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高校野球・地方大会の注目選手レポート[中国・九州編]〜川本恭輔(尾道)、松下且興(九州学院)ほか

川本 恭輔 かわもと・きょうすけ
尾道3年/中堅手
右投左打・177cm70kg

色気じゃない“大きな技”



 外野手と内野手の違いこそあるが、プレースタイルが鳥谷敬(阪神)と重なってみえる。初めてみたのは一昨年春、広島大会の広島工戦。1番・センターの1年生が、打って走って電光石火の先制攻撃を魅せた。

 その名は川本恭輔。「もしかして2011年のエース・川本祐輔(亜細亜大)の弟かな?」予感は的中した。それから2年ちょっとの間、兄と同じ投手も経験し、バシッと腕を振って140キロに迫るストレートを投げ込んだ。投手としても野手としても面白い……。いい意味で万能タイプであるが、ラストサマーは外野手として映えていた。

 吉田戦、初回の無死1塁でセーフティー気味に殺した打球が三塁手前へ。速いぞ、速いぞ。相手三塁手が素早く送球するも足が勝ってチャンス拡大。まずは小技と足技で敵を撹乱した。

 技といえば、卓越したバットコントロールも際立つ。柔らかなボールタッチで狙い澄ました安打が出たかと思いきや、強いインパクトで球の芯を打ち抜くなど、打にバリエーションがある。

 さらにいいのが、ぶれない心の軸だ。高校通算20本塁打を誇るが、「センター返しを意識しています」と全く色気を出さない。こういう選手は、スリリングな試合展開でも“大きな技”を決められるような気がする。そう、2013年WBCの台湾戦、9回2死から二盗を決めた鳥谷のように。

松下 且興 まつした・かつき
九州学院2年/右翼手
右投右打・176cm68kg

ポテンシャルに加わろうとする経験値



 センバツ出場時の4番から7番に打順を下げているものの、この選手のポテンシャルを見逃してはならない。試合前のノックをみていても、素早い身のこなしからバシッと腕を振り込み、ライト→ホームへと送球がグングンと加速する。昨夏は1年生ながらレフトを守っていたが、比べ物にならないほど“外野手”として板についてきたようだ。理由はわかっている。元々、地肩が強く、中学までは捕手。昨秋にコンバートされた慣れない遊撃手では、失策を繰り返しながらも貪欲に内野手としてのメカニズムも培ってきたから。

 ただ、気掛かりなのはバットが湿っていることだ。6月後半の練習試合までは4番に座っていたものの、「今までにないくらいのスランプ」に陥り、1年生の村上宗隆に4番を譲った。それでも熊本学園大付戦で決勝の三塁打を放つなど、要所でみせる打の勝負根性は健在だ。50メートル走6秒1の脚力に、高校通算20本塁打のパンチ力もある。勝手なイメージだが、将来的に1番や3番を打ったとしても夢は広がる。

 だからこそ、粘って、粘って不調を乗り越えろ。自分らしいスイングを貫けば、自然とタイミングは戻ってくる。

☆その他の評価上昇選手☆

宮崎 翔 みやざき・しょう
倉敷3年/投手
右投右打・172cm71kg
◎6月に宇部鴻城を完封、夏は興譲館を1点に抑え、秋春の中国王者を撃破

三宅 和也 みやけ・かずや
興譲館3年/投手
右投右打・179cm73kg
◎今春に143キロをマークも夏はキレにこだわり球がピュンピュン

工 遼汰 たくみ・りょうた
広陵3年/遊撃手
右投左打・171cm71kg
◎当たり前のプレーをきっちりとできるからこそ、攻守のセンスが際立つ

高野 脩汰 たかの・しょうた
出雲商2年/投手
左投左打・179cm63kg
◎球に角度がある。ダイナミックに攻めまくり三刀屋戦で15奪三振

田邨 光 たむら・ひかる
開星3年/遊撃手
右投右打・178cm81kg
◎松江南戦、度肝を抜く左翼弾に瞬発力を生かした守備アクションで存在感

小竹 恭兵 おだけ・きょうへい
松江南2年/捕手
右投右打・178cm76kg
◎松江市営野球場の左翼最上段への一発に続いて決勝の三塁打も。勝負根性◎

坂本 裕哉 さかもと・ゆうや
福大大濠3年/投手
左投左打・179cm75kg
◎バシバシ決まる重速球。朝倉光陽戦で6回を被安打1の10奪三振

山下 篤郎 やました・あつろう
鎮西3年/投手
左投左打・178cm78kg
◎今夏の成長株。140キロ前後の球速帯に柔と剛を併せ持つ打もキラリ

平嶺 悠斗 ひらみね・ゆうと
文徳3年/投手
右投右打・190cm83kg
◎火の国が誇る大型スリークオーター。悔しい準Vも3完封の安定感光る

山本 由伸 やまもと・よしのぶ
都城2年/投手
右投右打・176cm67kg
◎1点に泣くも常時140キロ台の快速球と鋭角スライダー◎。来期の注目株



■ライター・プロフィール
アストロ/1973年生まれ、徳島県出身。熊本を根城とし、九州全域はもとより中国地区まで渡り歩き有望選手を探す。大学時代は軟式野球部の監督兼選手として全国準V。

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