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西武2位 西川愛也・代理4番で開眼。埼玉に初優勝をもたらした強打者

西川愛也(花咲徳栄高校)・西武ドラ2 西川愛也・代理4番で開眼。埼玉に初優勝をもたらした強打者

2017年プロ野球ドラフト会議で、総勢82名の選手が指名された。
2018年からのプロでの活躍に期待したい。 週刊野球太郎では、ドラフト会議の直前にインタビューした指名選手18名を特集!
プロで活躍するために戦ってきたドラフト候補と、彼らの「真価」を最も熟知している監督さんを取材した貴重な「証言」をお届けします。


今回の指名選手

西川愛也(花咲徳栄高校)

西武 ドラフト2位
西川愛也(にしかわ・まなや)

180センチ81キロ/右投左打。1999(平成11)年6月10日生まれ、大阪府堺市出身。小学2年で長曽根ストロングスに入団し、6年時に全国制覇。オリックスジュニアに選出された。
浜寺ボーイズを経て、埼玉の花咲徳栄高に入学。甲子園に3季出場して通算17安打を記録、3年夏は全国制覇に貢献した。ヒットゾーンが広く、高校生離れした対応力を評価される強打者。


★最初の印象
 中学時代に少しだけプレーを見ていました。走る姿からして股関節が柔らかくて、中学までピッチャーをやるくらい肩も強い。打撃面よりも足と肩に目がいきました。

★代理4番に抜擢
 1年秋に公式戦デビューさせたのですが、2打席で慌てて交代させたくらい、力を発揮できませんでした。でも、当時からいいものを持っていると感じていたので、冬場は重点的に強化しました。翌春のセンバツは当時の4番打者がケガで欠場。そこで西川を「お前が4番だ」と使いました。練習試合で結果が出なくても、凡打の質は高かったので我慢できました。

★打撃の変遷と課題
 真面目な性格のため、打席で硬さがありました。グリップを下げて腕を動かしながらタイミングを取ったほうが、柔らかさが出ると感じました。今は前さばきでとらえる形が多いですが、今後は自分に近いポイントで打つことも覚えていかないといけないでしょう。

★スローイングは大丈夫
 2年春に右大胸筋断裂を負って以来、全力で投げられないことが続いています。スカウトからもよく聞かれるのですが、私は「大丈夫、投げられます」と答えています。肩関節を痛めたのではなく、筋肉の断裂。縫合して炎症が治まれば、あとは強化していくだけ。医師からもそう言われていますし、また投げられるようになります。

★練習の虫
 甲子園で優勝して帰ってきてからも、自主的に夜22時まで練習しています。西川にとっては全国制覇も通過点でしかない。バッティングを極めた感覚がまったくないのでしょう。どんなに結果を残しても、「もっともっと」という意欲に突き動かされているんです。

★これから
 私は高卒でプロに進む選手にとって一番大事なのは、性格だと思っています。その点で西川は大丈夫。大人とも付き合えるし、驕りがない。唯一心配するとすれば素直過ぎるところですが、合うアドバイスと合わないアドバイスの取捨選択ができるといいですね。

監督さんプロフィール


岩井隆[いわい・たかし]
1970(昭和45)年生まれ、埼玉県出身。桐光学園高〜東北福祉大。現役時代は内野手。大学卒業後、恩師・稲垣人司氏が監督を務めていた花咲徳栄高へ。2001年より現職となり、今夏は全国制覇に導いた。



★虎になれ!
 たまたま入った地元の少年野球チームが長曽根ストロングスという、日本一に何度もなっているような強豪チームでした。あまりに練習が厳しかったので、本気でやめようとしたこともありました。当時の熊田耐樹監督によく言われていた言葉は、「虎になれ!」。今にして思えば、勝負に臨む姿勢を学べたと思います。

★急造4番が甲子園で開花
 高校1年秋は公式戦で6打席しか立っていないのに、先輩がケガしたため、翌春のセンバツは「4番はお前でいく」と岩井先生に言われました。インパクトまでのプロセスで力みを抜くことを追求し、今の形にいきつきました。センバツ前は結果が出なかったのですが、センバツの試合中に感覚をつかんだような気がします(秀岳館戦で4打数2安打2打点)。

★ケガの不安と功名
 2年春の試合で送球した際、右大胸筋断裂のケガをしました。バッティングには影響はないのですが、全力で送球できないことが続いています。でも、痛みはもうほとんどなく、徐々によくなっています。冬場にハンマーを振り下ろすトレーニングがあるのですが、それは左腕一本でやっていました。するとインパクトで押し込む力が増して、3年春以降に本塁打が18本と増えました(通算30本)。

★これから
 進路は岩井先生と相談します。どれだけ投げられるようになるかがカギになると思います。バッティングを評価していただけているようですが、自分の力はまだまだ。ヘタクソは練習するしかありません。見ている人に「西川はいつ見ても打っている。アウトになったのを見たことがない」と言われるような選手になりたいです。




監督

岡崎大輔(オリックス)の後釜としてショートをやらせようと思っていました。右大胸筋断裂の影響で現在は全力で送球できませんが、痛めたのは関節ではない。また投げられるようになります。

本人

以前、違和感を我慢して投げて大胸筋断裂してしまったので、慎重に治しています。足は盗塁より二塁打、三塁打のように加速するほうが得意。盗塁は今後勉強します。






監督

真面目な性格で、バッティングも硬い印象がありました。そこで腕でタイミングを取って、動きながらとらえさせたほうがいいと思い、高校2年の春には今のような形になりました。

本人

グリップを下げて構えるのは、いかにして力を抜くかを追求した結果です。インパクトに向けて力を入れるというより、ボールに対して速くバットを入れることを意識しています。ヘッドの使い方は改善の余地があると思います。




大阪府出身だが、受け答えは標準語で関西の匂いがしない。その理由は「中学からの先輩の大瀧さん(愛斗、西武)に『目上の人と話すときは標準語を使えたほうがいい』と言われて」と、中学時代に練習しておいたそうだ。 毎日練習に明け暮れているが、息抜きはお笑い動画を見ること。「トータルテンボスの『いたずら動画』はほとんど見ました。面白くて大好きです」


本稿は雑誌『野球太郎 No.024 2017ドラフト直前大特集号』(2017年9月23日発行)に掲載された人気企画「ドラフト候補&指導者マンツーマン・インタビュー」から、ライター・菊池高弘氏が執筆した記事をリライト、転載したものです。


取材・文 菊池高弘

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