週刊野球太郎
中学、高校、プロ・・・すべての野球ファンのための情報サイト

優勝争いよりも盛り上がる?入れ替え戦とは?その実情に迫る!

 これまで2回行われた『TOHKEN〜東都大学リーグ野球観戦研究会』(2回目の簡易レポートはこちら)は、東都大学リーグを愛する皆さまとともに大変な盛り上がりを見せたのではないかと思います。

 さて! リーグ戦も最終週となり、入れ替え戦の時期がやってまいりました。例年は全日本大学野球選手権と時期が被っていたために、普段以上に目立たないという“東都らしさ”を発揮していました。

 しかし、今年は大学選手権終了後に1部・2部入れ替え戦がスタートします! 東都のよさを知ってもらういい機会になる、と思いきや、平日開催という落とし穴が…、これも東都らしい…。まあ、どうなっても東都は“東都らしさ”が出るということでね!

 今週より、東都大学リーグの入れ替え戦にスポットを当てた連載を皆さまにお届けします。こちらを読んで、入れ替え戦までの日々を過ごして頂ければと思います。また、この連載で東都や入れ替え戦に興味を持ち、神宮球場に足を運んでいただく方がいらっしゃれば、ありがたく思います。


●そもそも入れ替え戦とは?
 これまで当たり前のように『入れ替え戦』と連呼してしまっていますが、これは複数部に分かれたリーグの上部最下位校と、下部優勝校が対戦することを言います。先に2勝した方が勝ち(大学野球のリーグ戦でよく採用される『勝ち点制』と同じです)となり、下部校が勝てば上部リーグへ昇格となります。

 つまり、1部最下位チーム(A大学)と2部優勝チーム(B大学)が試合をし、B大学が勝てば1部昇格、逆にA大学は2部降格ということになります。もし、A大学が勝てば入れ替わりはないので、それぞれが残留します。

 入れ替え戦とは【昇格】、【降格】、【残留】をかけた熱い戦いです。

 東都の場合は4部リーグまであるので、1部・2部の入れ替え戦が終了した翌日から2部・3部、3部・4部の対戦が行われます。

 余談ですが、1部最下位チームの応援団が「これは入れ替え戦と言われているが、今回は入れ替わらない戦であるー!」というようなことを叫ぶのが鉄板になっています。

 東都=入れ替え戦と言っても過言ではありませんが、この方式を取っているリーグは他にも多くあります。関東でいえば首都大学リーグ、東京新大学リーグ、神奈川大学リーグなど。

 全日本大学野球連盟に所属している26連盟の内、実に18連盟が採用している制度です。簡単な見分け方として、東京六大学リーグのような『●●六大学リーグ』であれば複数部ではないので入れ替え戦はなし。しかし、関西学生リーグは所属大学が6校なので入れ替え戦はありません。

 「東都には入れ替え戦があるから酷だよな」という話もよく聞かれますが、最下位から入れ替え戦へ向かう恐怖があるのは東都だけに限った話ではありません。

 しかし、東都の2部とは言ってもレベルは非常に高いと評されます。一度2部に落ちてしまうと、再び上がるのは簡単ではありません。そのため、1部チームは優勝を争うと同時に、最下位回避をかけて戦っているのです。


●入れ替え戦・経験者の声
 例年は土日、神宮球場開催ということもあり、大きな盛り上がりを見せていた入れ替え戦。スタンドには普段以上の観客が詰めかけ、降り注がれる視線も、かかるプレッシャーも普段のリーグ戦の何倍にも多くなります。

 そこで選手からは「いつもと違う雰囲気で緊張した」という感想が一番多く聞かれます。

 ここでは【昇格】、【残留】、【降格】を経験した選手の声をお届けいたします。

☆2部優勝・内野手(入れ替え戦初戦に敗れる)
「こっちは優勝したから勢いはある。それに負けたとしても、またもう1回やればいいじゃん、と。うちは勝ってきてここにいるし、相手は落ちてこうなっている。たとえ、そこで負けたとしても今まで通りだし、勝てば上に上がれる。別に失うものはないでしょ、と。そういう風に切り替えられたことが大きかったです」
⇒1部昇格

☆1部最下位・投手(それまで7季連続で入れ替わっていた入れ替え戦で残留を決めた)
「自分たちでその記録を止めてやろうと思っていました。自分たちは1部なんだから、2部から上がってくる方は勢いはあるけど、実力は自分たちが上。1部の6位と2部の1位でも、1部の方が力がある。そういう考えが大きかったです。打たれるわけないだろ、という自信というか過信ですね」
⇒1部残留

☆1部最下位・投手(一時6点リードするも、1点差にまで詰め寄られ、最終的に勝利)
「何が起こるか全くわからない感じでした。点も離れて余裕ムードが出てきた中で追い上げられてしまった。でも、入れ替え戦を経験できたのはよかったというか、プラスにはなりました」
⇒1部残留

☆1部最下位・捕手
「自分が自分じゃないみたいでしたね。みんなも動きが堅いし、いつもと違う。言ってしまえば、下からくる方は別に負けても何もない。勝てば1部が待っているだけ」
⇒2部降格

☆1部最下位・投手(ベンチ入りはしていなかった駒澤大の当時1年生)
「入れ替え戦がどんなものかもわかりませんでしたし、駒大が最下位になることがどんなに大変なことかも知らなかった。だから、リーグ戦の延長くらいにしか思っていませんでしたね。降格後にいろいろな所で、野球とはまったく関係ない場所でも『駒大は2部じゃいけないよ』とか言われて…。それでようやく事の重大さに気がつきました」
⇒2部降格


▲1部昇格を決めた瞬間を激写!


 次回はどんな、東都大学リーグや入れ替え戦の話になるのでしょうか? ご期待ください!

文=山田沙希子(やまだ・さきこ)/早い時期から東都大学の魅力にハマり、大学生時は平日の多くは神宮球場または神宮第二球場に通い詰めた、三度の飯より東都大学リーグが好きなライター。多くの東都プレイヤーの取材を通して、さらに東都愛は加速。ナックルボールスタジアム主催のイベント「TOHKEN〜東都大学リーグ野球観戦研究会〜」でも活躍。

記事タグ
この記事が気に入ったら
お願いします
本誌情報
雑誌最新刊 野球太郎No.32 2019ドラフト直前大特集号 好評発売中
おすすめ特集
2019ドラフト指名選手一覧
2019ドラフト特集
野球太郎ストーリーズ
野球の楽しみ方が変わる!雑誌「野球太郎」の情報サイト
週刊野球太郎会員の方はコチラ
ドコモ・ソフトバンク
ご利用の方
KDDI・auスマートパス
ご利用の方