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慶彦より提言 カープよ、早く、厳しく育成を!(最終回・後編)

■カープの底上げは選手の早期育成がカギ

 今のプロ野球ってさ。みんな予想とかで色々言うけど、巨人が絶対的に強いのは間違いないのよ。「1000%巨人が優勝!」って言ってもいいくらい(笑)。

 だって、巨人が優勝しなかったシーズンを考えてみなよ。そのときって、中日が圧倒的に強かったか? あるいは、阪神が文句ないというくらい強かったか? そんなことないでしょ? 巨人が失敗したというときだけ。それしかない。

 フェラーリと日本車が普通の仕様で競争したとして、フェラーリが負けるとしたら、故障したときとか、ドライバーがミスをしたとき以外ありえないでしょ? それと同じ。

 巨人が負けるときは、どこかに慢心があって歯車が狂ったときしか考えられない。それだけの戦力差と層の違いがある。

 オレが現役の時も巨人は強かった? そうだね。ただ、大きな違いは、他のチームにもしっかりした柱があった。だから、まだ勝負することができたのだと思う。

 ところが、今は柱になった選手がフリーエージェント(以後FA)で抜けてしまう。それが昔との大きな違いだよ。

 カープであれば、例えば金本知憲(元広島ほか)がFAで阪神に移籍しなければ、また違っていたかもしれんね。

 今なら、マエケン(前田健太)という大黒柱がいるから、昨年、今年とチームの成績が上向いているわけだけど、彼もメジャー目指して近々FAで抜けてしまうだろ?

 そういうことなんだよ。チームが成熟してようやく戦えそうな状態になってきた頃に骨抜きの状態なってしまい、また一から作り直しになってしまう。

 だから、考え方変えないとダメだろうね。今のカープは。
 阪神とかソフトバンクは財力があるから、違うアプローチの仕方があるかもしれない。

 けど、FAで柱の選手をとられてしまうチームは、他と同じことをしていたら、今の苦しい状況から抜け出すことはできないと思う。

 元々、生え抜きの素材を育てることには定評があったけど、育てるのがうまいだけじゃダメ。それを早くにやらないと。若いうちに一流になってもらわなきゃならない。僕らの頃よりもさらに条件はキツイよ。だから、色々なところを厳しくしなきゃいけないよね。


■菊池も丸もまだ微妙だよ、これからどれだけやるかが大事

 昨年、クライマックスシリーズに出場して、今年は開幕から好調だけど、昨年にしたって3位やからね。それも勝率5割を切った3位。中日がコケたから上がった、ということを忘れてはいけないと思う。

 それに一番のファンサービスは、やはり優勝することだから。3位で十分、というなら別にいいけど、優勝するためにどうするかを考えないと。

 昨年、ちょっと面白かったことがあって、ある新聞に3位に入ったレギュラーのメンバーと、僕らが優勝したときのメンバーが打順ごとに並んで掲載されたことがあった。

 全然違うんだよな、数字が。菊池涼介は打率(.247)だけみたら、当時のカープでは試合に出られなかっただろうね。前半、好調だった丸佳浩だって求められている役割を考えたら微妙だよ。及第点をあげられるのは、3割を維持した梵英心くらいじゃないかと思う。

 つまり、優勝するには今の状況で喜んでおしまいにしてはいけないということだよ。むしろ、これからどれだけやるかが大事になってくる。

 菊池や丸は、このオフどれだけ練習やっただろうか? 昨秋のシーズン終了後はフェニックスリーグに参加しただろうか? してないなら、なぜしないの? と思う。

 たった1年そこそこやれたからもうレギュラー、なんて保証はどこにもない。鉄と同じで熱いうちに叩かないといけない。

 そのためには、秋のオフはうってつけなのよ。秋は仮にケガをしても、間に合うから。ケガするくらいまでやっていい。年が明けてからは、そうはいかなくなるからね。

 FAで柱が抜かれてもいいように、若い選手がすぐ後ろに育てっている状態を作るには、秋冬にものすごく追い込まなくちゃ無理だと思う。

 ところが、今は“レギュラー保護法”の時代だからね。契約期間外となる12月と1月はコーチも指導することができない。

 あれもおかしいよね。本当なら、1軍の試合に何年間か続けて一定の試合数に出場した選手だけに限定しないと、どう追い込めばいいかがわからない若い選手はかえってかわいそうだよ。

 何しろ、バッティング練習をしようにも、投げてくれる人もいないんだから。やり方を知っているベテランの選手についていくという手もあるけど、そんなのごくわずかな選手しかできないし、やはり甘えてしまうものだよ。

 それに、ある程度実績を残した選手にしても別に安泰というわけじゃない。一緒やもんね。30歳なんてまだ中堅でもなんでもない。選手である以上はずっと前を向いて同じ姿勢でやっていかないと、安泰どころかたちまち現役でいられなくなってしまうよ。

 その意味では、「量をこなす」ことは、ずっと変わらないよ。それをいかにして消化していくか? 昔のカープを追い求めるのはこれまで話したように状況が違うから無理だし、その必要もないけれど、プロの選手がやるべきこと自体はずっと同じだと僕は思う。



■おわりに

 『赤き哲学』(発売:KKベストセラーズ/発行:サンフィールド)の最後にも書いたし、こうして話していても感じるけど、僕はやはりカープで過ごしたときが一番充実していて面白かったし、カープが大好きなんだと思う。

 厳しいことばかり言ってしまうけど、それだけ勝ってほしいという強い気持ちがあるんだろうね。

 今年のカープはとりあえずいいスタート切れたけど、長いペナントレースはこれから。シーズンが終わったときに喜ぶことができるよう、このあとも全力で頑張ってほしい。

 いつか、カープから指導者として声がかかることはないのかって?

 多分ないと思う。でも、それでいいのよ。

 僕は僕のスタイルで、これからもカープを応援していきたい。


橋 慶彦(たかはし・よしひこ)
1957年生まれ、北海道芦別市出身。4歳の時にスキーを指導していた父の異動により、東京に移り住む。城西高に進学し、3年夏に甲子園出場。これがきっかけで、その秋のドラフト3位で広島に指名され、入団。4年目の1978年に110試合出場し、ポジションを勝ち取り、「赤ヘル黄金期」の1番打者として大活躍する。1979年に達成した33試合連続安打は今もまだ破られることがない日本記録。村上龍が書いた小説『走れ!!タカハシ』のモデルとなったり、発売したレコードは野球選手としては異例の売上を記録したり、全国的な人気もあった。1989年オフにトレードでロッテへ、翌1990年オフに阪神へトレードで移籍し、1992年に引退。その後、ダイエーやロッテでコーチ、2軍監督を務め、村松有人、今江敏晃などを育てた。現在はテレビ新広島で解説者を務めている。

構成=キビタキビオ/1971年生まれ、東京都出身。野球のあらゆる数値を測りまくる「炎のストップウオッチャー」として活動中。元『野球小増』編集部員で取材経験も豊富。8月には『ザ・データマン〜スポーツの真実は数字にあり〜』(NHK-BS)に出演するなど、活躍の場を広げている。ツイッター/@kibitakibio

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