週刊野球太郎
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2013夏・甲子園出場校のみどころはコレだ!【東日本編/議題3】

 『野球太郎』編集部員が甲子園出場チームや有力高校生ドラフト候補、新たに気になる選手…などを語っていきます。
今週は7月26日以降に甲子園出場が決定した高校の注目ポイント、注目選手についての話題! 今回も前編、後編の2本立てになりました。まず前編は東日本(北信越、東海地区よりも東の地域)の出場校に関する話です。

登場人物
持木編集長(持木)…東海大四出身。佐竹学(オリックスコーチ)と同級生。言わずと知れた『野球太郎』編集長。
菊地選手(菊地)…中大付出身。当時堀越のエース・岩隈久志(マリナーズ)に温存されて、3年夏を終える。『野球部あるある』の著者。
カバディ西山(西山)…法政二出身。川中島中時代の内竜也(ロッテ)と対戦するもボコボコにされる。編集部内では遊軍、またの名を使い走り。


甲子園で上位進出する力は十分ある

西山 新しく決まったのは、花巻東、仙台育英、日大山形、聖光学院と、近年大舞台に出てくることが増えた高校が多いです。そして、園部聡(聖光学院)、上林誠知(仙台育英)と有力視されるドラフト候補もいます。
持木 仙台育英は3季連続、聖光学院は5季連続の出場で、「白河の関越え」を十分に期待していい実績とチーム力はあるね。上林誠知(仙台育英)、園部聡(聖光学院)という東北を代表する左右のスラッガーがそれぞれいて、ピッチャーも複数います。上林、園部は予選でもアーチを重ねているし、長打力を見せてほしいね。


▲園部聡(聖光学院)

菊地 上林は春のセンバツでワンバウンドのボールをツーベースにするという“伝説”を作りました。春以降は力強さが増してきて、さらにスカウトの評価も高まっているようです。個人的には秀光中等教育学校(仙台育英との中高一貫校)時代に企画で真剣勝負した佐藤聖也、佐々木友希ら2年生の活躍をみたいです。
 聖光学院はこれで夏の福島7連覇で、福島県内92連勝。それでも今夏は準々決勝で学法石川に10対9、決勝では日大東北に9回2死までリードを許すなど、「福島一強時代」にようやく終わりが見えてきたのかなと思います。ただ、聖光学院が弱くなったということではなく、周囲のレベルが上がってきたという健全な均衡化です。今年の聖光学院も、甲子園で上位進出する力は十分ある。ただ、エース左腕の石井成の状態があまり思わしくなく、背番号1も剥奪されたようです。彼の活躍なくして上位進出はないのではと思います。

西山 日大山形は一昨年の秋に観ているのですが、その時から奥村展征は目立った存在でした。当時、一学年上の花巻東・太田知将(現東海大)が注目されていましたが、走攻守どれも劣らないプレーを見せてくれたのは今でも覚えています。どれだけスケールアップしたのか甲子園で確認したいです。


▲奥村展征(日大山形)

持木 奥村は見たことないので気になる存在ですね。荒木準也監督と奥村の父・伸一さんがプリンスホテルの先輩後輩で息子を預けて、息子がキャプテンで甲子園に凱旋するなんてマンガみたいな話もあるしね。奥村父は母校である滋賀の甲西で監督をしているから親子鷹の可能性もあったけど、あえて息子を手放したところに共感する。花巻東はこれまでの菊池雄星(現西武)や大谷翔平(現日本ハム)という絶対的な投手がいないようで、逆に継投を含めてどういう投手力なのか興味があるね。
菊地 花巻東の4番を任される2年生・太田亮佑はその太田知将の弟。まだプレーは見たことないので、潜在能力の高さをスカウト陣から注目されている岸里亮佑とともに、甲子園でチェックしたいです。

徹底して「慢心」を排除した浦和学院

西山 関東も比較的、お馴染みの高校が甲子園出場を決めています。日大三や、桐光学園を破った横浜も注目されますが、春夏連覇がかかる浦和学院。球数や連投について議論が飛び交う昨今ですが、小島和哉がどこまで投げられるかが連覇のカギとなりそうです。
持木 小島はすごいよね、まさに「負けない投手」という感じ。センバツでは全5試合に登板して3完投、防御率0.64で、その後も防御率はほとんど変わらないんじゃない、実際の成績はわからないけど…。絶対に試合を作るし、あの安定感は高校生では群を抜いてる。打線もチャンスメイク、チャンス拡大、ランナーを還す役割を全員がきっちり果たしてソツなく得点をあげる。スキを感じさせません。
菊地 春から夏にかけて、森士監督は選手の「慢心」を諌めるためにいつにもまして厳しく接していたようです。春に日本一になって、多少は達成感に浸ったり、テングになったりするのも高校生なのだから仕方ないとも思えるけど、浦和学院は徹底してその意識を排除した。ついていく選手たちも凄いですよね。実際に埼玉県大会の決勝戦では、試合終了後にマウンドに輪ができることもなく、淡々と整列していた。春夏連覇への「通過点」なんだなと感じました。ただ、決勝戦での小島は疲れからか明らかに本調子ではなかった。春と夏とでは消耗度が違うでしょうから、二番手以降の出来がカギを握りそうですね。経験も能力もある山口瑠偉や涌本亮太など、3年生の「県大会で使ってもらえなかった」という奮起を見たいです。


▲小島和哉(浦和学院)

西山 ドラフトとしては日川の山田基樹が注目されます。夏は140中盤をバシバシ投げていたようです。
菊地 194センチの大型右腕がいると聞いて、春の県大会を見に行ったのだけど、その時はライトで最後まで投げてくれず…。完全に見に行く日を誤りました。ただ、シートノックでのライトからの猛烈な送球はエンジンの大きさを感じさせました。大型ゆえ、動作の一つ一つにぎこちなさはあるし、こなれてくるのはまだまだ先になるのでしょう。それでも多彩な変化球を投げ分ける器用さもあるようです。いよいよ甲子園で見られるのは楽しみです。
持木 山田は見たことないので楽しみにしてます。修徳はノーシードだったし、ピッチャーが大会終盤まで踏ん張れるのか東東京大会の2回戦で見たとき疑問を感じたけど、帝京を倒して勢いに乗ったね。マウンドにも上がる3番の飯野周太は左打ちの好打者です。松井裕樹(桐光学園)を見事に攻略した横浜がそのまま代表となったことに「すごさ」を感じる。下級生中心のチームが大舞台で伸び伸びとプレーするのが目に浮かぶね。連続出場を決めた作新学院や木更津総合には勝負強さを感じます。


▲高濱祐仁(横浜)

菊地 横浜は松井裕樹(桐光学園)を沈めるホームランを放った高濱祐仁、浅間大基の注目選手を含む、レギュラー8人が2年生。エース左腕の伊藤将司も伸びしろを残した好素材です。浦和学院の小島や来年ドラフト候補に浮上してきそうな前橋育英の大型右腕・高橋光成も含め、関東の代表校に2年生の好選手が多い印象です。また、日大三は都日野との決勝を見て、エース・大場遼太郎のピッチングにうなりました。167センチの小柄ながら140キロ台を軽く出す馬力を持った投手なんですけど、あそこまで制球、テンポ良くゲームコントロールができるとは…。強打線の都日野を2安打、チャンスすら作らせない“無双”な投球でした。あの投球が甲子園でもできれば、上位進出も十分考えられます。

サイレンの間にセーフティーを

西山 北信越で一番注目したいのは上田西です。浦野峻汰、柳澤和希の他にも何枚も投手がいて、宮沢義也というハーフで身体能力の高い選手もいますが、何よりも見てほしいのは一番を打つ武田竜樹の足です。できれば初戦は先行を取ってもらって、サイレンが鳴っている間にセーフティーバントを仕掛けて、甲子園中を驚かせてくれないかな、と勝手に思っています。


▲武田竜樹(上田西)

西山 あと、富山第一は近年、甲子園に来られそうな戦力を備えながらも跳ね返されていました。去年から主戦として投げていた宮本幸治など選手はプレッシャーもあったかもしれませんが、打ち勝ちました。宮本はキレイなフォームでキレのあるボールを投げ、打撃にも自信を持っているチームは「甲子園で3勝して富山のイメージを変えたい」と意気込んでいるので、どこまでやれるのか期待したいです。
持木 センバツベスト4で春の大会も制した敦賀気比を破った福井商の中村文英が1年生以来の甲子園でどんなピッチングをしてくれるか注目してます。星稜は北村拓己が楽しみです。1年から亜細亜大のレギュラーとなった兄・祥治よりも能力は高いといわれているので、そのプレーぶりをチェックしたいね。

夏に勝てるか!? 愛工大名電

西山 センバツに続いての出場の常葉学園菊川(静岡)、夏は2年連続の愛工大名電(愛知)に三重(三重)と大垣日大(岐阜)が東海からは出場となります。
持木 常葉学園菊川の打線はセンバツで目を奪われたので、夏はさらなるその振りっぷりの発揮に期待してます。3番の遠藤康平はあの滅茶振りとも映る打線の中では、パッと見地味に見えるけど、走攻守揃った好選手です。
菊地 東邦(愛知)、県岐阜商(岐阜)、菰野(三重)と評判が高く、また好選手がいるチームが軒並み倒れてしまいましたね。愛工大名電は1988年以来、夏の甲子園で白星がない。今年は四半世紀ぶりに勝てるか注目です。中野良紀は1年秋の明治神宮大会で見て以来、スイングのきれいな好打者だと思っていました。また、東海圏に強いライターの尾関雄一朗さんから「若原翔平も好素材だ」と聞いていたので、見てみたいです。

後半は西日本の代表校についてコメントします!

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