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センバツレビュー/桐生第一、横浜、佐野日大編

桐生第一高編


 昨秋の関東大会以降、60イニングでわずか3失点。広島新庄高戦の延長15回を含めて、1試合での最多失点が1点という、抜群の安定感を見せている山田知輝。

 ピッチングに強弱を付けられるのが最大の魅力だ。力の抜きどころ、入れどころがうまく、バッターの打つ気がないと思えば簡単に変化球でカウントを取ってくる。ストレートも球速帯が3種類ぐらいあるような感覚で、ストレートだけで緩急を付けることができる。右打者のインコースに緩いカーブを投げて、ファウルを打たせるなど、ピッチングの幅が広い。

 フォームで光るのはリリースの角度。バッター目線で考えると、見た目以上に高い位置からボールが投げ降ろされているのではないだろうか。

 もしこのまま勝ち上がれば、2回戦から決勝まで5連戦。さすがにすべて投げることはないと思うが……、疲れた中でどれだけ試合を作ることができるかに注目。



横浜高編


 真ん中からインコース寄りを引っ張って、ライト方向へ2安打を記録した浅間大基。球足の速さはさすがと思わせるもので、スイングスピードの速さ、インパクトの強さを見せつけた。

 3回無死一、二塁では、二塁ランナーの浅間が三盗を仕掛けた。バッターの川口凌が送りバントをしたため、結果的にバントエンドランとなったが、川口が見送っていれば、三盗は成功していたタイミングだった。おそらく、サインは送りバント。その状況でも、ピッチャーのモーションが盗めたから走る。野性的な勘の鋭さを持ち合わせている。昨夏の前橋育英高戦では、6点ビハイドの8回にノーサインで二盗、三盗を決めたこともあった。

 課題だったアウトコースへの対応は、バッテリーが攻めてこなかったため見ることができず。逆方向に長打が出てくるようになれば、さらに脅威のバッターとなる。

 濱祐仁は第一打席でセンターオーバーのタイムリー二塁打。最終打席でもセンター前に痛烈なタイムリーを放つ。ともにベルト付近の高さの甘い球。打つべきボールをしっかりと振って、結果を残した。センターオーバーはバットのやや根元より。芯でとらえていれば、バックスクリーンに入っていただろう。

 今後の課題が見えたのが、5回のサードゴロだ。緩急で攻められて、最後はアウトローのボールになるカーブに対して、当てただけのサードゴロ。昨夏の前橋育英高戦でも見えたことだが、緩いカーブを待ちきれずに振ってしまう場面が多い。

 インコースのストレート、外の緩い球という長距離砲に対する王道の配球に、どこまで対応できるかが夏の注目となる。

 4打数0安打に終わり、3番としての仕事を果たすことができなかった川口凌。初回、1死二塁のチャンスでインハイのボール球を強引に打ちにいき、ファーストファウルフライ。外のボール球にも手を出すシーンが何度かあった。

 ミートセンスが光るバッターだが、芯でとらえる自信があるためか、ストライクゾーンが広い。それがプラスに出ることもあれば、マイナスに出ることも。難しいコースでも、若いカウントから手を出す傾向にある。打つべきボールを振れるようになれば、もっと「確率」が上がっていく。

 立ち上がりからストレート、変化球の制球に苦しみ、最後まで自分のピッチングができず、屈辱の2度のノックアウトとなってしまった伊藤将司。神奈川県大会で投げている時とは別人のような出来だった。ストレートが130キロを超えたのは、わずかに1、2球。ピッチャーの基本となるストレートの強さを磨くことに、もう一度取り組んでほしい。

 そして、夏に注目したいのが左バッターに対する攻めだ。左対左のときに、およそ9割5分、アウトコース中心の配球となる。八戸学院光星高打線は、この外を踏み込んで狙っていた。外の出し入れだけでは、甲子園レベルでは通用しないことがわかったはず。左バッターのインコースに、どれだけ投げ切れるか。

 マウンドさばき、フィールディング、けん制といった、投げる以外の守備面には長けたピッチャー。ストレートの球威が増していけば、ピッチャーとしての評価も上がっていくはずだ。

佐野日大高編


 初戦で5安打12奪三振完封、2回戦では延長10回4失点完投勝利の田嶋大樹。ドラフト候補対決となった智辯学園・岡本和真との対決は4打数1安打に封じた。2打席目にボールになる膝モトのスライダーで空振り三振を奪うと、3打席目にはフルカウントからインコースのストレートで見逃し三振。田嶋の能力の高さを見せる内容だった。

 ストレートとスライダーで、腕の振りが変わらないのが特徴だ。スライダーは右バッターの膝モト、左バッターのアウトコースと、ホームベースの三塁側にきっちりと制球できる。昨秋の関東大会では左打者へのスライダーが抜けてしまい、甘く入る場面が何度かあったが、センバツではその確率が減っている。

 ただ、左打者に対して外一辺倒の攻めになるのが課題。終盤、智辯学園高打線に狙われていた。準々決勝の明徳義塾高戦では左バッターをどう抑えるか、注目したい。




■関東地区担当ライタープロフィール
大利 実(おおとし・みのる)/1977年生まれ、神奈川県出身。中学軟式野球ライターとして草分け的存在。著書に『中学の部活から学ぶ わが子をグングン伸ばす方法』(大空ポケット新書)、神奈川でしのぎを削る監督たちのライバル模様を描いた著書『高校野球 神奈川を戦う監督(おとこ)たち』(日刊スポーツ出版社)がある。メルマガ『メルマガでしか読めない中学野球』も大好評配信中。

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