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2季連続2位の國學院大が2カード連続で勝ち点を落とす波乱のスタート…

 中盤を迎えた東都大学野球リーグ。勝ち点2で暫定トップ同士の対戦となった駒澤大vs中央大は1勝1敗のまま未消化となり、第3回戦は翌週以降に回された。

 今春、最終日まで優勝争いを演じた國學院大は2カードを終えて1勝4敗1分の勝ち点0。優勝争いの輪には加われていない。


●大学日本代表2人を欠いて臨んだ開幕

 今夏に行われたハーレムベースボールウィーク。この日本代表に、國學院大學から田中大輝(4年・必由館高)と柴田竜拓(3年・岡山理大付高)が選ばれた。

 しかし、今秋のリーグ戦の初戦。この2人はユニホームを着なかった。田中は今春、台頭を表わしたエース格の左腕。柴田は堅実な守備とバッティングが魅力的なショートストップ。最初の対戦相手は、リーグ6連覇中の亜細亜大から勝ち点を奪った中央大ということもあり、この2人がいない穴が余計大きく感じた。

 チームの開幕投手を託されたのは岡?裕一(4年・日大鶴ケ丘高)。チームで一番登板経験があるので、春に続く大役となった彼には当然期待がかかる。


▲4年生としての意地を見せてほしい岡?


 その期待通り、7回まで中央大打線を0点に封じ込めるピッチング。打線も中盤まではホームが遠かったが、1点ずつスコアボードに援護点を刻んでいった。

 3−1で迎えた9回裏、1死一、三塁のピンチから2点タイムリー二塁打を打たれて同点。岡?はマウンドを降りた。

 後を託されたのは同学年の栃谷弘貴(4年・都小山台高)。今春に待望の1部デビューを飾ったばかりの右腕だ。なおも続くサヨナラのピンチを栃谷が切り抜け、試合は延長戦に。

 そして13回。四球とエラーで掴んだチャンスに、國學院大はスクイズを敢行。待望の勝ち越し点を奪う。しかし、その裏、2死から同点に追いつかれると、続くバッターにサヨナラタイムリーを打たれて試合は決した。

 翌日の試合は川久保慎太郎(3年・飯山北高)が初先発を任された。

 立ち上がり、この川久保をスタンドの部員が大いに励ました。初球に対するストライクコールに大きく沸き、三球三振を奪うと、さらに大きな歓声を送る。微妙なコントロールの狂いがあり、2死から四球を与えて連打を許して先制点を与えたが1点で凌いだ。

 川久保は、2回以降は立ち直り3−1とリードを守ったまま4回でマウンドを降りた。

 だが5回、同点2ランを打たれて試合は振り出しに。7回裏の攻撃中に雨が降り出し、攻撃が終了するとそのまま試合は中断。稀にみる大雨に見舞われてこの試合は7回降雨コールドを告げられた。

 3回戦は同点で迎えた8回より、岡?がリリーフ。死球とヒットで走者を許し、犠打で1死二、三塁と勝ち越しのピンチを招く。ここで中大ベンチはスクイズを選択するも、岡?が捕球してバックホーム、三塁走者にタッチして一塁へ送球。ダブルプレーが完成して無失点で切り抜けた。

 だが、中央大先発・山手幹(3年・金光学院高)からチャンスを作れず、このカード2度目となる延長戦に突入。そして10回表、岡?は3点を失ってマウンドを後にした。

 開幕から接戦になりながらも競り負け、終盤に決勝点を許す試合が続いている。とはいえ、春も同様だった。中央大に2連敗してから連勝街道を突き進んでいった。だが勝率に泣いたシーズンともいえるため、1勝もできずに連敗を喫したことについては手痛かった。

●優勝するために絶対落とせない2カード目は……

 翌週は駒澤大との戦い。初戦は今永昇平(3年・北筑高)の前に2安打完封負け。先発した岡?は初回から駒澤大打線につかまり3回3失点。0−8と完敗だった。

 翌日は3人の継投で駒澤大打線を2点に抑えるリレー。2番手の栃谷は走者を背負いながらも粘り強いピッチング。1死二塁の場面で降板した後も、ベンチで大きな声やジェスチャーで味方を鼓舞し続けていた。そして、栃谷はこの試合で嬉しい大学初勝利を挙げた。

▲大学初勝利を挙げた栃谷


 一方の打線はバッテリーミスなどもあり、効率よく得点を奪う展開。柴田も3番でスタメン復帰し、6回には長く結果を残せずに苦しんだ久保田昌也(2年・龍谷大平安高)が大学初アーチとなる2ランホームランを放って突き放した。

▲待望の初アーチを放ち、ベースを回る久保田


 待望の今季初勝利を挙げた國學院大。だが3戦目も最後までもつれるゲームとなった。

 1回戦と同じく岡?、今永の投げ合いで試合開始。

 3回に國學院大が1点を先制した直後、連打と犠打で1死二、三塁と逆転のピンチ。この場面で、打球はセカンドへのゴロ。これを名手・井村滋(4年・横浜創学館高)がホームへ送球するも、それてしまい、同点に。井村にとってこれが大学初失策だった。

 この回、さらに2点を奪われたところでピッチャーが栃谷にスイッチ。安定したピッチングで「0」を並べて味方の反撃を待つ。

 そして8回、3連打で1点を返して、なおも無死二、三塁の大チャンス。代打に送られた小橋大祐(2年・岡山理大付高)の初球、ベース手前でワンバンドした投球をキャッチャーが体で止めた。これを見た、小橋はランナーを制する手振り。この間にハーフスイングを取られていたことに、國學院大サイドは球審に確認を求めた。小橋はバットをギリギリで止めたというよりは、それほど反応を示しておらず、なぜスイングを取られるのか納得がいかない様子であったが訴えは退けられた。

 疑惑の初球から、フルカウントまで粘ったものの、三振で1アウト。続く井村はカウント1−1からスクイズを試みるも空振り、スタートを切っていた三塁ランナーがタッチアウトで2アウトに。井村も三振に斬られ、あと1点が届かなかった。


 さすがに球場を後にする姿にはいつになく暗い様子が漂う選手も。
 4試合に登板して0勝3敗の岡?は「自分が足を引っ張っている」と言葉少なに応じてくれた。田中不在の状況では、岡?も人一倍の気持ちを持って臨んでいる。だが、うまくかみ合わずに苦しんでいる様子が伝わってくるほどだった。

 春、首位打者争いを演じながらも届かなかった小木曽亮(4年・中京大中京)は26日にプロ志望届を提出。春はその俊足に徹底マークを受けて2盗塁に終わったが、6試合で5盗塁と奮闘している。「マークの厳しさは変わりませんが、夏に練習を積んできましたから」と自信をのぞかせた。

▲春に続いて厳しくマークされているが次の塁を狙い続ける小木曽(背番号9)


 今週の対戦カードは國學院大vs青山学院大、拓殖大vs中央大。拓殖大も勝ち点0と厳しい戦いを強いられており、優勝争いの輪にいる相手との試合になるが早く最下位の可能性を限りなく低くしておきたいところだ。


■ライタープロフィール
山田沙希子(やまだ・さきこ)/東京都出身。早い時期から東都大学リーグの魅力にハマり、大学生時は平日の多くは神宮球場または神宮第二球場に通い詰めた、三度の飯より東都大学リーグが好きなライター。多くの東都プレイヤーの取材を通して、さらに東都愛は加速。ナックルボールスタジアム主催のイベント「TOHKEN〜東都大学リーグ野球観戦研究会〜」でも活躍。

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