガー。2,500人以上にフォローされているTwitterアカウントは@eagleshibakawa。

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