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ある野球ライターの極私的エッセイ。巨人ファンが他球団のファンになるとき……


 私は子どものころから巨人ファンだった。しかし、あるときから他球団のファンとなった。これはそれほど珍しいことではないだろう。

 かつて、巨人の試合はすべて地上波のテレビで中継されていたものだった。今はCSやBSでの中継が中心となり、地上波放送がほぼなくなったことが、“巨人離れ”の原因のひとつとも言われているが、それ以外にも、私のような巨人ファンが離れるきっかけはいくつかあった。

野球オタクは巨人ファンであり続けることが難しい!?


 巨人の人気は常に全国区。地域密着を打ち出す球団が多くなった今でも、全国にファンがいる。そして、観戦チケットは常に入手しづらい“プラチナチケット”であり、“観られること自体がラッキー”というケースもある。

 東京ドームや、地方球場で巨人の主催試合が行われる際は、巨人の大量リードでの勝利を期待する人々でスタンドは埋め尽くされる。

 となると、野球オタクが気まぐれに集まって、うんちくを語りながら観戦する余白がどうしても少なくなってしまう。この雰囲気は巨人のせいではないのだが……。


好みが分かれる東京ドーム


 個人的には、東京ドームに思うところが大きい。ドーム球場の先駆けである東京ドームは、当時のドーム球場事情を踏まえて室内と屋外との隔離が徹底されており、私にとっては“建物のなかで野球をやっている感”が強い。故に、野でボールを投げ、打ち、走るという“野球本来の醍醐味”が希薄に感じるのだ。

 そのために私は、チケットの入手しづらさと相まって、いつしか、屋根なし球場をホームにする球団のファンになっていった。勝っても負けても、野球観戦の喜びは、球場で観戦するときの気持ちよさと無関係ではない。コスト面やスムーズなスケジュール進行などの事情を含め、ドーム球場にするメリットは理解できるのだが、一方で失われるものも大きいのではと思うのだ。

ON時代が忘れられない世代にとって


 今の巨人には、昔と変わらずスター選手は多い。しかし、前人未到のV9など、栄華を極めたON時代の巨人は正真正銘の“スター揃い”だった。当時を知る私にとっては、今の選手たちはどうしても小粒に見えてしまう。もちろん、今の巨人の選手が悪いわけではない。

 現在は地域に根づいた人気球団が増え、また、ドラフトやFA制度もより整えられたことで、各球団の戦力は均等になってきている。CSやBSでの中継で、毎日、ほぼ全球団の試合を見ることもできる。このいう時代のなか、“ON時代より小粒”と言っても仕方ないのだが……。


それでも巨人はプロ野球界のシンボル


 当然、今も昔も巨人を愛する野球オタクも多い。今でも日本では最もメジャーな球団だ。日本でのプレーも視野に入れる海外の選手にも“日本に行くならジャイアンツがいい”という声が多いだろう。巨人が日本プロ野球界のシンボルであることに変わりはない。

 しかし、地域密着型の球団が次々と成功し、地域一体となったパワーがチーム力に反映されるようになった状況で、全国区の巨人がどのように力を保っていくのか?

 今後も野球観戦の楽しみ方は変化していくだろう。巨人のみならず12球団全体で力を合わせ、時代の流れをつかみながら、野球オタクもライトなファンも楽しませてくれるプロ野球界であり続けることを願いたい。


文・元井靖行(もとい・やすゆき)

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