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【秋の夜長は野球で楽しめ!】秋の夜長に見たい映画『オールド・ルーキー』『42〜世界を変えた男〜』

文=落合初春

【秋の夜長は野球で楽しめ!】秋の夜長に見たい映画『オールド・ルーキー』『42〜世界を変えた男〜』
 連載「秋の夜長は野球で楽しめ!」の第2回。今回は芸術の秋ということでオススメの野球映画を紹介したい。

オールド・ルーキー(2002年/アメリカ)


 『オールド・ルーキー』は35歳でメジャーリーガーとしてデビューを果たしたジム・モリスの実話を基にした一作だ

 元マイナーリーガー(1A)のモリスは肩を故障し、25歳で引退。地元テキサスで高校教師と野球部のコーチとして平穏な生活を送っていた。

 しかし、ある日、ふとしたきっかけで、全力で投球してみると肩の痛みがなくなっていた。だが、妻と3人の子どもを養う身であり、自身の投球にも自信が持てなかった。

 ある日、教えているチームが大敗を喫してしまう。やる気ゼロの選手たちにモリスは「君たちには夢も何もない」と説教をする。

 だが、モリスの実力を感じていた教え子たちは「じゃあ、コーチの夢は何ですか?」と言い返す。教え子たちの直球にやや狼狽するモリスだったが、チームが地区優勝したらメジャーのトライアウトを受けることを約束する。

 そして超有名なシーンだ。カントリーミュージックをバックに夜道に設置されたスピード測定器を使って、密かに自身の力を試すモリス。だが、表示は「76」マイル(約122キロ)。落胆し、ボールを捕りに行くが、測定器の電球が接触不良で、本当は「96」マイル(約154キロ)だった。よくよく考えるとツッコミたくなる演出だが、野球映画史に残る名シーンである。

 その後、チームは地区優勝を果たす。「It's your turn Coach.」とボールを渡されるモリス。そしてトライアウトに挑み、再びメジャーリーグへの道を歩み始める。

 「家庭」と「夢」の狭間の葛藤を心に焼き付けてくるのが、息子役のアンガス・T・ジョーンズの名演だ。「母さんには内緒だぞ」と言われれば、男同士の約束といった顔をし、野球に興味がない祖父が誕生日にファーストミットを買ってきても「僕、ファーストが好きだから」という「絶妙ないい子」を純真に演じている。

 この名演で子役としての評判を上げたアンガス・T・ジョーンズは、2003年から2015年まで放送されたCBSのシットコム『ハーパー☆ボーイズ』で人気を博し、1話の出演ギャラが推定30万ドルという超大物に成り上がった。

 話を戻すと『オールド・ルーキー』は、「夢を忘れてしまった大人」「何者にもなれなかった大人」に巧妙に語りかけてくる。驚くべきストーリーやギミックがなくとも、シンプルに没入できる。ストーリーの出口は端からネタバレしているにもかかわらず、モリスを応援してしまう。野球好きならぜひ見ておきたい良作だ。

42〜世界を変えた男〜(2013年/アメリカ)


 原題は『42』。黒人初のメジャーリーガーとなったジャッキー・ロビンソンを描いた伝記映画だ。

 冒頭10分、とても惹かれる場面がある。ハリソン・フォード演じるブランチ・リッキー(ドジャースGM)がロビンソンと面談するシーン。リッキーGMが「やり返さない勇気を持ってほしい」とロビンソンの右の頬を殴り、ロビンソンが「左の頬もあることをご存知ですか?」と返した−という通説もあるところだが、この映画では「右の頬を打たれたら左の頬を出す勇気を持て」とロビンソンに説くに留めている。作り手の実直なアティチュードが表れているワンシーンだ。

 初試合の展開もあえて型を外す。四球で出塁したロビンソンは二盗、三盗を決め、相手投手を揺さぶる。いらだった相手がボークを犯し、ロビンソンはホームに生還…といった具合だ。

 主演のチャドウィック・ボーズマンの深みのある演技も迫真といいたい。

 そしてこの映画は現代の世の中をも動かした。劇中で大きな敵として描かれたのは、フィラデルフィア・フィリーズだ。ベン・チャップマン監督が悪辣なヤジを飛ばしたり、市内のホテルがロビンソンの宿泊を拒否するなど、妨害行為を働いたと描かれたが、これは史実通り。この事実が『42』によってあらためて広がると、2016年3月になって、フィラデルフィア市議会が公式に謝罪を決議した。歴史に断罪されるとはまさにこのことである。

 日本プロ野球では「42」を背負う外国人選手も多いが、ジャッキー・ロビンソンの功績を今一度噛み締めたい名作である。

文=落合初春(おちあい・もとはる)

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