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ソフトバンクの編成採点〜育成は80点。育てるよりも過当競争からの這い上りを待っている?

文=勝田聡

ソフトバンクの編成採点〜育成は80点。育てるよりも過当競争からの這い上りを待っている?
 ソフトバンクはレギュラーシーズンで2位だったものの、CSを勝ち抜け日本シリーズに進出。日本一3連覇を達成した。ポストシーズンではCSの初戦で敗れて以降、10連勝。まさに破竹の勢いで日本一まで駆け上った。

 そんなソフトバンクの今シーズンを中心とした、ここ数年の編成を本誌『野球太郎』の持木編集長とカバティ西山に話を聞きながら、「日本人選手獲得」「外国人選手獲得」「育成状況」のカテゴリーごとに採点してみた。

(※「日本人選手獲得」「外国人選手獲得」は2018年オフから2019年シーズンが対象)

日本人選手獲得:75点


 2018年シーズンのオフにソフトバンクは、FA選手の補強や自由契約選手の獲得は行わなかった。ドラフトで獲得した選手のみを加えて、2019年シーズンに臨んだのである。

 そのなかでドラフト1位の甲斐野央は、セットアッパーとしてチーム最多の65試合に登板。また、森唯斗が離脱している期間にはクローザーも務めるなど大車輪の活躍を見せた。

 しかし、同じく即戦力として期待されたドラフト2位の杉山一樹は度重なる故障で1軍登板は2試合のみ。少ない登板機会で結果を残すことはできなかった。一方、下位指名ではドラフト6位の泉圭輔が14試合に登板して2勝、防御率1.96と好投。7位の奥村政稔は中継ぎとして12試合に登板したが物足りない成績に終わった。

 持木編集長は「杉山がケガした分を泉が補った感がありますね。杉山は泉くらいの成績は残せるだろう思っていました。奥村は社会人出身の27歳なので、年齢的にも来季こそは必死にならないとまずいですね」と言う。泉が杉山のマイナスを補って、プラスマイナスが相殺されたと感じたようだ。

 大きな補強がなかったにもかかわらず、ケガ人続出のなかで日本一3連覇を成し遂げてしまうあたりに層の厚さを感じさせてくれる。しかし、主力野手陣の高齢化を見ると、松田宣浩や内川聖一の世代交代を含め、そろそろ本格的に次のチーム作りを考えていかなくてはならない頃合いだ。

■ソフトバンクの日本人選手獲得/2018年ドラフト
1位:甲斐野央(投手/東洋大)
65試合/2勝5敗8S 26H/58.2回/奪三振73/与四球34/防御率4.14

2位:杉山一樹(投手/三菱重工広島)
2試合/0勝0敗/4回/奪三振4/与四球5/防御率9.00

3位:野村大樹(内野手/早稲田実)
2試合/打率.500(2打数1安打)/0本塁打/0打点/0盗塁

4位:板東湧梧(投手/JR東日本)
1軍出場なし

5位:水谷瞬(外野手/石見智翠館高)
1軍出場なし

6位:泉圭輔(投手/金沢星稜大)
14試合/2勝0敗3H/18.1回/奪三振18/与四球8/防御率1.96

7位:奥村政稔(投手/三菱日立パワーシステムズ)
12試合/0勝1敗3H/12.1回/奪三振10/与四球7/防御率8.76

育成1位:渡邉陸(捕手/神村学園高)
1軍出場なし

育成2位:岡本直也(投手/東農大北海道オホーツク)
1軍出場なし

育成3位:重田倫明(投手/国士舘大)
1軍出場なし

育成4位:中村宜聖(外野手/西日本短大付高)
1軍出場なし

外国人選手獲得:採点不能


 2018年シーズンオフにソフトバンクは新外国人選手を獲得しなかった。日本人選手も外国人選手も補強しなかったのは裏を返すと、戦力は十分ということでもある。

 そんななか、2019年シーズン開幕後にカーター・スチュワート・ジュニアを6年契約で獲得している。スチュワートは2018年6月に行われたMLBのドラフト会議でブレーブスに指名されていたが、交渉が決裂し日本行きを決断した。

 ソフトバンクにとって新外国人選手ではあるが、1年目から1軍での活躍を期待しているわけではない。日本人選手と同じように育成し、数年後の1軍起用を見込んでいる。まさに新たな外国人選手の獲得ルートを開拓した格好だ。これから先、MLBのドラフト会議で指名されるも契約に至らなかった選手たちが日本に戦いの場を求めてやって来るかもしれない。

■ソフトバンクの外国人選手獲得
カーター・スチュワート・ジュニア
1軍出場なし

育成状況:80点


 2019年シーズンは野手陣に故障者が多くオーダーを組むのに苦労した。そのなかで釜元豪や川瀬晃、三森大貴といった若手が出番をつかむも、レギュラー定着には至らない。

 投手陣では高卒4年目の高橋純平が中継ぎとして1軍に定着。2020年シーズン以降に期待の持てる投球を見せた。そして2009年ドラフト2位入団の川原弘之が我慢の末に1軍で結果を残している。育成契約も経験している苦労人が、10年目に開花の兆しを見せた。

 持木編集長は「育てているというより、過当競争のなかで這い上がってきた感が強いですよね。育成という点では、田中正義をなんとかしてほしいのですが…。ここ最近で我慢して成長を待ったといえるのは川原ですかね。ほかは1軍に上がるけど、定着できない選手が多い。最後の壁が厚いというか」と、チャンスをつかんでも、なかなか1軍で定着できないところにもどかしさを感じている。

 カバディ西山は「高橋純平は3年間よくなく、去年はフォームを完全に見失って、もうダメなのかなと思っていました。よくフォームの感覚を取り戻して、しかも、こんな突然に1軍で活躍するなんて……と思います」と高橋がいい意味で裏切ったことを喜んだ。

 ソフトバンクに関してはドラフト1位も育成選手も関係なく、同じように競争のなかに放り込まれる。そのなかで実力を出しきり、這い上がってくることができるのかどうか。そこにかかっている。

文=勝田聡(かつた・さとし)

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