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キャンプ前半で話題を作ったニューフェイスランキング

 近畿や関東甲信越地区では、歴史的な積雪を記録した先週末。そんな大雪とは無縁の宮崎や沖縄で行われているプロ野球キャンプは、2月も半ばを過ぎて前半戦が終わったというあたりだろう。

 このコーナーではそのキャンプ前半戦で目立った選手たちを週刊野球太郎の独自目線でピックアップし、独断と偏見によるランキング形式で紹介。キャンプ前半戦の話題をさらった選手は誰か? そしてキャンプ後半戦も、その選手たちは首脳陣にアピールすることが出来るのか? プロ野球ファン要注目の「ニューフェイス」たちを紹介していこう。


松井裕樹(まつい・ゆうき)
――東北楽天ゴールデンイーグルス

 2月1日のキャンプ初日からブルペン入りした“黄金”ルーキー・松井裕樹は、星野仙一監督や侍ジャパン・小久保裕紀監督らのほか、160人もの報道陣を集めるなど、キャンプ前半戦で大きな注目を浴びた。

 13日まで行われた久米島キャンプでは9度ブルペン入りし、合計約550球を投じた松井。途中、ダルビッシュ有(レンジャーズ)や田中将大(ヤンキース)を見てきた佐藤義則コーチからフォーム修正を勧められるなど、試行錯誤もあった。しかし、あの厳しい星野監督からは「よく(1次キャンプに)ついてきた」と、久米島キャンプ最終日に「合格」を言い渡された。2次キャンプからは沖縄本島に移動し、より実戦的な練習が待ち受けている。高卒No.1左腕がどこまで1軍に帯同できるか、注目したい。

北方悠誠‎(きたがた・ゆうじょう)
――横浜DeNAベイスターズ

 続いては、キャンプ前半でその評価が上がったり下がったり、まさにジェットコースターのような激しい“浮き沈み”をみせた北方悠誠を取り上げよう。昨年11月の台湾ウインターリーグでは、最速158キロのストレートを武器に、日本代表チームのストッパーとして活躍。中畑清監督もキャンプ前から積極的に名前を挙げ、プロ入り3年目となる今季の活躍を大いに期待していた。

 しかし、キャンプに入ると中畑監督の評価は急激にダウン。6日には「全然使い物にならない。このままでは(1、2軍を)入れ替えないと」とコメントするほど、ブルペンに入っても制球が定まらず、捕手が取れないほどの暴投を繰り返した。

 しかし、10日のプルペンでは初めて褒められた。この日の北方は別人のようなピッチングを披露。制球は安定し、中畑監督は「ナマで見て初めて良いと思った。ストライクを投げられれば良いんだよ」とコメント。続く11日の紅白戦でも最速152キロをマークし、「期待感が持てる」と高評価。しかし、内容としては1イニングで2四死球を与えるなど、課題も残った。真の評価が降されるのは、オープン戦に登板してからだろう。

辻東倫(つじ・はるとも)
――読売ジャイアンツ

 キャンプ前半で忘れてはいけないのが、実に12年ぶりに宮崎キャンプに“襲来”した、ゴジラ・松井秀喜氏の臨時コーチの話題だろう。キャンプ初日は2軍練習を中心に視察。その際、岡崎郁2軍監督から紹介されたのが若き和製大砲・辻東倫だった。

 「2年目の辻です」と自己紹介した辻に対して「じゃあ見るよ」と返答した松井コーチ。打撃ケージに入り、緊張からいきなりバットを折った辻は三重・菰野高出身。高校通算35本塁打を放ち、2012年ドラフト3位で巨人に入団。

 昨年ルーキーながらは2軍で72試合に正遊撃手として出場。坂本勇人同様、1年目から英才教育を受けてきた。高橋由伸と阿部慎之助以降、生え抜きの左の長距離砲が育っていない巨人の現状をふまえると、辻にかかる期待は大きい。

 20歳も年が離れている松井臨時コーチの指導を受け、辻は何を感じて、何を掴んだか。14日からの沖縄2次キャンプでの1軍抜擢はならなかったものの、球団史上屈指の左の長距離砲だった先輩の指導は、今後のプロ野球人生のなかで、必ず生きてくるはずだ。

掛布チルドレン(かけふちるどれん)
――阪神タイガース

 選手個人ではなく、団体で話題を振りまいたのが掛布チルドレンたち。若手野手陣の育成を命題として昨秋から「GM付育成&打撃コーディネーター」に就任した掛布雅之コーチが指導にあたっていた阪神の若手選手たちが、キャンプ前半戦で結果を出しつつある。

 14日に行われた韓国・サムスンとの練習試合では、門下生たちが大活躍。「小掛布」のニックネームをもらった今成亮太がチーム1号となる本塁打を含む猛打賞を記録。「小バース」とよばれた森田一成は3点ビハインドの9回一死満塁から同点2塁打を放つなど、インパクトある活躍をみせた。

▲森田一成


 ほかにも「小新庄」は中谷将大、「小ミスター(長嶋茂雄)」は新井良太と、かつての名選手に追いつけといわんばかりに、ニックネームをつけられた掛布チルドレンたち。このなかから何人がレギュラーを獲れるか、注目したい。

井上晴哉(いのうえ・せいや)
――千葉ロッテマリーンズ

 そして1位は日本人選手最重量体重115キロを誇る、ロッテのドラフト5位ルーキー・井上晴哉だ。入団直後から、その風貌が女子プロレスラーのアジャコングに似ていることから、自ら「アジャ井上と呼んでください」とアピール。体重と相まって、実力よりも話題先行か…という予感もあった。

 しかし井上は、キャンプ前半で見事、その懸念を吹き飛ばす大活躍をみせてくれた。初日のフリー打撃では63スイング中、ヒット性の当たりは30本。8日の特打では200スイング中68本の柵越えを記録し、伊東勤監督から「あれは外国人だな」と高評価を受ける。

 さらに13日の紅白戦では4番・一塁で先発出場。第3打席では井上が放ったセンターオーバーの大飛球を外野手がはじき、さらに足に当ててしまいボールは転々。なんとランニングホームランを記録したのだった。そして16日に石垣島で行われたオリックスとの初のオープン戦でも結果を出した井上は、二塁打を含む4打数3安打でチームの逆転勝利に大きく貢献した。

 11日には同僚のG.G.佐藤と相撲をとった井上。入団直後から井上のキャラに、自身の役目を取って代わられるのではないかと恐怖を感じていたG.G.は「全面戦争だ!」と叫び、石垣市中高運動公園内の土俵で実現した。体重98キロのG.G.と、115キロの井上のガチンコ勝負。立ち会いでG.G.の猫だましが炸裂し、驚いた井上は上手投げで敗れた。

 その後、ナゼかよくわからないが肩を組み「石垣島から、キモティー!」と叫び、2人は和解したという。井上は取り組み後「テレビで見ていたけど。本物です。ついていきます」とコメント。プロレス的な演出も含めて、このコーナーでは文句なしの1位は井上だ。ちなみにロッテはプロ野球チームなので、お忘れなく(汗)。


 キャンプ前半戦を大いに盛り上げてくれた各選手たちに大きな拍手を贈るとともに、実戦形式がスタートし、開幕1、2軍の振り分けがシビアになってくる後半戦でも、彼らが大いにアピールすることを願って止まない。


■ライター・プロフィール
鈴木雷人(すずき・らいと)…会社勤めの傍ら、大好きな野球を中心とした雑食系物書きとして活動中。“ファン目線を大切に”をモットーに、プロアマ問わず野球を追いかけている。Twitterは@suzukiwrite

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