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【高校野球100年物語】第1回から立ちはだかった「白河の関」〜黎明期編

 夏の甲子園の前身である「全国中等学校優勝野球大会」の第1回が行われたのは1915年。今に連なる高校野球が始まって100年が経過した。今回は野球黎明期に起こったさまざまなエピソードを振り返っていく。

☆全てはここから始まった!「鳥取中対広島中」

 1915年、「第1回全国中等学校優勝野球大会」としてその歴史をスタートさせ、今に続く「夏の甲子園」。その記念すべき第1回大会の開幕試合は、山陰代表・鳥取中(現鳥取西)対山陽代表・広島中(現広島国泰寺)という対戦で、14−7で鳥取中が勝利した。1回戦を勝ったチームには選手一人一人に万年筆が贈られた。

☆高校野球発祥の地として語り継ぐべき「ゆりかごの豊中」

 100年の歴史を誇る高校野球。その第1回大会が開催された場所は、甲子園球場ではなく、今の大阪府豊中市にあった豊中グラウンドだった。1913年、箕面有馬電気軌道(現阪急電鉄)が建設したもので、赤レンガの外壁に囲まれたグラウンドは2万平方メートルと広く、当時としては日本一の設備を誇るといわれた。この地で高校野球が産声をあげたことから「ゆりかごの豊中」とうたわれ、グラウンド跡地には現在、「高校野球発祥の地」のレリーフが掲げられている。

☆「高校野球100年」の歴史の幕を引いた、羽織袴姿の男の第一投

 1915年8月18日午前8時30分。羽織袴に身をただした人物が大阪府・豊中グラウンドのマウンドに登り、白球を投じた。その人物こそ、「第1回全国中等学校優勝野球大会」を主催した朝日新聞社社長の村山竜平だ。山高帽にモーニング姿の京都大総長、荒木寅三郎審判委員長が後ろから見守る中、村山が投じた始球式の球は、鳥取中の松田のミットにおさまり、今に続く「高校野球」の歴史が幕を開けた。


 100年後の今年は、王貞治氏(早稲田実業OB)が始球式を務めることが発表されている。

☆白河の関を越えかかった秋田中・9人で挑んだ全国大会

 記念すべき第1回大会で「ダークホース」となったのが東北代表・秋田中(現秋田)。ただ、勝ち進んだだけではない逸話が多いチームだった。本来部員は11人いたものの、「大坂まで野球をやりに行くとは何事か!」と父親に叱られて1人が出場辞退。さらに、1回戦でケガ人が出たため、2回戦以降はギリギリ9人で試合に臨んだ。そして、決勝戦は延長13回の死闘の末に敗北。満身創痍のなか、史上初めて決勝戦で涙を流す球児たちとなった。この100年でもっとも白河の関を越えそうになったのはこの瞬間だった。

☆今も昔も野球名門校! 初代優勝候補・早稲田実業

 そんな第1回大会の準決勝で秋田中に負けたのは早稲田実業。当時、球界No.1バッテリーと称された臼井林太郎と岡田源三郎を擁し、優勝候補の呼び声も高かったものの、伏兵・秋田中に足をすくわれた。その後、夏の大会で全国制覇を果たすのが2006年のこと。悲願成就に約90年もかかるとは、この時、誰も予想できなかったことだろう。

☆野球文化の発展に大きく寄与した、岡本一平の“爆発力”

 甲子園にまつわるトリビアとして有名なものに、「甲子園の『アルプススタンド』を命名したのは岡本太郎の父、岡本一平」というものがある。朝日新聞記者でもあった岡本氏が、甲子園球場を埋めた白シャツの群衆を見て命名したなど、諸説語り継がれている。


 だが、岡本一平は甲子園球場が誕生する遥か以前、1917年の第2回大会から、朝日新聞紙上において漫画記事を掲載し続け、毎回好評を博していたことはあまり知られていない。野球文化を紡いだ偉人でもあった。

☆スパルタ&精神野球で全国制覇。「広島野球」を育てた石本秀一

 1916年、1917年の大会には広島商の選手として出場した。その後、不甲斐ない母校の野球に憤怒して26歳で監督に就任。スパルタ式の猛練習と、日本刀の刃渡りなどで鍛えた精神野球で、完成したばかりの甲子園球場で行われた1924年夏に全国制覇を成し遂げる。1929、1930年に夏連覇、1931年にはセンバツも制し、史上初の夏春連覇を達成。“学生野球屈指の名将”とうたわれた石本は、1936年の阪神を皮切りにプロ野球の監督も歴任。特に、地元である広島では初代監督を務め、球団史の礎を築いた。

☆黎明期の大スター、和歌山中の「芸術品」小川正太郎

 甲子園球場が誕生した1924年に初出場。以降、当時最強を誇った和歌山中(現桐蔭)のエースとして春・夏あわせて8度の出場を果たしたのが小川正太郎だ。長身左腕が繰り出す華麗な投球フォームは「芸術品」とうたわれ、1926年夏の準決勝では8者連続奪三振。この記録は、桐光学園の松井裕樹が更新するまで86年間も破られなかった。

(文=オグマナオト/イラスト=横山英史)

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