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復活した『プロ野球呪いのハンドブック』の歩き方〜楽天・西武・ロッテ編〜

 開幕から12球団ともに20試合前後を消化した2014シーズン。開幕ダッシュを決めたチームもあれば、逆に失敗したチームもありと、ファンにとっては一喜一憂の日々を過ごしているだろう。そんなとき、再び手にとって欲しいのが、今年2月に発売した『別冊野球太郎2014球春号〜プロ野球[呪い]のハンドブック』(発行・イマジニア株式会社ナックルボールスタジアム/発売・廣済堂出版)だ。

 12球団別に呪いポイントがびっしりと書かれているこの本を読み返せば、応援するチームのペナントレース序盤戦の好不調の理由について、ひと味違った視点で検証できる。さらに開幕直前に『週刊野球太郎』で特集した「『プロ野球[呪い]のハンドブック』の歩き方」を振り返れば、これからのペナントレースでの応援ポイントもわかるはずだ。

 今週から始まるこのコーナーでは、ペナントレース開幕から約1カ月をふまえ、各球団の呪いは払拭されたのか否かを検証。さらにこれから振り払いたい呪いの要素をピックアップしていく。それでは今週は、パ・リーグの昨シーズンAクラス入りした3球団からスタート!

△2013年パ・リーグ1位:楽天の応援ポイント▽
◎この呪いは振り払った!?


 開幕前から心配されていた呪いは、何といっても“田中将大の穴”だ。昨年までの大エースが挙げた24勝は誰が埋めるのか……と、誰もが心配していた。

 しかし、昨季新人王の2年目右腕・則本昂大が好調だ。開幕戦は9回完投してチームの船出に勝利をもたらし、18日には日本ハム相手にプロ初完封をマーク。さすがに無敗とはいかないまでも3勝1敗と貯金を作り、田中の後継者の一番手として大活躍している。辛島航は、則本以上にいい防御率を残し、成長が感じられる投球を披露している。


▲則本昂大


 2年目の森雄大や新人・松井裕樹といった大抜擢された、さらに若い投手たちが先輩たちを追って、結果もついてきたら、その穴はなんとか埋まっていくのではないか? という言葉も現実味を帯びてくる。長い目で見守っていきたい。

この呪いに注意!?


 やや気になるのが今季から「楽天koboスタジアム宮城」(コボスタ宮城)に改名したホーム球場での戦績。昨季の楽天はホーム球場で42勝28敗2分と無類の強さを誇り、ビジターチームの1試合平均失策数がパ・リーグ本拠地のなかでリーグワーストだった。相手チームにとって「守りにくい」球場であるはずが、ここまで4勝5敗と負け越している。今後はホーム球場で多くの勝利を収めることができるか、見守りたい。

 ここまで勝率は5割と健闘している楽天。先発陣の奮闘もその要因だが、新守護神・ファルケンボーグの活躍が大きい。昨季に限らず、楽天はストッパー不在に苦しんでいたチーム。球団記録は2012年に青山浩二が記録した22セーブで、開幕から安定してセーブを積み重ねているファルケンボーグがこのチーム記録を破る可能性は高い。

△2013年パ・リーグ2位:西武の応援ポイント▽
◎この呪いは振り払った!?


 開幕ダッシュに失敗した西武にとって、この序盤戦で明るい材料を見つけるのは正直難しい。そんな状況下で希望の星となっているのが、「2年目のジンクス」が心配された選手の奮闘ぶりだ。

 昨季9勝を挙げて今季が実質2年目といえる菊池雄星は、開幕から3度の登板は四死球が多く、3連敗だったものの、19日のオリックス戦では好投し、288日ぶりの勝利をマーク。またプロ2年目の高橋朋己も、なかなか調子が上がってこなかったが、17〜19日の3連投では好調時のストレートが戻ってきた印象で、プロ初セーブを挙げた。さらに2年目といえば、野手転向2年目で花開いた木村文紀もレギュラーを奪取し、チーム内で打撃三冠王という数字を残し、チームを牽引している。


▲高橋朋己


この呪いに注意!?


 相変わらずといってはそれまでだが、今季も“俺達”は健在のようだ。西武の不甲斐ない救援投手陣を皮肉って生まれたこの言葉のとおり、ここまで救援投手陣の調子は悪い。新ストッパー・十亀剣はここまで2敗2セーブと、配置転換に適応できていない感もある。牧田和久、岸孝之、野上亮磨といった先発陣は軒並み安定しているだけに、やはり救援投手陣の奮起が待たれるところだ。

 ここ数年、負け越しが続いている“永遠のライバル”ソフトバンクとの対戦にも注目が集まったが、伊原新監督を迎えた新体制になっても、最初のカードは1勝2敗とパッとしない。その伊原監督曰く「3月、4月は我慢大会」という言葉を信じて、中村剛也の一軍昇格を待つしかないだろう。

△2013年パ・リーグ3位:ロッテの応援ポイント▽
◎この呪いは振り払った!?


 開幕前の意外な高評価を裏切って、いまだに借金が返せないロッテ。そのなかで明るい要素を探すとすれば、2013年ドラフト1位入団の石川歩の活躍だろう。ロッテのドラフト上位指名投手が伸び悩む呪いに屈することなく、6日の日本ハム戦ではプロ初勝利を完投で飾るなど、ここまで安定した投球で2勝を挙げている。また実質2年目のジンクスが心配された西野勇士が新ストッパーに定着。ここまで4セーブと活躍を見せているのが、せめてもの救いだ。


▲石川歩


この呪いに注意!


 前述した石川とは対照的に、一向に解消されていないのがドラフト上位指名投手の伸び悩み。2006年高校生ドラフト1巡目の大嶺祐太、2011年3位の中後悠平は今季もパッとせず、2011年1位の藤岡貴裕も先発ローテに入りながら今季未勝利。また2007年高校生ドラフト1巡目で入団した唐川侑己は不調のため2軍降格。FA移籍の涌井秀章を含めて、石川以外の先発投手陣の奮起を祈願したい。

 開幕前の順位予想では、例年になく高評価だったロッテ。さすがというべきか、こういう時に限って“空気を読まず”に、開幕5連敗をキメた。お祓い不要選手に挙げていた4番・今江敏晃が1軍ベンチから外れたまま開幕を迎え、17日に再度、登録抹消されたのも痛い。

 もうひとつ。昨季は2勝10敗と大きく負け越すなど、ロッテにとって“鬼門”の楽天の本拠地での試合は4月29日から。Kスタ宮城からコボスタ宮城へと改名した効果で、呪いを解いて欲しいものだ。


■ライター・プロフィール
鈴木雷人(すずき・らいと)/会社勤めの傍ら、大好きな野球を中心とした雑食系物書きとして活動中。“ファン目線を大切に”をモットーに、プロアマ問わず野球を追いかけている。Twitterは@suzukiwrite

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