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“場外ファウル”のようなキャンプネタを一挙放出!!

 いよいよオープン戦も開幕したプロ野球。まさに“球春たけなわ”の時期を迎えている。この時期は、キャンプならではのトピックスも頻繁に報じられる。“場外ファウル”のようなネタを集めてみた。

闘将のちょっといい話



 監督として中日、阪神、楽天を率いて、いずれのチームでもリーグ優勝を果たすなど、「名監督」としての地位を獲得した星野仙一氏。その原動力となっているのが「あふれる闘志」なのは多くの野球ファンが知るところだが、そんな星野氏でさえ、ほのぼのエピソードが出てくるのはキャンプならではだろう。

 それは、楽天を率いていた2011年、沖縄・久米島キャンプ初日でのこと。練習を終え、球場から宿舎までの帰路の後半部分を、健康のために車から徒歩へ切り替えた星野氏。ところが、慣れない土地のため、道に迷ってしまう。そこに現れたのが小学生3人組。野球少年だったこの3人に道案内を頼み、無事に宿舎へとたどり着いたのだった。

 翌年の同地のキャンプで、「あの子ら来ないかな?」と報道陣に呼びかけたところ、再会が実現。球場を訪れた3人は中学生となり野球部に入っていた。

 まさか、星野氏と再会できるなんて考えもしなかった3人の少年は、野球用具を持ってきていなかった。そこは星野氏に一喝されるも、プロの練習を間近で見学し、打席にも立たせてもらうなど、その姿はもはや練習生。3人は「頑張って、練習して、将来は楽天に入りたい」と泣かせるコメントを残した。

リタイア第1号の常連だった“くせ者”


相手を欺く隠し球。
守備妨害スレスレのスライディング。
意表をつくバッティング……

 あふれる野球センスで強烈な存在感を放っていた元木大介氏(元巨人)。そんな元木氏の現役時代のキャンプでの話題といえば、リタイア。とにかく、毎年のように真っ先に戦線離脱のニュースが伝えられ、別メニューでの調整を余儀なくされていた。

 それでもシーズンでは、あの重量打線の中で、いやらしく、機転が利くユーティリティプレイヤーとして大事な場面でチームに貢献する活躍を見せ、2002年以降は1億円を超える年俸を得ていた。バイプレイヤーとしては一流だった。

 ちなみに、元木氏は引退後の2009年に出演したテレビ番組でも負傷している。当時、人気を博していた「クイズ!ヘキサゴン2」で、大縄跳びに参加したときに、左足アキレス腱断裂という大ケガを負ったのだ。体の頑強さという点では、1軍半だったのかもしれない。

経営母体が変わるとキャンプは大激変!


 いまでこそ埼玉県所沢市に定着している埼玉西武ライオンズ。しかし、西武グループが買収する直前は「クラウンライターライオンズ」として福岡に本拠地を置いていた。1970年代のことだ。

 成績が低迷し、入場者数も減少。当然、チームの財政も悪化の一途をたどり、さまざまな経費削減策が講じられていた。

 当時の本拠地だった平和台球場で1次キャンプを打ち上げ、長崎・島原の2次キャンプ地に向かう移動手段は、なんと普通電車。そこからフェリーを乗り継いで、球場入りしていたのである。しかも、レギュラー級ではない若手選手はもちろん、主力選手に助っ人外国人や監督・コーチ陣まで同じ電車を使っていた、というのだからすごい。当然、キャンプ中の宿舎や食事も簡素にまとめられていたことは想像に難くない。

 しかし、1978年オフに西武グループが100億円近くを出資して、球団を買収、経営体制が一新されたことで、選手を取り巻く状況は激変する。新生ライオンズの初キャンプは、アメリカ・フロリダのブラデントン。この温暖な地で、なんと54日間という長期滞在を敢行した。選手たちの食事も、和食ではなくビュッフェスタイルの洋食が提供された。しかも、この間、日本の球団とは一切戦わず、近隣でキャンプ中のメジャーリーグのチームとオープン戦を重ねて、開幕4日前に帰国しシーズンインという超異例の調整スタイルをとったのだった。

 その後の西武の躍進、黄金時代到来は周知の通りだが、西武ライオンズ初年度は、前年をも下回る成績で最下位に沈んでいる。


■ライター・プロフィール
藤山 剣/1970年生まれ。元高校球児(軟式)。出版社勤務を経てフリーに。多くの野球関連の書籍や雑誌の制作だけでなく、他に情報誌や競馬誌にも携わる。

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