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金本知憲監督が命がけで獲得したFAの糸井嘉男。来季の「金本阪神」はどうなる?


 金本知憲監督の待ち焦がれた“初めての恋人”がついにラブコールを受け入れてくれた。

 糸井嘉男35歳。

 金本監督が野球人として惚れ込んだ、35歳には見えない若さと強さを兼ね備えたナイスガイだ。

 糸井の加入と時を同じくして発表された来季の阪神タイガースのスローガンは“「挑む」〜Tigers Change〜”。

 「挑む」とは、相手にたちむかう、積極的にこちらから仕掛けることを意味する言葉だ。

 まずは、糸井獲得のためFA戦線に積極的なアプローチで挑み、有言実行を成し遂げた阪神だが、糸井加入で来季どう変革を遂げるのか?

 「攻」「守」の両面から考察してみた。

「攻める」ことで「挑む」


 糸井の加入でまずは大きく変わるのが、ナインの走塁への意識だろう。

 35歳にして今季53個の盗塁を決め、パ・リーグ盗塁王に輝いた糸井の加入は、糸井の盗塁の分、チーム全体の盗塁数が増えるだけでなく、これまで足が速いといわれながらも走れなかった阪神の若手選手の意識改革につながることは間違いない。

 今季の阪神の盗塁数はセ・リーグ最下位の59個。糸井が1人で走った盗塁数とあまり変わらない。

 糸井の走塁は、打つ方にも好影響を及ぼすはずだ。

 振り返って見ると、開幕ゲームから高山俊、横田慎太郎で1、2番を組み、バントをしない「攻撃的2番」で臨んだ。しかし、十分に機能しないまま、いつのまにかチーム方針は犠打もやむなしに変更されていった。

 来季、打てて走れる「2番・糸井」が実現すれば、理想とする「攻撃的2番」は十分機能していく。
 「攻」めることで「挑む」!

 チームの活性化は、糸井頼みの感さえある。

「守」りからも「挑む」


 糸井の加入で、守備面にも大きな変革が起きる。

 現在、外野の布陣を見ると、ライトは休息日を除き福留孝介がレギュラーとして不動だ。レフトは今季しっかりと結果を残し、まだまだ伸びしろを感じさせる高山が、来季もほぼ定位置を確保すると言っていいだろう。

 ここにセンターに糸井が加われば、外野陣はすべて埋まることとなる。

 今季、繰り広げられた外野手争いは安泰となる反面、来季はその争いが内野に移行する。
 現に、秋季キャンプでは、中谷将大がサードで、板山祐太郎がセカンドで内野の練習をするなど、内野へのコンバートが積極的に行われている。

 北條史也の急成長で、ショートの守備位置争いが混沌としているなか、外野手が数名コンバートされれば、より内野手の競争は激化し、チーム力は格段に上がる。

 「守り」からも「挑む」状態ができあがるのだ。


金本監督の来季の至上命題


 糸井の加入について悲観的な意見があるのも事実だ。

 若手を育成し、チームを超変革することで強くしていく。「金本阪神」が掲げた初年度のチームスローガンは、こう理解されていたはずだ。

 2年目に向かう金本阪神は、チームスローガンを“Tigers Change”として、超変革の余韻を少し残しつつ、FA戦略で補強する策に出た。

 このチーム方針の微妙な転換がファンや関係者の間でも賛否両論となっているからだ。

 とは言うものの、「育成しながら勝つ」という根本的な精神は、糸井という実力者の加入で、若手選手に好影響を及ぼし、育成につながるという意味で生きていると解釈できる。

 ただこれだけは言える。

 FA補強に打って出た金本監督にとって、来季の糸井の活躍は、今季、鳥谷敬に期待したリーダーシップ以上に失敗が許されない至上命題となったということだ。


文=まろ麻呂
企業コンサルタントに携わった経験を活かし、子供のころから愛してやまない野球を、鋭い視点と深い洞察力で見つめる。「野球をよりわかりやすく、より面白く観るには!」をモットーに、日々書き綴っている。

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