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ケガがなければ…と思わせる、今季こそ順調にシーズンを過ごしたいプロ野球選手たち


 ハイレベルな戦いを繰り広げるプロ野球選手に、ケガはつきものだ。しかし、なかには想像以上の頻度でケガをしてしまう選手や、調子が上がってきた時に限って、判を押したように故障する選手もいる。

 チームにとって必要な選手であるため、球団関係者もファンも、ある意味一番改善してほしい部分と思っているだろう。しかし、なかなか解決できないまま今日に至っている。


フル出場したらどんな成績になるのか


 高橋由伸が引退し巨人の監督に就任した今、現役選手の中で一番「ケガがなければ…」と思わせるのは、荻野貴司(ロッテ)だろう。

 ルーキーイヤーに、46試合で25盗塁という鮮烈なデビューを果たした荻野。シーズン終了後には、どれだけの盗塁数を記録するのか? とファンを期待させながら、荻野はその得意の盗塁で、半月板を損傷するという不運に見舞われる。

 さらに荻野は、翌年からもケガの連続。昨年までの6年間のプロ生活で、無事に過ごせたのは1年だけだ。

 しかし、それでもファンからの期待は変わらず大きい。小柄な身体でダイヤモンドを所狭しと駆け巡るスピード感溢れるプレースタイルは、ロッテファンはもちろん、他球団のファンをも魅了。その思いに応えるためにも、まずは常時1軍に帯同したい。


ケガをなくして真の信頼を勝ち取る


 プロ入り2年目で141試合、3年目で126試合に出場し、いずれの年でもゴールデングラブ賞を獲得するなど、順風満帆に見えた荒波翔(DeNA)のプロ野球人生。

 暗転したのは4年目の夏、打撃好調の最中に起きた。右ふくらはぎの肉離れで戦列を離れると、若手の台頭もあり、そのシーズンはお呼びがかからなくなる。

 5年目の昨季は開幕1軍を逃し、ケガで1軍と2軍を行ったり来たり。しかし、そんな状況でも、3割近い打率を残した。

 まさに「やれば出来る子」といった印象の荒波。ケガはしたくてするものではないが、今季こそ元気に全試合出場を果たして、自己最高の成績と、再びゴールデングラブ賞獲得を目指してほしい。


クセになった脱臼からのカムバックを


「左のおかわり君」との異名を取る坂田遼(西武)。ぽっちゃり気味の体型が、中村剛也に似ていたことで付いたアダ名ではあるものの、今のところは成績よりもケガに見舞われやすい体質だけが、中村に似てしまっている。

 坂田はプロ入り4年目に、左肩の脱臼を克服して自己最高の成績を挙げた。「いよいよブレイクか」とファンが色めき立ったのも束の間、翌年の開幕直後の2軍戦で、再び左肩を脱臼するという憂き目に。

 以降は1軍にもあまり呼ばれることがなく、背番号も「31」でケガが多かったことから、末広がりという理由で「88」に変更された。

 そうこうしている間に、チームには山川穂高という三代目おかわり君が入団。折しも世の中は三代目がブームだが、負けじと二代目・坂田の活躍を期待したい。


ケガだけでなく体調不良とも戦う大器


 2011年にブレイクの兆しをみせていた福田秀平(ソフトバンク)。しかし、その翌年から左足、右足、左肩と毎年のようにメスを入れ、レギュラーを勝ち取りそうで勝ち取れない、はがゆいシーズンを送り続けている。

 思い返せば入団1年目の福田は、チームの必勝祈願を扁桃炎で欠席するなど、運に恵まれない面もあった。ケガではないにせよ、なんとも「持っていない」感はある。

 それでも2年目の春季キャンプには1軍に呼ばれるなど、首脳陣の期待はもともと高く、ポテンシャルは高いモノがあるのだろう。実際に盗塁成功率は非常に高く、5年越しで32連続盗塁成功という日本新記録も樹立。昨季の日本シリーズでも、離脱した内川聖一の穴を埋めて、チームの日本一に貢献した。

 昨年の勢いを今季の飛躍に繋げることができるか、はたまた再び不運に見舞われるのか。今季の福田に要注目だ。


「スペランカー」というテレビゲームをご存じだろうか。主人公はちょっとした高さの崖から飛び降りただけで死んでしまうなど、その虚弱体質ぶりは有名で、非常に難易度の高いアクションゲームとして知られている。

 ネット上では、そんな虚弱体質を引き合いに出して、ケガに弱い選手を「スペランカー体質」と呼んでいる。代表的な選手は、今季から中日に移籍した多村仁志だ。

「ケガをしない多村は多村じゃない」

 ネットの世界でよく見るこのセリフのように、スペランカー体質だからこそ、美しく尊いのかもしれない。ケガも含めて、その選手の魅力。逆もしかり、鉄人も希少だからこそ惹きつけるものがある。

 そうはいっても1年で良いから、荻野や荒波、坂田、福田が何事もなくシーズンを過ごすところを見てみたい。計り知れないポテンシャルを感じさせる選手であり、ケガの多い彼らがフルシーズン活躍したら、どれほどの成績を残すのか。プロ野球ファンなら興味は尽きないはずだが、これは…贅沢な願いなのだろうか。


文=森田真悟(もりた・しんご)

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