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【12球団ドラフト採点! セ・リーグ編】広島は納得の結果。中日は待望のフレッシュドラフト!

文=落合初春


※こちらは2017年の記事です。
2018年のドラフト採点はコチラ

【12球団ドラフト採点! セ・リーグ編】広島は納得の結果。中日は待望のフレッシュドラフト!

 10月26日に開催されたドラフト会議。清宮幸太郎(早稲田実)、中村奨成(広陵高)などの高校生スターの行方が注目され、大いに盛り上がった。

 今回は、11月27日に発売される本誌『野球太郎No.025 2017ドラフト総決算&2018大展望号』に先立ち、本誌の採点とは別だが、筆者が独断で12球団の採点をしてみたい。今回はセ・リーグ編!

広島 《ドラフト採点:90点》


■広島の指名選手
1位:中村奨成(捕手/広陵高)
2位:山口翔(投手/熊本工高)
3位:ケムナ ブラッド 誠(投手/日本文理大)
4位:永井敦士(外野手/二松学舎大付高)
5位:遠藤淳志(投手/霞ケ浦高)
6位:平岡敬人(投手/中部学院大)

育成1位:岡林飛翔(投手/菰野高)
育成2位:藤井黎來(投手/大曲工高)
育成3位:佐々木健(投手/小笠高)

 地元出身の高校生選手は指名しない前時代の「不文律」を自ら捨て、中村奨成(広陵高)の指名に踏み切ったことは大きい。歴史が動いた。現状、野手の戦力は申し分なく、バッテリー偏重の指名は妥当な判断。広島のドラフトの見せ場である2位、3位では、山口翔(熊本工高)、ケムナブラッド誠(日本文理大)の素材型を指名し、さらには4位で鈴木誠也の後輩にあたる永井敦士(二松学舎大付高)を指名するなど、ファンも納得のドラフトになった。

阪神 《ドラフト採点:75点》


■阪神の指名選手
1位:馬場皐輔(投手/仙台大)
2位:高橋遥人(投手/亜細亜大)
3位:熊谷敬宥(内野手/立教大)
4位:島田海吏(外野手/上武大)
5位:谷川昌希(投手/九州三菱自動車)
6位:牧丈一郎(投手/啓新高)

育成1位:石井将希(投手/上武大)

 清宮幸太郎(早稲田実)、安田尚憲(履正社高)を立て続けに外して、馬場皐輔(仙台大)を1位指名した阪神。現状投手陣は整っているが、高齢化は進んでおり、若返りにシフトできた点では評価できる。特に馬場と高橋遥人(亜細亜大)は阪神の若手に不足しているパワーピッチャーであり、幸か不幸かいい選択になったと感じる。

 ただし、野手の熊谷敬宥(立教大)、島田海吏(上武大)は「シュアな打撃」と控えめに表現されるようなスピードタイプ。内外野ともに阪神では得意分野の補強だが、ファンが見たいのは大砲だ。昨年は大山悠輔(白鴎大)を指名したものの、高校生の大砲を狙う割には、大学生・社会人の大砲を狙わない夢のなさは長年の減点要素。下位あたりで大砲候補を獲っても誰も怒らないはず。


DeNA 《ドラフト採点:75点》


■DeNAの指名選手
1位:東克樹(投手/立命館大)
2位:神里和毅(外野手/日本生命)
3位:阪口皓亮(投手/北海高)
4位:齋藤俊介(投手/JX-ENEOS)
5位:櫻井周斗(投手/日大三高)
6位:寺田光輝(投手/石川ミリオンスターズ)
7位:宮本秀明(内野手/パナソニック)
8位:楠本泰史(内野手/東北福祉大)
9位:山本祐大(捕手/滋賀ユナイテッドBC)

育成1位:中川虎大(投手/箕島高)

 関西球界の大物左腕・東克樹(立命館大)を一本釣り。DeNAでは今永昇太、石田健大、濱口遥大ら左腕の大成功が続いており、波に乗った指名。侍ジャパン大学日本代表でも抜群の結果を残した東の実力は、関西とはいえど文句なし。独自性と方向性がある指名だ。

 しかし、やや投手偏重の指名だったのは気がかり。目の前の戦力的な穴は二遊間。セカンドには柴田竜拓、ショートには倉本寿彦がいるが、中堅・ベテランも増えており、選手層を考えればテコ入れしてほしかった。来年、本命の候補がいると信じたい。期待を込めての75点。


巨人 《ドラフト採点:20点》



■巨人の指名選手
1位:鍬原拓也(投手/中央大)
2位:岸田行倫(捕手/大阪ガス)
3位:大城卓三(捕手/NTT西日本)
4位:北村拓己(内野手/亜細亜大)
5位:田中俊太(内野手/日立製作所)
6位:若林晃弘(内野手/JX-ENEOS)
7位:村上海斗(外野手/奈良学園大)
8位:湯浅大(内野手/健大高崎高)

育成1位:比嘉賢伸(内野手/盛岡大付高)
育成2位:山上信吾(投手/常磐高)
育成3位:笠井駿(外野手/東北福祉大)
育成4位:田中優大(投手/羽黒高)
育成5位:広畑塁(捕手/立正大)
育成6位:小山翔平(捕手/関西大)
育成7位:折下光輝(内野手/新野高)
育成8位:荒井颯太(外野手/関根学園高)

 まずは1位の鍬原拓也(中央大)。清宮、村上宗隆(九州学院高)をクジで外しての1位指名だが、決して悪くない選択だったと思える。2年生時の投球を生で見た際にはパワフルな投球が目を惹いた。近年の巨人は、大学生・社会人の即戦力投手の獲得に優れているため、早い時期の活躍も期待できるだろう。

 ここからは悪い点。他メディアやネットでも散々言われていることだが、捕手で2位、3位を固めてきた。もちろん指名された選手たちに罪はまったくないが、何が悪いかというと「興覚め」だからである。小林誠司と宇佐見真吾の正捕手争いが焦点になり、来季はどうなるとファンが胸を膨らませているなか、トップダウンで「新たな競争」がやってきた。ファン目線からすると、いまいちピンとこない。

 そして、4位から6位は二塁手候補の連続指名。重ね重ね、選手たちに罪はないと断っておきたいが、ここまでやると球団の不安が色濃く出すぎていてファンまで不安になる。失敗すれば大きな負債だ。

 さらに言うとマシソンと西村健太朗におんぶに抱っこだったリリーフ陣はどうするつもりなのか。即戦力投手の発掘に長けているだけに、その長所を捨ててしまった感は否めない。

 40〜50点ですら玉虫色に思える。ここはあえて20点にまで落としたい。堂々とした盟主のドラフトを!


中日 《ドラフト採点:90点》


■中日の指名選手
1位:鈴木博志(投手/ヤマハ)
2位:石川翔(投手/青藍泰斗高)
3位:高松渡(内野手/滝川二高)
4位:清水達也(投手/花咲徳栄高)
5位:伊藤康祐(外野手/中京大中京高)
6位:山本拓実(投手/市西宮高)

育成1位:大藏彰人(投手/徳島インディゴソックス)
育成2位:石田健人マルク(投手/龍谷大)

 中村の横取りに失敗したが悪くはない。むしろ、当たりを引いていれば、広島ファンからの不当な恨みを買い、向こう5年は面倒なことになっていたかもしれない。

 それはともかくファン待望のフレッシュドラフトだ。1位の鈴木博志(ヤマハ)は、まだ20歳と若く、高卒以上大卒未満の年代。それでいて最速157キロを叩き出すのだから、間違いなく「獲り」だ。

 3位あたりにもう1枚、即戦力候補を挟めたかも知れないが、本指名を高校生の好素材で固め、あわてずにファンを納得させるドラフトになった。


ヤクルト 《ドラフト採点:75点》


■ヤクルトの指名選手
1位:村上宗隆(捕手/九州学院高)
2位:大下佑馬(投手/三菱重工広島)
3位:蔵本治孝(投手/岡山商科大)
4位:塩見泰隆(外野手/JX-ENEOS)
5位:金久保優斗(投手/東海大市原望洋高)
6位:宮本丈(内野手/奈良学園大)
7位:松本直樹(捕手/西濃運輸)
8位:沼田拓巳(投手/石川ミリオンスターズ)

 評価が割れそうなのはヤクルト。清宮は外したが、外れ競合では村上との交渉権を引き当てた。ヤクルトといえば「投壊」が目下の課題だが、その前に捕手は頭数不足。清宮を指名にいくのは致し方なく、次に村上にいくのは割り切った指名だ。

 2位、3位ではしっかりと切り替えて即戦力投手を指名。大下佑馬(三菱重工広島)、蔵本治孝(岡山商科大)ともにタフさがあり、ニーズに見合った人選だ。2014年の即戦力投手大量指名の失敗(?)から学んだ慎重なドラフトだが、1年ですべてを解決しようというのは焦りすぎ。ベターな選択だった。


文=落合初春(おちあい・もとはる)

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