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里崎智也、岩村明憲が語るイチローのすごさ。WBC優勝メンバーが今だから明かす舞台裏


 WBCに向け、小久保裕記監督がイチローを視察──。先日、こんなニュースが報じられた。

 来年3月に開催されるWBC(ワールド・ベースボール・クラシック)2017。イチロー参戦がもし実現すれば、これほど盛り上がる話題はないだろう。

 燦然と輝くWBC2006、2009における日本連覇。その偉業はイチローの存在を抜きには語れない。そんなイチローとともに、日本の世界一に貢献したふたりの球界レジェンドがトークイベントを行った。

 ひとりはWBC2006で日本代表の正捕手を務め、大会ベストナインにも選ばれた里崎智也(元ロッテ)。そしてもうひとりが、WBC2006、2009両大会で活躍し、日本連覇に貢献した岩村明憲(元ヤクルトほか、現福島ホープス選手兼監督兼球団代表)だ。

 オンラインコミュニティ「乾杯!ほろ酔いプロ野球部」主催の人気トークイベント『里崎智也のプロ野球語り呑み』の第5弾で侍ジャパンの盟友が再会し、集まった野球ファンを盛り上げた。その一部を紹介したい。

イチロー決勝タイムリーの舞台裏


 話題は「WBC2009は、イチローが持っていき過ぎでは?」というお題から発展した。持っていき過ぎ、とはもちろん韓国との決勝・延長戦で放った劇的すぎる決勝タイムリーに他ならない。あの一打が盛り上がった背景には、決勝までのイチローがあまりに絶不調だったからでもあった。

「でも、イチローさんの陰で目立たなかったんですが、僕も一次ラウンドは9打数ノーヒット。知る人ぞ知る、絶不調男だったんです」

 そう語ったのは岩村。当時すでにメジャーリーガー(デビルレイズ)だった岩村をもってしても、世界一をかけて戦うWBCのプレッシャーはそれほどすさまじかったという。もっとも、岩村はアメリカラウンドに移行してからは復調。打率4割5分の好成績を残し、韓国との決勝戦でも貴重なヒットを放っている。

「イチローさんは確かに、決勝タイムリーを打ちました。全部持っていきました。でも、皆さん覚えてないかもしれないですけど、僕もその前の前、ランナー二塁の場面でレフト前ヒットを打っているんです。ランナーの足が速ければ、僕がヒーローだったはずなんです」

 このときの二塁ランナーは内川聖一(当時、横浜)だった。

「もう、打った瞬間『よし!』と思ったのに、内川が“余裕の三塁ストップ!”。『おい! ちょっと待てぃ』と。『お前、せめてもう少し「行こう」という姿勢をみせろよ。この1点に「世界一」がかかってるんだぞ!』と本気で思いましたよ(笑)」

 岩村のヒットと内川の諦め(?)でランナー一、三塁。この緊迫の場面でさらに岩村が盗塁を成功させ、ランナー二、三塁で生まれた一打が、イチローの2点タイムリーヒットだった。結果的には、岩村のヒットと盗塁にとってチャンスが広がったからこそ、イチローの名場面が生まれたわけだ。

「ホームに帰って、内川とハイタッチするじゃないですか。で、内川が何か言いたそうだったので、さっきの走塁のことかな? と思ったら、あいつ、『やったぜ、ガンちゃん』と言ってきたんです。お前……、年下だよな。せめて『ガンさん』だろぉ! と。しかもお前、俺のヒットで帰ってこなかったじゃねーか! と。このことがあって以降、内川は球場で一緒になると、絶対に、何があっても僕のところに挨拶に来ます(笑)。僕は必ずこう聞きます。『ランナー二塁の判断、良くなった?』って(笑)」

 ソフトバンクで内川が好走塁を見せたとしたら、それは岩村“先輩”のアドバイスがあってこそ、と思った方がいいだろう。

「自分には甘いんじゃないのぉ」と里崎


 ヒーローになり損ねた男、岩村が語る「イチロー決勝タイムリーの舞台裏」。これを聞いていた里崎も「そんなこと言ってますけども!」と話題を広げた。

「後輩には厳しいですけども! 2006年のWBC、2次予選の韓国戦。負けられない一戦での先制のチャンス、ランナー二塁という場面で、僕はライト前にスコーンって打ったんですよ。『先制や!』と思ったら、セカンドランナーが肉離れでホームタッチアウト。もう、ヒーローになり損ねましたよ。そのランナー、誰だっけなぁ……」

 「自分には甘いんじゃないのぉ」と言いながら、里崎は何度も岩村をチラ見した。そう、このとき肉離れを起こしたランナーこそ岩村だった。

「三塁ベースを回って、5歩くらい進んだところで、ブチ! って音がしたんです。でも、ちょうど(三塁・本塁間の)真ん中。行くのも戻るのもどっちも無理だ! と。だったら、ミスがあって何かが起こるかもしれないホームに行ったほうがいいと思って、そのまま進んだんです」

 必死に弁解する岩村だったが、最後は「………さーせん」と謝るほかなかった。


そんじょそこらの勧誘じゃ、僕はプロ野球には戻れない


 プレッシャーによる不調。そして肉離れ。WBCという極限状態で酸いも甘いも経験した岩村だからこそ、選手選考には一家言あるという。

「とくに第1回大会の2006年は、みんなが手探り状態でした。結果的に、体がビックリしてケガにもつながったんですよね。だから僕、思うんです。2月、3月の時期に全力で動けるのって、アピールをしたい若手なんです。開幕にむけて調子を上げるベテランよりも、若手を連れて行ったほうが仕事をするんじゃないかな、というのはあります」

 さらに、こんな提言も付け加えた。

「レギュラー選手だけを25人集める選考じゃダメだと思います。控えのスペシャリスト、という選手もいますから。ベンチでどう過ごせばいいか。俺の出番はここだな、というのを自分で判断できる選手。走塁のスペシャリスト・鈴木尚広(巨人)みたいな。そういう選手を選んでおくことも必要なんじゃないかな、と思います」

 こうした意見に、会場のファンからは「早くNPBで監督・コーチをやってよ!」という声が盛んに飛んだ。岩村の現在の肩書きは、独立リーグのBCリーグ、福島ホープスの選手兼監督であり、さらには球団代表まで務める身だ。

「僕は今年、福島2年目。福島ホープスは震災からの復興を盛り上げようと生まれたチームなんですね。僕も2011年は仙台が本拠地の楽天にいましたので、人ごとじゃない。そういう思いもあって今、福島にいます。だから、そんじょそこらの勧誘じゃ、僕はプロ野球には戻れないんです」

 岩村の真面目&熱い宣言に、会場からは「おぉぉぉお」といううなり声があがった。

 ここだけの球界マル秘トークも、熱い野球論も繰り広げられる『里崎智也のプロ野球語り呑み』。次回開催は9月8日(木)、元阪神タイガース「必死のパッチ」こと関本賢太郎をゲストに迎えて開催される。「超変革」をスローガンに掲げながら、苦戦を強いられている古巣の戦いぶりをどう思っているのか? ホストである里崎部長がギリギリトークを引き出してくれるはずだ。

 イベント情報について、詳しくはオンラインコミュニティ「乾杯!ほろ酔いプロ野球部」のホームページ(https://bukatsu.hikaritv.net/campaign/0018/)もチェックを(文中、敬称略)。


文=オグマナオト

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