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清宮幸太郎、初スイングでホームラン。しかし西東京大会初戦でみえた早稲田実業の綻び


 ついに幕を開けた夏の高校野球・西東京大会。本企画では全国トップレベルの注目選手・清宮幸太郎(早稲田実業・2年)を徹底的にマークする。

 10日、ダイワハウススタジアム八王子で初戦を迎えた早実。対する啓明学園はここ10年、初戦突破できるかどうかかという戦績。実力では早実が圧倒的な優位であることに疑いはない。

 そんな力関係もあり、早実は先発に背番号17の1年生左腕・赤嶺大哉を起用清宮は3番に入った。早実のスタメンは以下の通りだ。

■早実スターティングメンバー
1 遊 金子銀佑(3年)
2 二 橘内俊治(2年)
3 一 清宮幸太郎(2年)
4 三 野村大樹(1年)
5 右 工藤航輔(3年)
6 左 岡本大輔(3年)
7 捕 小掛雄太(3年)
8 投 赤嶺大哉(1年)
9 中 福本翔(2年)


3番・清宮、4番・野村のアベックホームラン


 啓明学園の先発はサイドハンドの奈良井巧(3年)。早実から大金星を挙げたいところだったが、先頭打者の金子に死球を与えると、続く橘内にも四球を与えてしまう。

 無死一、二塁で迎えた清宮の夏初打席。スタートダッシュをかけるには打ってつけの場面だったが、奈良井の制球の乱れもあり、ここは待球作戦。

 清宮はスイングなしで四球を選び、その後、5番・工藤のタイムリーや押し出しで初回から早実が2点を先取した。

 清宮の第2打席は3回裏の先頭。その初球、内角に沈む球を清宮はフルスイング。すくい上げたボールはライトポール際に吸い込まれ、なんと夏のファーストスイングが本塁打。推定飛距離100メートル。明らかなボール球を簡単にスタンドに運んだ。やはり、打球に角度をつける技術は超一流だ。

 清宮の本塁打で火がついた早実打線は打者一巡の猛攻。2死二塁の場面で再び清宮を迎え、啓明学園は左腕・中西志(2年)にスイッチ。しかし、ストライクが入らず、ストレートの四球を与える。

 清宮が一塁に歩いた後、4番のスーパー1年生・野村が初球をレフトスタンドに叩き込んで、清宮は本塁を踏む。「3番・清宮→4番・野村」の打順が完全に機能した。

■清宮幸太郎全打席
第1打席 四球
第2打席 本塁打
第3打席 四球

西東京大会通算成績:打率1.000 1安打/1本塁打/1打点

大勝の裏で不安なプレーも……


 結局、11対1(5回コールド)で順当勝ちを収めた早実。しかし、不安なプレーがあったのも事実だ。

 まずは1回裏の清宮の打席。3ボール1ストライクの場面で、啓明学園・奈良井の投じたボールは外角の際どいゾーンへ。清宮は一塁に歩き出したが、球審はストライクの判定。「えっ」と振り返り、球審に頭を下げた清宮だったが、完全にセルフジャッジだった。

 1回表から球審の判定は外角に広めの“高校野球ゾーン”。ストライクが想定できるコースだっただけに早実ベンチも苦笑いだった。

 さらに清宮が出塁し、無死満塁となった場面でも綻びがみえた。

 4番・野村の放った打球は一塁線へのボテボテのゴロ。一度はファウルゾーンに転がったように見えたが、ボールがスピンしてフェアゾーンに逆戻り。出遅れてしまった三塁走者の金子はホームでアウト。

 “満塁でのゴロ”でなぜ最初から突っ込まなかったのか……。またもやセルフジャッジが疑われる場面だった。

 また、早実の先発・赤嶺が同級生に簡単にやられるシーンもあった。1回表には啓明学園の1番・餅田力丸(1年)にセンター前ヒットを打たれると、続けざまに二盗、三盗を許してしまった。2回表には7番・荒井四海(1年)の二塁打、8番・米田勇大(1年)のタイムリーで1点を返された。

 本塁打を放った4番・野村とは逆に“スーパー1年生”たるデビューは果たせなかった赤嶺。しかし、中学時代は大矢ベースボールクラブ(ヤングリーグ)で沖縄ナンバーワン左腕と目された逸材だ。

 昨夏の早実は試合を重ねるごとに投手陣が安定感を増していった。完調ではなかった赤嶺の成長にも大いに期待したい。

 総合的にみると夏初戦の緊張からか、どこか地に足の着かない立ち上がりだった早実。次戦は14日。普段通りの落ち着きを取り戻し、安定した戦いをみせることはできるのか。スコア以上に細かなプレーにも注目したい。


文=落合初春(おちあい・もとはる)

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