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スーパールーキー、ミスター、怪物を見逃すな! キャンプ地“熱狂”列伝

 松坂フィーバー、再び! MLBから日本球界に復帰した松坂大輔を見ようと、ソフトバンクの宮崎キャンプが連日大盛況になっている。休日にもなると3万人を超える観衆が詰めかけているのだ。

 過去にも、大物ルーキーやスター選手を見ようとキャンプ地がごった返すことがあったが、今回のフィーバーぶりはかなり異例だ。そこで、過去のフィーバー列伝と、そこで起きたエピソードの数々を振り返ってみたい。

西武キャンプ史上最多の1万5千人! 松坂フィーバー1999年


 まずは、前回の「松坂フィーバー」と比較してみよう。1999年の高知県春野で行われた西武の春季キャンプは、スーパールーキー・松坂大輔を一目見ようと連日1万人超え。日曜日となった2月14日には球団史上最高観衆となる1万5000人が詰めかけた。

 今回の3万人と比較すると少なく感じるかもしれないが、当時は12球団のキャンプ地が今よりも分散していた。宮崎でキャンプを行う球団が多く、野球ファンが集まりやすい今と比べれば、決して遜色ないはずだ。

 その証拠に、当時、あまりの過熱ぶりに「投手練習場から球場まで移動ができない」という事態まで起きてしまった。そこで西武がとった対策が「松坂の影武者」。背格好が似ていた谷中真二に松坂のウィンドブレーカーを着せ、タオルを被せて影武者に仕立てたのだ。

 影武者のおかげで充実のキャンプを送れたからか、松坂はこの年、16勝5敗で文句なしの新人王を獲得。一方、影武者となった谷中はキャンプでの余計な気苦労が災いしたのか、1勝2敗と物足りない成績に終わってしまった。

“元祖・甲子園のアイドル”を求めて。平日なのに1万人!


 ルーキー見たさでキャンプ地にフィーバーが生まれた最初といえば、1970年の近鉄キャンプではないだろうか。前年の夏の甲子園で「コーちゃん旋風」を巻き起こした“元祖・甲子園のアイドル”こと、青森・三沢高校の太田幸司が近鉄入り。入団発表時には近鉄本社にファンが殺到し、機動隊が出動する騒ぎにもなっていた。

 そんなアイドルルーキーの初実戦登板となったのが、1970年2月20日に行われた紅白戦だった。金曜日と平日にもかかわらず、そして球場は市の中心部から離れた辺鄙な場所だったにもかかわらず、太田見たさに宮崎県延岡市の西階(にししな)球場には1万人ものファンが詰めかけた。

 このフィーバーぶりで、紅白戦終了後にCM契約が一気に2本も決まった、という逸話も残っている。当時は、プロ野球選手といえど、CMに出られるのは王・長嶋レベルのみ。新人の、しかもまだ公式戦デビューもしていない選手のCM契約はまさに異例中の異例だった。

ハンカチフィーバーで観客倍増! 地元も巻き込んだ過熱ぶり


 近年、フィーバーを巻き起こしたのは2011年の沖縄県・名護市での日本ハムキャンプだ。高校、大学で日本一の立役者となり「ハンカチ王子」として抜群の知名度を誇る斎藤佑樹が日本ハムに入団。1軍キャンプデビューを飾ったことで、名護市全体が大盛り上がりを見せた。


 まず、例年キャンプ期間中に1万人程度が集まる観客が、この年は倍以上の2万7千人超え。そして、異例の大観衆に目をつけたのが名護市の商店街。「王子のチーズケーキ」、3110円の「3110(さいとう)ロールケーキ」、「ゆうちゃんメロン」などなど、さまざまな便乗……もとい、応援グッズを発売した。

 また、殺到するファンから斎藤を守るための遊歩道を新設して「佑歩道」と名付けるなど、マスコミ受けしやすい話題が次から次へとわき起こった。

さすがミスター。じらし作戦も成功して5万人を集客!


 前述したように、球界を盛り上げる黄金ルーキーたちの例はほかにもまだまだたくさんある。ただ、過去、もっともキャンプが盛り上がった瞬間といえば、ミスタープロ野球、長嶋茂雄のあのパフォーマンスに尽きるだろう。

 2000年から背番号を伝説の「3」に戻した長嶋監督。背番号3のユニフォーム姿を一目見ようと、宮崎キャンプには連日ファンが詰めかけ、マスコミの数も尋常ではなかった。ところが、ミスターは、「背番号3」のお披露目の瞬間の価値を自ら高めるように、かたくなに上着を脱がなかった。

 その封印が解かれたのが2000年2月12日。1974年の現役引退以来、26年ぶりに解禁された「背番号3」の勇姿を目撃したのはファン5万5千人、報道陣は299名。まさに「国民的行事」と呼ぶにふさわしいお披露目の会となった。


 プロ野球選手にとって、ファンをどれだけ呼べるか、というのは、ある意味で個人成績以上にシビアに評価される点だ。そして、熱しやすく冷めやすいのもまたファン心理。シーズンが始まっても注目を集め続けられるかどうかは、結果を残すしか方法はない。


■ライター・プロフィール
オグマナオト/1977年生まれ、福島県出身。広告会社勤務の後、フリーライターに転身。「エキレビ!」、「AllAbout News Dig」では野球関連本やスポーツ漫画の書評などスポーツネタを中心に執筆中。『木田優夫のプロ野球選手迷鑑』(新紀元社)では構成を、『漫画・うんちくプロ野球』(メディアファクトリー新書)では監修とコラム執筆を担当している。近著に『福島のおきて』(泰文堂)。Twitterアカウントは@oguman1977(https://twitter.com/oguman1977)

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