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150得点以上増加! ココが変わった2016年プロ野球最大の焦点・コリジョンルールの影響は?

プロ野球2016 ココが変わってどうなった?【球団編】

 今季のプロ野球で大きな話題を呼んでいるのが、コリジョンルール。開幕後はその言葉を目にしない日はないほど、毎日のように各メディアで取り上げられている。今回はコリジョンルールが適用された実例、そして現状起こっている変化について考えてみよう。


そもそも「コリジョンルール」ってナンだ?


 コリジョン(collision)とは衝突を意味し、同ルールはクロスプレーで危険な接触を回避するためのもの。危険な接触、具体的に言うと走者の激しい体当たりや捕手の悪質なブロックにより選手生命が断たれないための対策でもある。NPBでは本塁でのクロスプレーにおいて、今季から導入した。

 野球規則に明文化されたのは以下の通り(要約)。
1.走者の捕手への体当たり禁止
2.捕手の走者へのブロック、走路の封鎖禁止
3.送球が逸れるなどやむを得ない場合、捕手の走路侵入は許されるが、走者と激しい接触を避ける努力をする

 これまでは捕手が送球を待ち構えながら、走者のホームベース侵入をレガースなどで阻む機会が多く見られた。そして、明らかにセーフのタイミングでもブロックすることでアウトを奪うのは、捕手の上手さを計るひとつの指標であった。

 だが、今季はブロック禁止になったことにより、きわどいタイミングでは追いタッチで走者にタッチしなければならない。捕手は従来と違った技術の習得を迫られ、反対に走者は本塁への突入をより積極的に敢行できる。すなわち、得点の機会が増えそうだ。


コリジョンルールが適用された例は?


 コリジョンルールが初めて適用されたのは、3月15日のヤクルト対広島(オープン戦)でのこと。

 ヤクルトの左翼手・山崎晃太朗の送球が三塁側に逸れ、それを体の前に弾いた捕手・中村悠平が拾って走者・松山竜平にタッチ。これで従来ならアウトというところを「タッチの際に右足で走路をふさいだ」とみなされ、判定が覆った。

 同時にこのプレーで判明したのが、悪質な衝突と球審が判断した場合に該当選手に警告または退場処分を与えること。上記の場合は中村に警告が与えられ、1試合に2度取られると退場処分となる。

 しかし、審判団からはこれまで警告についての説明がなく、真中満監督は困惑。結局開幕前に「警告2度で退場→3度で退場」へと緩和され、セ・パ両リーグのアグリーメントに明文化される運びとなった。

 一方で、同じような状況下においてコリジョンルールが適用されなかった例もある。

 4月13日・オリックス対日本ハムの6回表、大谷翔平のライト前ヒットで本塁を狙った二塁走者・中田翔と、やや三塁側に逸れた送球を受け取った捕手・山崎勝己が衝突。判定はアウトだったが、コリジョンルール適用も考えられた。

 それを見越して栗山英樹監督は抗議。こちらも今季から導入のリプレー検証へ持ち込むも、判定は覆らずアウトのまま試合再開。山崎は送球が逸れてやむを得ない場合における、正しい対処をしたことになった。

コリジョンルール導入で得点は増えた? 減った?


 コリジョンルールの導入で得点の機会が増えそうだと、今回は記した。しかし、それは本当に正しいのか。4月17日終了時点の各チーム得点数と、昨季の同試合数消化時の数字を比較してみよう。差分の大きい順に並べてみたい。

<セ・リーグ>
阪神:20試合88得点
昨季20試合消化時:59得点 +29

広島:18試合91得点
昨季18試合消化時:64得点 +27

ヤクルト:19試合79得点
昨季19試合消化時:61得点 +18

巨人:20試合78得点
昨季20試合消化時:69得点 +9

中日:20試合59得点
昨季20試合消化時:73得点 -14

DeNA:19試合51得点
昨季19試合消化時:66得点 -15


<パ・リーグ>
楽天:18試合83得点
昨季18試合消化時:49得点 +34

ソフトバンク:17試合89得点
昨季17試合消化時:59得点 +30

ロッテ:20試合99得点
昨季20試合消化時:78得点 +21

西武:18試合79得点
昨季18試合消化時:63得点 +16

オリックス:18試合54得点
昨季18試合消化時: 49得点 +5

日本ハム:19試合80得点
昨季19試合消化時: 82得点 -2


セ・リーグ合計
446得点(昨季:392得点)+54
平均9.0点アップ

パ・リーグ合計
484得点(昨季:380得点)+104
平均17.3点アップ

両リーグ合計
930得点(昨季:772得点)+158
平均13.1点アップ


 このように、開幕から3週間程度で両リーグ合計150点以上増加。チーム単位では、楽天が最も多く得点数を増やしている。

 もちろん各々の攻撃力強化なども考慮すべきだが、12球団中9球団が得点増であることから、コリジョンルールの導入は攻め手側に追い風が吹くという見方ができる。


来季以降には二塁や三塁でのコリジョンルールも導入か


 現状は本塁のみだが、来季以降には二塁や三塁でのコリジョンルールの導入も考えられる。先だってアメリカでも同様の議論がなされており、二塁に関しては今季から接触を避けるための新ルールが適用済み。

 奇しくも、日本でも二塁ベース付近や三塁ベース付近での危険なスライディングが開幕直後から議論の的にされてきただけに、現実的な問題として捉えるファンも多いはずだ。

 選手の安全面を重視してつくられた、コリジョンルール。同ルールを取り入れることで、選手生命が断たれるリスクは減ったはず。一方で得点が増加傾向にあり、采配面や作戦面での変化も見られる。今後も得点数の推移やベンチワーク、そして何よりも危険な衝突が起きないかどうかを観察していきたい。

文=加賀一輝(かが・いっき)

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