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3回戦まで順当に勝ち上がったPL学園!しかし、戦いぶりは不安を残す。4回戦が1つ目のヤマだ!

【この記事の読みどころ】
・ここまでは「7点取れ」の指示を遂行する打撃陣
・しかし、4番5番の不調と走塁での攻撃が見られず不安
・次戦の4回戦では課題のベンチワークが試される一戦に!

 大阪桐蔭と履正社の初戦対決が全国ニュースでも広く取上げられた翌日の20日。熱戦の舞台となった舞洲ではなく南港中央球場でPL学園はみどり清朋との3回戦を戦っていた。結果は2日前に行われた初戦(2回戦)の登美丘戦(9−2)と同じ7回コールド勝ち(8−0)。先発の難波が4回までを1安打9奪三振と封じ、あとをアンダーハンドの円城寺、エース左腕の山本尊日出、最後は背番号20の松島とつなぎ、約1時間半でのゲームセットとなった。

 大阪を制するため、春以降「7点以上を取る打線を目指してきた」と大会前に千葉智哉コーチが話していたが、数字だけを見れば打線も及第点に見える。

 ただ、初戦に続き、相手チームとの力差は明らかで、むしろ、7回まで試合を決められなかった点に物足りなさが残った。打線の中では5番のネイサンの調子が上がらず、この日も崩れたスイングが続いていた。4番を打つ大丸巧貴も粗さが目立ち、2人揃ってノーヒット(大丸は四球1)。この日は2人の後を打つ6番の大和久広輝が一発を含む3安打と気を吐いたが、全体のヒット数も8本だけ。

▲大会前の練習試合から好調な大和久

 さらに、個人的に物足らなかったのは相手バッテリーの力量から盗塁を仕掛ければ限りなく成功の確率が高かったはずにも関わらず、走ったのはわずかに1つ。盗塁だけが走塁ではないとはいっても、走塁ミスもあり、相手なりの試合運び、プレースタイルに強さを感じ切れなかった。

 試合後、校長兼務の草野監督はいつものように良くも悪くも、朗らかに、かつ、淡々と試合を語っていた。“PL消滅の危機”という深刻な空気の一方、この“朗らかな淡々”にいつも違和感を覚えてしまう……。それはともかく、草野監督が間もなくして「今日はそんな書く話もないでしょ?」と苦笑いを浮かべたところで、囲み取材はひと段落となった。

 この日、第3試合で行われたPLの試合が終わったところで4回戦以降の抽選が行われ、次戦は21日に行われる上宮太子対生野の勝者と22日に戦うことが決まった。この2戦、力量差のある相手とのゲームが続いており、ここで仮に春季大阪大会ベスト4の上宮太子と当たることにでもなれば、不穏なムードが漂う。

 抽選結果が記入されていく紙を見ながら、ある記者が「太子は投手力が弱い。PLがボコボコにやるんじゃないか」と得意げに語っていたが、そんな展開にはまずならないだろう。確かに上宮太子にかつてのスケールはないが、今回のチームは一体感が持ち味で実に粘っこい。三塁コーチャーの丸山伸弥が主将としてチームを束ねている事一つみても、チームカラーが伝わってくる。一丸の力を甘く見ていると、PLの夏はここで終わってしまうかもしれない。

 もちろん、戦いである以上、生野にも可能性はあるが、PLの選手たちがどこまで集中して試合に入って来るか。さらに次戦以降、勝ち上がっていくための大きな課題の1つがこれまでも書いてきたベンチワークだ。この2戦、シビアな場面でのサインや選手交代はなく、このあたりも春までと比べどう進歩したのか実際のところわからない。

 みどり清朋戦のあと、ベンチで監督に代わりサインを送る背番号15の奥野泰成に話を聞いた。開会式で主将の謝名堂陸に話を向けた時、投手交代については謝名堂、奥野、捕手の意見で総合的に決める、と話していた。ただ、昨秋、今春と大阪桐蔭に敗れた試合ではいずれも投手交代の決断が遅れ、序盤で大量点を失うパターン。「3人による決定」ではまた遅れが心配になる、と奥野に聞いた。すると…。

「お前が決めていい、とチームメイトからは言われているので、責任を持って自分が決断します。これまで“そこ”が遅れたのはわかっているので、早め、早めのイメージでやろうと、練習試合の時からやってきたので大丈夫です」

▲サインを出す奥野(左)

 ただ、実際に早めの決断を下し、投手を交代させた経験は少なくとも公式戦ではない。夏の重圧の中、どこまで冷静、かつ迅速な判断を下せるか。山本尊日出、難波雅也、林陽介を中心に、一定以上の力を持った投手が揃うだけにこの投手起用が戦いの行方だけでなく、PL野球部の運命をも左右することになりかねない。

 奥野は責任の重みを理解しながら「みんな勝つことが第一とやっているので、迷わず、ベストの決断をしたい」と、もう一度力を込めた。

 ベンチワークの話は昨夏、秋の決勝、今春の準々決勝と敗れた大阪桐蔭との夏の戦いをイメージし、記事でも書いてきたが、宿敵との戦いを前に“そこ”が試される試合を迎えそうだ。夏の立ち遅れ、決断遅れは致命的。

 この記事が更新された翌日の22日、10時から舞洲で行われる4回戦。果たしてどんな戦いが待っているのか。負けられないPLにとって、1つ目の大きなヤマだと思っている。


■ライター・プロフィール
谷上史朗(たにがみ・しろう)/1969年生まれ、大阪府出身。関西を拠点とするライター。田中将大(楽天)、T−岡田(オリックス)、中田翔(日本ハム)、前田健太(広島)など高校時代から(田中は中学時代から)その才能に惚れ込み、取材を重ねていた。近著に『マー君と7つの白球物語』(ぱる出版)がある。

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