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プロ野球戦力外通告から復活した男たち

 オフシーズンに突入したプロ野球界。大物選手の移籍動向はもちろんだが、戦力外通告を受けた選手の行方も気になる時期でもある。12球団合同トライアウトに参加した選手、秋季キャンプにテスト生として参加した選手、トライアウトなどを受けずひたすら他球団からのオファーを待つ選手……。そのアプローチは人それぞれだ。

 今年のプロ野球では昨オフに戦力外通告を受けながらも、他球団との契約を勝ち取り新たな舞台で活躍した選手たちがいた。その男たちの活躍を振り返りたい。

八木智哉(オリックス→中日)


 日本ハム時代はルーキーイヤーに12勝を挙げ新人王を獲得。以降も先発投手として投げ続けてきた。13年に交換トレードでオリックスへ移籍するが、2年間1軍で勝利を挙げることができず昨年オフに戦力外通告を受けた。

 現役続行を望む八木は12球団合同トライアウトに参加。八木の投球を見た中日・落合博満GMから「再生可能」と判断され、中日への入団が決まる。その一部始終は昨年末放送されたTBSテレビ『プロ野球戦力外通告』でも紹介された。


 八木は開幕から先発ローテーションに入ると、2度目の登板となった4月4日の広島戦で相手先発・黒田博樹と投げ合い7回無失点、10奪三振の好投で移籍後初勝利。日本ハム時代以来となる982日ぶりの白星だった。今年挙げた4勝はすべて本拠地・ナゴヤドームでの広島戦と抜群の相性を見せ、「広島キラー」として蘇った。

堂上剛裕(中日→巨人)


 父・堂上照(元中日投手)、弟・堂上直倫(中日)もプロ野球選手。愛工大名電高から地元球団・中日に入団し左の代打として台頭する。2012年には自己最多の85試合に出場するが、翌年以降は出場機会が減少し昨年オフに戦力外通告を受ける。前出の八木同様12球団合同トライアウトに参加し、巨人から育成契約としてオファーを受け入団する。

 育成選手として臨んだ春季キャンプでは、キャンプ中の2月23日に支配下登録が決まり背番号が「014」から「91」に昇格。

 ところが、その直後にオープン戦で右手親指を骨折する不運に見舞われる。故障が癒えた堂上は5月12日に1軍昇格を果たすと、同日の広島戦に「6番・レフト」で移籍後初のスタメン出場。1点を追う7回に相手先発・前田健太から同点打を放つと、その後、暴投で勝ち越しのホームを踏み2安打1打点と活躍。完投勝利の先発・菅野智之とともにお立ち台に立った。

 その翌日からは2試合連続で3番打者を任されるなど出場機会を増やし、8月12日のDeNA戦では代打で途中出場し満塁本塁打を打つ活躍を見せた。


チェン・グァンユウ(DeNA→ロッテ)


 本名は陳冠宇(読み方一緒)。台湾出身で大学時代には同国代表でのプレー経験も持つ。2011年2月に大学を休学して横浜(現・DeNA)に入団。翌年からは育成選手としてプレーし、2014年シーズン途中から支配下登録された。その年の7月16日の広島戦で1軍初先発を果たすも、3回途中で降板。この試合が唯一の1軍登板となり、オフに戦力外通告を受けた。

 しかし、11月にはロッテの秋季キャンプにテスト生として参加し、シート打撃での投球が認められ入団を勝ち取った。開幕2戦目で先発するも、勝てない時期が続いたが、6月10日の中日戦でプロ初勝利。

 特にシーズン終盤の9月は3勝0敗、防御率1.04と活躍。なかでも9月30日の日本ハム戦では、自己最長の7回を投げて無失点、無四球と安定した投球で、勝ち投手となった。終わってみれば5勝を挙げ、先発左腕不足に悩むチームの中で貴重な働きを見せた。


文=武山智史(たけやま・さとし)

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