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【プロ野球ファンの生態レポート第4回】神宮全試合観戦の野球女子が見た春季キャンプと優勝への道

【プロ野球ファンの生態レポート第4回】神宮全試合観戦の野球女子が見た春季キャンプと優勝への道
 野球がない日はつまらない! 試合が気になって仕事が手につかない! そんな熱烈プロ野球ファンの生態を調査する連載企画『そこまでやる!? プロ野球ファンの生態レポート』。第4回となる今回は、Aさん(30代前半、ヤクルトファン)が3度目の登場。AさんはIT企業で忙しく働きながら、神宮球場でのすべてのヤクルトホームゲームの他、遠征も含めると約70試合を観戦する筋金入りの野球女子……にして、今や本連載のレギュラーメンバー!? 今回は沖縄・浦添球場ヤクルトの春季キャンプと、そこから見えた今シーズンの展望を聞く!

秋と変わらずしごかれる若手はどうだ!?


 まずはAさんがヤクルトファンになったいきさつを紹介。もともとAさんはイタリアサッカー界のイケメンスター、フィリッポ・インザーギのファンで野球にはさほど興味がなかった。しかし、2009年の第2回WBC、テレビのなかで躍動する青木宣親(ヤクルト)にビビビと電気が走る。「やだ何、かっこいい!」。いそいそと神宮球場にかけつけると、青木が“王子よろしく”とばかり先頭打者ホームランでAさんをお出迎え。この運命の出会いをきっかけに、ヤクルトとともに、そして球場観戦とともに過ごす“野球女子の日々”が始まった。

 「基本的に弱いけど、時々強い。ダメなシーズンもバレンティンがホームラン王になったりと誰かが活躍するから面白い」と言うヤクルトにハマったAさんは、いつしか母性本能をくすぐられ、今では母親のような慈愛の眼差しで若手選手を見守るようになった。

 仕事を急いで片づけ、神宮球場に駆けつけると試合はだいたい2回表か裏。道すがらAさんが考えるのは「どうか試合が壊れていませんように……」とのこと。ヤクルトナイン、とくに先発陣の皆さん、神宮の母が現れるまでよろしくお願いします!

 Aさんは、最近では2017年秋、2018年春・秋とキャンプを観戦。若手主体の秋季キャンプでは、2017年から就任した宮本慎也ヘッドコーチが檄を飛ばす猛練習に泥だらけになって食らいつく選手の姿に「何かが変わりそうなワクワク感」と感じた。「考える」がテーマだった昨秋は、特に村上宗隆と宮本丈に注目。同時に若手に交じってリードする中村悠平らの存在感にグッときたという。

 その秋から約3カ月、レギュラーやベテランも加わる春季キャンプはどうだったのだろう。Aさんは2月9日から11日にかけて参戦した。

「青木がいる! バレンティンもいる! ベテランの選手が合流するので春はすごく華やか。でも、彼らは別メニューで各自調整しているので、秋と同じ若手の選手たちがひたすらしごかれていましたね」

 グラウンドでは廣岡大志が一塁、奥村展征や渡邉大樹が河田雄祐コーチにしぼられながら外野の守備練習を行うなど、コンバートを模索する動きが見られた。昨シーズンのヤクルトの内野は西浦直亨が遊撃のレギュラーを手にした。また坂口智隆が一塁で98試合に出場するなど、なかなか期待の若手がくいこめない状況になっている。とはいえ、ベテランが多いチームだけに、若手の育成は急務だ。

「渡邉くんはほかの人が1本捕って終わるところを、2本捕らないと次の人に移らない。廣岡くんは三遊間で左右に振られる特守ではゴロのさばき方を鍛えられていて、紅白戦や練習試合ではファースト、ショート、サードと守っていました。『成長させたい選手なんだ』と期待されているのが伝わってきましたね」

 秋から注目していた村上もヘロヘロになるまで特守でしぼられていたが、「守備はまだまだ」とAさんからの及第点は与えられず……。一方、壁となる西浦については「やっぱり上手。このキャンプのキャプテンも務めていましたし、去年のプレーが自信になったようで、貫禄が出てきましたね」とのこと。

 打撃を見ればとくに廣岡、村上はロマンの塊。しかし守備は……。Aさんはユニフォームを泥だらけにしながら、一生懸命に特守をこなす彼らを微笑ましくも、もどかしそうに見る。首脳陣もファンも悩ましいところだ……が、「『声が出てない!』と河田コーチに発破をかけられるなど、ちょっとふわふわしていておとなしく見えた」と言う渡邉が、Aさんのもやもやを晴らす一発を放つ!

 舞台は2月11日、起亜タイガースとの練習試合だ。

「この試合、序盤は打てなくて、投手陣も抑えているようでピリッとしなくて、失礼ながら、冴えないなぁ……という試合だったんです。そうしたら最後に渡邉くんが逆転満塁ホームラン! 『1軍に残れるかなぁ』と思っていたのですが、渡邉くんにとっていいアピール。頑張ってほしいなって」

 ヤクルト野手陣の攻撃力はリーグトップクラス。レギュラーに割って入るのはたいへんだが、それは若手の宿命。若手選手の皆さんが、神宮の母を「この子はもう大丈夫」と安堵させる日を待っています!

【プロ野球ファンの生態レポート第4回】神宮全試合観戦の野球女子見た春季キャンプと優勝への道
未来の主砲を託される村上宗隆は課題の守備を猛特訓。
背番号55が「燕のゴジラ」のものになる日は近い!?

雄平がサインを1時間。浦添に流れる平和な空気


 このキャンプには、19年のプロ生活で通算2173安打、通算打率.319を記録したヤクルトOBにして小さな代打者の代名詞・若松勉氏も臨時コーチとしてキャンプを訪問したが、渡邉は劇的弾の前日、直接アドバイスを受けていたという。

 Aさんは早速の効果を喜びながら、若松氏が歩く眺めを「小さなおじさんがふらふらしてると思ったら若松(勉)さんで(笑)。バレンティンとじゃれていたんですけど、『小さい!』って思って」と楽しそうに語る(小さな大打者の代名詞・若松さんはレジェンド中のレジェンドです)。

 いかにも「いい人」の若松氏が醸す明るいムードが想像できるが、今のヤクルトには1980年代後半から顕著な元来の明るさと、宮本コーチ就任以降の厳しさがいいバランスで成り立っているように思える。

 それは今春、Aさん曰く「平和」なムードとなって浦添球場に漂っていた。たとえばサインの場を見るとこうだ。

「若手とは別メニューの雄平選手がもっと練習したそうな顔をしながら、1時間くらいずっとサインをしていて。暇ではないんでしょうけど、もしかして筋トレを兼ねているのかなっていうくらい書き続けていました(笑)」

 とはいえ、雄平に限らず、ファンが殺到して選手を囲むシチュエーションは皆無。選手が歩いていても、ファンはちょっと離れて歩くのんびりムード。また、胸下の高さの柵で隔てた専用スペースで選手はサインをすることになっているのだが、場はきわめてフレンドリー。選手たちは柵から出て笑顔でサインをしてくれたという。

「松坂選手(大輔、中日)が殺到したファンに引っ張られて肩を痛めたというニュースが出たばかりだったんですけど、浦添では『こんなところがあるんだ』っていうくらい平和な時間が流れていましたね。ただ、しごかれている若手選手は泥だらけのユニフォームでヘロヘロになって歩いているので、とても『サインをください』とは言えませんが……」

 その穏やかなムードスタンドでも同様だった。浦添球場のスタンド入り口は右翼ポール側の一塁側内野席に設けられているのだが、スタンドに入るとそこには芝生とベンチ席の混合エリアがある。

「一般のお客さんは入れないんですけど、仕切りは申し訳程度のテープが一本張ってあるだけで、入ろうと思えば簡単に入れる(笑)。で、なかを見るとライアン(小川泰弘)が紅白戦や練習試合を眺めていたり。あと、バックネット裏のスタンドに、普通にムーチョ(中村悠平)が歩いてきて、スコアラーの人の横でスコアブックをチェックしていました」

 寺原隼人を先頭に選手全員が現れた浦添の少年たちとの野球教室の雰囲気も含めて、Aさんは「本当に平和な世界」だったと目を細めた。

【プロ野球ファンの生態レポート第4回】神宮全試合観戦の野球女子見た春季キャンプと優勝への道
ファンのサインに熱心に応える雄平。
1時間を越えても笑顔でサインを続けていた

スタンドではジューシー、夜は泡盛。「ムーチョは気合入ってるね!」


 続いてはキャンプ観戦の道中の話を。今回のAさん御一行は、Aさんとお母さんと、友人親子(母子)2組という6名。それぞれ違うホテルに泊まり、朝8時半にホテル近くのバスターミナルで集合し、約30分かけて浦添球場へ向かったという。

 お昼ご飯は球場内の売店で購入したラフティの乗ったジューシー(沖縄風炊き込みご飯)やタコライスをスタンドで。ジューシーは200円くらいでとても安い。売店の横には屋台が並び、サーターアンダギーや焼き鳥も売っている。また、緑色の麺のヤクルトラーメンも売っていたそうだが、スタンドまでの持ち運びを考えると遠慮したとのこと……。このヤクルトラーメンを食した方、いかがだったでしょうか。

 1日のスケジュールを聞くと……。

「練習が17時くらいに終わってホテルに戻ると18時。各自のホテルで荷物を置いて、19時から沖縄料理のお店で泡盛。もずくのお通しの美味しいお店があって思わずおかわりしました。翌朝は早いので21時には解散して、あとはそれぞれホテルで飲む(笑)。で、翌朝8時30分に球場に向かうバスターミナルに集合です」

 規則正しく、野球とグルメとお酒オンリーで濃密。働き方改革でお休みを取りやすくなった野球ファンの皆さん、春キャンプ観戦はお薦めです!

 グルメついでにもう一つ。Aさんが気に入ってお土産としても買って帰ったのはファミリーマート限定の泡盛ベースのお酒。風味はシークワーサー味、アセロラ味、コーヒー味の3種。絶品とのことです。機会があればご賞味あれ。

 なお、酒の話題はもちろんキャンプで見た選手のこと。「成長した、立派になった」と株をさらに上げたのは中村悠平。Aさん御一行を率いる3人のお母様からも「気合が入っているね」と太鼓判が押されたとのこと。今シーズンのムーチョはますますやりますよ!

Aさんレコメンドの開幕オーダーと優勝への道!


 今春季キャンプを踏まえて、ずばりAさんに開幕オーダーを考えてもらった。

■Aさんレコメンドのヤクルト開幕オーダー
1(一塁):坂口智隆
2(中堅):青木宣親
3(二塁):山田哲人
4(左翼):バレンティン
5(右翼):雄平
6(三塁):村上宗隆
7(遊撃):廣岡大志
8(捕手):中村悠平
9(投手):小川泰弘

 「5番までは順当ですね。で、6番は期待を込めて村上くん。7番は……西浦選手だろうけど、廣岡くんで! 廣岡くんを7番で起用するのはロマンですよね。村上くんと廣岡くんが並ぶのは多くのファンが見たいオーダー。でも、西浦選手も頑張っているので……。欲を言うと外野では塩見(泰隆)選手にも出てほしい……。でも、このオーダーだと内野の守備が厳しそうですね(笑)」

 山田の海外FAも囁かれ、主力の高齢化が進むなか、「今年は『世代交代をするための準備の年』が裏テーマかもしれない」と言うAさんに、続けて今シーズンの展望と希望をどう見ているのか。昨シーズンは2位。リーグ3連覇の広島を逆転する一手を尋ねると、近藤一樹、石山泰稚の投げすぎからのケガを心配しつつ、それでもリリーフ陣の充実を挙げた。

「先発陣は揃ってきていますが、ここ何年、完投数は少ないので、すぐには改善できないかと……。だからリリーフ陣の頑張りがカギだと思います。となると近藤選手、石山選手が無事に過ごせるかも心配。あと抑えの左ピッチャーがいないことも気になります。結局、ピッチャーがどれくらいやれるのかな」

 なお、野手陣はベテランが全試合出られないとしたら、その穴を若手が上手く埋めて、次世代の土台作りができればベターだと。ヤクルト投手陣の奮起を期待しつつ、で、目標とする順位は?

「Aクラスには入りたい……いや、去年は2位だったから2位には……でも、やっぱり優勝したいですね!」

 Aさんは9月15日、16日のマツダスタジアム、広島戦のチケットを押さえている。去年の広島遠征では目の前で胴上げを眺めた。そのおかげで、振る舞いの30円ハイボールを浴びるように飲んだ。「あれを経験したら怖いものはない」と言う。

「今年の9月のマツダスタジアムでは、うちが優勝をかけて戦っていてほしい。広島に乗り込んでマジックを初点灯させるか、減らすか。で、神宮に戻ってきて胴上げです」

 「マツダスタジアムで優勝は?」と聞くと、「うちが優勝するとしたら、早く優勝を決めることはないので」とAさんは見立てた。今シーズンのセ・リーグは最終盤までもつれる乱戦になるか。ヤクルトは優勝できるのか。若手の台頭とベテランが噛み合う黄金時代の足がかりを築けるのか。それは神のみぞ知る……と締めたいところだが、答えを知っているのはヤクルトの選手だ。いざ、神宮球場で祝杯を!

取材・文=山本貴政(やまもと・たかまさ)

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