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西武・中村剛也と日本ハム・中田翔! 強豪校から王道を歩む2人のプロ入り物語



「甲子園活躍型」と「地方大会活躍型」に分けて、王道を進んでプロ入りした選手を紹介していく6月の特集。第3回は、今をときめく甲子園強豪校から生まれた2人の打者を紹介する。


常勝軍団が生んだモンスター


 激戦区・大阪にありながら、もはや甲子園出場が至上命題になっている大阪桐蔭高。そして毎年のようにプロ野球選手を輩出しているが、同校出身の「甲子園活躍型」選手として、一際話題性が大きかったのが中田翔だ。

 2005年、1年時の夏に5番・一塁で甲子園デビューしベスト4。その秋から4番になるとともにエースも任され、打っては甲子園で推定140メートル弾、投げてはストレートが最速151キロを計測するなど、「平成の怪物」の異名をとるようになった。

 もっとも期待された3年時の2007年夏は、大阪大会の決勝戦で敗れたため、甲子園出場は叶わず。しかし高校通算87本塁打のスラッガーは、その年のドラフトで4球団から1位指名を受けて日本ハムに入団。勇躍、プロへ進んでいった。

 世が世なら二刀流という話も上がったかもしれないが、プロには野手1本で挑み、7年目の2014年シーズンに打点王を獲得。本塁打王はまだだが、コンスタントに25本以上打ち、昨年は30本に乗せたことから、時間の問題とも思える。

 年を追うごとに進化する打者から、まだまだ目が離せない。


「if」の話をしたくなる強打者


 近年は毎年のように甲子園に出場している大阪桐蔭高。とはいえ常連となったのは、今から14年前、2002年の夏からのこと。その前の出場は、1991年までさかのぼる。



 とはいえ、甲子園に出場できないからプロになれないわけではない。現役最高のホームランアーチストと呼ばれている中村剛也(西武)は、一度も甲子園に出場せずにプロになった、同校における「地方大会活躍型」選手の代表格だ。

 中村が在学していた頃の大阪桐蔭高は、春季大会では優勝するものの、夏の大阪大会では準優勝、秋季地区大会ではベスト8止まりと、大事なところでいまひとつ勝ちきれなかった(ちなみに2001年、中村が3年生だったときの大阪大会のオーダーには、西岡剛や岩田稔(ともに阪神)が名を連ねている)。

 しかし、高校通算83本塁打を放って「浪速のカブレラ」と呼ばれた中村をプロが放っておくはずもなく、2001年のドラフトで西武が2位で指名。

 すると西武の選択が正しかったことを証明するかのように、ホームランを量産。7年目の2008年にホームラン王を獲得すると、「規定打席に乗ればタイトル」と呼ばれるまでの選手に成長した。極めつけは2011年で、25本で2位の松田宣浩(ソフトバンク)にあわやダブルスコアという48本ものアーチをかけたのである。

 プロでこれだけ異次元の成績を残しているだけに、甲子園に出ていたらどんなインパクトを与えていたのか気になるところ。ただ、甲子園に縁がなかったからこそ、中村自身、プロでここまで貪欲になれているのだと思う。だからこそ、ホームランを「おかわり」し続けているのだろう。


歴史は繰り返す? 約50年前の戦い、再び


 中田と中村の関係は、長嶋茂雄・王貞治のONコンビと野村克也の関係に似ているように感じる。

 巨人の看板選手としてスター街道まっしぐらのONに対し、自らを「月見草」と例えた野村。甲子園に出場して常に陽のあたる場所にいた中田と、藤井寺球場で高校野球を終えた中村。2人を対比すると、通じるものがあると思う。

 お互いの性格的に、この構図はこれからも変わらないと思うが、大阪桐蔭スラッガー対決はこれからが本番だ。中村がこのまま逃げ切るのか、それとも中田が追い抜くのか。

 最終回は、東北が生んだニュースターのストーリーをお送りする。


文=森田真悟(もりた・しんご)

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