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砂つかみ、打撃妨害、サヨナラ死球!? 地味で堅実な名捕手・石原慶幸が魅せるインチキとは?


 各選手が2月1日のキャンプインに向け自主トレを公開しているなか、広島東洋カープの新井貴浩が、12年連続で鹿児島市最福寺での護摩行を行ったニュースが報じられた。

 護摩行とは、数千本の護摩木を燃やし、炎の前で読経を行う荒行である。

 プロ野球ファンには有名なその護摩行に、広島のベテラン捕手・石原慶幸が10年間同行していることは存知だろうか?

 新井と比べ、色々な面で地味な感は否めない石原。同じ苦行に臨んだにも関わらず、行ったことすらも報じられないほど扱いが小さいのは、少なからず不憫な気がする。

 だがしかし、しれっと護摩行に参加していることに限らず、実は知る人ぞ知る珍記録保持者であり、数々の珍プレーを演出してきた「エンターテイナー」だということは、あまり知られていない。

 幾多の逸話を持つ“名捕手”石原。その石原が見せる不思議な魅力をここに紹介したいと思う。


ファンの期待を上回るミラクルの数々。ついたあだ名は「インチキ」


「インチキ」…石原に付けられたニックネームの1つだ。なぜ「インチキ」なのか? それは、ファンの期待のはるか上を行く意外性を発揮することに由来する。

 運は実力のうちとはいうものの、通算打率.241ながら、6年連続でサヨナラ打を打ち続けた。3、4打席タイミングが全く合っていなかったのに、サヨナラの場面ではヒットが出たり、打球がイレギュラーしたり、球が自然に身体に当たったり……、とどこかインチキ臭い現象が起こるのだ。

 そんな石原のインチキを抜粋しよう。

・サヨナラデッドボール
2011年5月14日・巨人戦

9回裏1点ビハインドの広島は、相手投手レビ・ロメロの乱調で同点に追いつき、2死満塁で打者は石原。 その初球。投球は一直線に石原に向かい、身体に直撃。倒れ込みながらも、渾身のガッツポーズを見せる石原。世にも珍しいサヨナラデッドボールの瞬間であった。無安打ながらお立ち台に上がる石原に歓声と笑いが起こった。


・砂つかみ事件
2013年5月7日・DeNA戦
6回表2死一塁の場面で、投手・久本祐一が投じた球がわずかにそれ、ミットからボールがこぼれてしまう。こぼれたボールを見失う石原。それを見たランナーの石川雄洋は進塁を試みようとする。
その時だった。石原は、足元の砂をボールに見立てて掴みとったのだ。ボールを見つけたと勘違いした石川は、進塁を自重するのであった。 相手ベンチからも笑いがあふれる程の疑似プレーは、これぞインチキの最高傑作と呼べる奇跡のプレーと言っても過言ではない。


実はWBC代表の球団史上屈指の名捕手


 この他にも、サヨナラ打撃妨害という球史に残る珍プレーを披露してきた石原。14年目の今季は、どんなインチキをみせてくれるのか、大いに期待したい。

 このように、コミカルな面も石原の魅力のひとつではある。しかしながら、本来は広島捕手史上最多安打記録保持者であり、定評のあるキャッチングや投手陣の調子を観察することで2009年のWBC優勝を影で支えたメンバーでもあり、広島を代表する名捕手であることに偽りはない。

 石原には、12球団トップクラスの守備力といい意味での「インチキ」で、今季も広島の扇の要として活躍してくれることを信じてやまない。


文=井上智博(いのうえ・ともひろ)

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