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【35年前の伝説の日本シリーズを再現!?】週刊野球太郎は、あえて、カープとバファローズに注目します!

 今から35年前の1979年11月4日、プロ野球でひとつの伝説が生まれた。

 その日、江夏豊が最終回のマウンドで投じた「21球」は、広島東洋カープに初の日本一の栄冠をもたらした。カープはさらに翌年も近鉄を破り、2年連続日本一を達成。「カープ黄金期」のまさに栄華の頂点は、あの「21球」によってもたらされた日本一の瞬間、といっても過言ではない。

 一方、江夏の前に破れた近鉄バファローズは、その後も日本一の座に就くことはないまま、2004年に球団は消滅。同じ関西を本拠地とする当時のオリックス・ブルーウェーブに吸収合併される形で、「バファローズ」という名だけはなんとか受け継がれている。ただ、オリックス・バファローズになった以降もパ・リーグのペナントを制することはできず。振り返ってみれば、あの21球の攻防、特に1死満塁という千載一遇のチャンスが、バファローズにとって、もっとも日本一に近づいた瞬間だったのだ。

 カープとバファローズ。35年前に雌雄を争った2球団が、奇しくも2014年のプロ野球を一番盛り上げた存在だったのではないだろうか。


▲『野球次郎 VOL.1広島東洋カープ大事典』では「江夏の21球」を、鮮烈なイラストとともに収録している。


 かたや1991年の優勝以来、一度も日本シリーズに進出できていない広島東洋カープ。今年は13年ぶりにシーズンを勝ち越し、16年ぶりでAクラス入りした昨年同様、3位という順位でクライマックスシリーズ(以下CS)に臨む。

 かたや、1996年の日本一以来、一度も日本シリーズに進出できていないオリックス・バファローズ。球団再編後の10年間で最下位3回、5位3回という万年Bクラスながら、今季は優勝にわずか「0.5ゲーム差」という僅差を演じた2位チームとして、2度目のCSに臨む(10月7日にナイトゲーム1試合を残している)。

 セ・パそれぞれ、もっとも優勝から遠ざかっている2チームの躍進が球界に新たなムーブメントを巻き起こしたのだ。その証拠に、オールスターで最多投票を獲得したチームは、セ・リーグが広島の8人。パ・リーグはオリックスの5人。どちらのチームも、「カープ女子」と「オリ姫」という女性ファンを中心とした熱狂的ファンの盛り上がりが話題となったのがその一例といえるだろう。

 だからこそ思う。ポストシーズンも、もしこの2チームが勝ち上がれば、そして、「江夏の21球」を再び想起させる【カープvsバファローズ】という組み合わせの日本シリーズになれば、もっと面白いことになるのではないだろうか……。メディアとして、特定球団を応援するのは本来御法度。だが、「そんな見方もあるよ」と提示することでポストシーズンがさらに盛り上がるものになれば、と思う次第だ。

 そこで『週刊野球太郎』では、11日(土)から始まるポストシーズンの様子を、「江夏の21球」に見立て、「〇〇の■■球」という切り口で次週以降掲載していく。ある特定のイニング、もしくは対戦に焦点を絞り、どこが試合のターニングポイントだったのかを掘り下げる予定だ。


 セ・リーグのCSファーストステージは、昨年同様の組み合わせとなった。甲子園を舞台に行われる阪神(2位)vs広島(3位)。昨年は、シーズン終盤に一気に加速し、16年ぶりのAクラス入り、という勢いそのままに広島が2連勝し、ファイナルステージへとコマを進めた。注目は、やはりエース・前田健太の出来になるだろう。シーズン最終戦ではボークで自滅してしまい、チームを2位に押し上げることができなかった上に、登板間隔が短くなり、CSを迎えることになる。どう復調してくるかが鍵といえる。

▲中5日で、ファーストステージ第2戦に先発する予定だと伝えられている前田健太

 一方の阪神。順当にいけば、13勝で最多勝に輝いたメッセンジャーと、11勝の藤浪晋太郎という、今季の勝ち頭2人の先発が予想される。だが、気になるのはシーズン最終戦で広島に勝った能見篤史の存在。今季は好不調の波が激しかったが、こと広島戦に限っていえば防御率1.71という安定感を誇っている。昨年のCSファーストステージでは、なぜか登板することなくチームが敗れているだけに、期するものがあるはずだ。

 一方のパ・リーグは、昨年5位だったオリックス(今季2位)と、昨年最下位の日本ハム(今季3位)という組み合わせで、京セラドーム大阪で開催される。オリックスとしては、最多勝(16勝)の金子千尋と、12勝の西勇輝の2枚看板で一気に勝負を決め、ファイナルステージに進出したいところ。ただ、今季のオリックスvs日本ハムは12勝12敗のイーブン。そして金子にいたっては3戦して2敗(0勝)と相性の悪い組み合わせとなるのがどう出るか?

▲金子千尋のシーズン防御率は1.98ながらも、対日本ハム戦に限ると防御率2.91となっている。

 日本ハムは、チーム勝ち頭(11勝)の大谷翔平で何としても先勝したいところ。ファイナルステージ以降は打者に専念する方針が伝えられているだけに、ファーストステージで「全力投球」ができるはずだ。また、チームとしては直近10試合が7勝3敗とのぼり調子であることに加え、引退する稲葉篤紀に1試合でも多くプレーを……というモチベーションがあるのも大きい。稲葉本人も、「最後にもう一度、栗山監督を胴上げしたい」と、胴上げ請負人としての意地を宣言している。

 CSファーストステージは10月11日(土)〜13日(月)からの最大3日間で、2勝先勝勝ち上がり方式。1日置いて15日(木)からは早くもCSファイナルステージが始まる。プロ野球が面白くなるのは、いよいよこれからだ!


■ライター・プロフィール
オグマナオト/1977年生まれ、福島県出身。広告会社勤務の後、フリーライターに転身。「エキレビ!」では野球関連本やスポーツ漫画の書評などスポーツネタを中心に執筆中。『木田優夫のプロ野球選手迷鑑』(新紀元社)では構成を、『漫画・うんちくプロ野球』(メディアファクトリー新書)では監修とコラム執筆を担当している。ツイッター/@oguman1977

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