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今でも語り継がれる、巨人vs阪神「伝統の一戦」でのライバル対決・三番勝負を見よ!

 今年は阪神の球団創立80周年。阪神の歴史で常に語り継がれてきたのはライバル球団・巨人との伝統の一戦だろう。その阪神vs巨人の戦いでは、球史に残る投打のライバル対決が繰り広げられてきた。そして、その対決が伝統の一戦をさらに盛り上げ、阪神、巨人双方のファンのボルテージを高めていった。その代表的な3つの対決を紹介しよう。

村山実vs長嶋茂雄


 「ライバル」でまず思い出すのは「ミスター・タイガース」村山実と「ミスター・ジャイアンツ」長嶋茂雄の対決。そのライバル関係を印象付けたのは1959年6月25日の天覧試合だった。4−4の同点で迎えた9回裏、7回途中から登板したルーキー・村山が対峙したのは巨人の4番・長嶋。村山が投じたストレートを長嶋はフルスイングし、打球はレフトスタンドへ。劇的なサヨナラホームランとなった。打たれた村山は生涯、「あの打球はファウルだった」と言い続けた。

 その後も2人は阪神のエース、巨人の4番として伝統の一戦の主役として対戦し続けてきた。天覧試合では敗れた村山だったが、実は通算1500奪三振、2000奪三振と節目の記録は長嶋から奪っている。1972年に村山が引退するまでの2人の対戦成績は、302打数85安打、21本塁打、39三振だった。

江夏豊vs王貞治


 巨人vs阪神の「伝統の一戦」は村山vs長嶋だけでなく、江夏豊vs王貞治のライバル対決にも注目が集まった。江夏はプロ1年目の時、先輩の村山から「オレはこっち(長嶋)、お前はあっち(王)や」と王をライバルとするよう指示される。以降、江夏は長嶋よりも王との対決に執念を燃やした。

 なかでも奪三振記録を塗り替えた、甲子園球場での1968年9月17日の一戦での出来事は、今でも語り継がれている。稲尾和久(元西鉄)の持つシーズン記録の353奪三振にあと8と迫った江夏は「新記録は王さんから獲る」と狙いを定め、初回から三振を積み重ねた。4回に王から三振を奪い新記録達成! と思った江夏だったが、捕手の辻恭彦(元阪神ほか)から「まだタイ記録」と指摘される。

 ここで困った江夏。王から新記録となる三振を奪うためには、もちろん王までの打者から三振を奪ってはならない。そして、接戦だったため、打たせながらも、失点は許されない状況。特に、試合中盤で投げ合っているのが阪神のエース・江夏となれば、その日に先発した巨人の高橋一三は、打撃は捨て投球に専念したくなる。そこで、三振を奪わず、アウトにすることに苦心したという。

 そして7回、王に再び打席が回り、江夏は空振り三振に仕留め、日本新記録を樹立した。その後、試合は延長12回に江夏がサヨナラ打を放ち、1−0で阪神の勝利。まさに江夏の一人舞台の試合となった。ちなみに、このシーズン奪三振記録は401にまで伸ばした。これはメジャーでも及ばない大記録(最多はノーラン・ライアンが1973年エンゼルス時代に記録した383奪三振)である。

江川卓vs掛布雅之


 1980年代の巨人vs阪神を彩ったのは巨人のエース・江川と阪神の4番・掛布の対決だった。どちらかが年上だった村山vs長嶋、江夏vs王とは違い、この2人は同じ1955年5月生まれの同級生。

 高校卒業後にプロ入りした掛布が阪神の中心選手にまで成長した時に、一連の騒動を経て江川が巨人へ入団する。初対決となった1979年7月7日では、掛布がホームランを放ち「プロの先輩」として意地を見せた。

 江川が掛布との勝負に強いこだわりを見せたのが1982年9月4日の試合。8回裏2死二塁の場面で掛布を迎えた時、巨人・藤田元司監督は敬遠を指示する。江川にとってはこの試合、リーグタイに並ぶ無四球試合の記録が懸かった一戦でもあった。結局、江川はベンチの意向通りに敬遠で掛布を歩かせる。しかし、江川の投じた4球は勝負できない悔しさもあってか、全力のストレートだった。後に江川は「ホームランを打たれるより悔しい」とその時の気持ちを口にしている。


 この3つのライバル対決で共通しているのは死球が1つもなかった事。その正々堂々としたフェアな戦いが、今でも語り継がれる大きな要因となっているだろう。「伝統の一戦」やプロ野球の盛り上がりを促す、このような個人vs個人のバチバチした対戦がまた新しく生まれてほしいものだ。

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