週刊野球太郎
中学、高校、プロ・・・すべての野球ファンのための情報サイト

コロナウイルスに東京オリンピック。日程を眺めながら選手への影響、チームの取り組み方を検証

文=勝田聡

コロナウイルスに東京オリンピック。日程を眺めながら選手への影響、チームの取り組みを検証
 新型コロナウイルスの影響でオープン戦は無観客試合で行われ、3月20日のシーズン開幕は延期となった。一方、春の甲子園(センバツ)は3月11日に無観客試合での開催か中止かの最終決定が高野連より下されるという。球春到来を前に、野球界は今までにない事態に見舞われている。

 さらに今年は東京オリンピックが開催されることによって、プロ野球をはじめ野球界の日程が例年とは異なっている。現時点で予定されている日程と、選手たちに及ぼす影響を考えてみる。

NPBの休止期間は7月21日から8月13日の24日間


 今シーズンのNPBは東京オリンピック開催に伴い、昨年よりも1週間早い3月20日に開幕戦が行われるはずだった。しかし前述の通り4月に延期。まだ開幕日は発表されていない。143試合を消化することを最優先とし、CSやオールスター・ゲームの中止、ダブルヘッダーの実施などもささやかれている。

 もし日程消化に大きな不具合が生じず、当初の予定に近い形で序盤からペナントレースを進められた場合、そして東京オリンピックが予定通り開催された場合は、前半戦終了が7月18日。翌19日からオールスター・ゲーム2試合を行い、7月21日から8月13日までが休止期間だ。

 後半戦再開は8月14日、レギュラーシーズンの終了は10月17日。日本シリーズ第7戦は11月15日に予定されている。昨年の日本シリーズは第4戦で終了したが、第7戦は10月27日に組まれていた。今年は昨年と比べると、3週間遅い閉幕となるわけだ。とはいえ、日本シリーズが12月にずれ込む可能性もあるという声も挙がっており、状況は不透明だ。

 NPBの1軍はオリンピック期間中、上記のように休止期間を設けるが、2軍やルートインBCリーグは休止しない。普段、1軍の試合にしか足を運んだことのないファンが観戦に行く機会が増えそうだ。

 また、夏の甲子園は東京オリンピック閉幕の翌日である8月10日に開幕する。昨年は8月6日に開幕しており、4日間の遅れはあるものの大きな影響はなさそうだ。

 社会人野球は大きな動きがある。例年7月に行われている都市対抗野球と11月に行われている日本選手権の時期を入れ替えて開催することが決まっている。

 都市対抗野球は東京ドームで行われるが、7月は東京オリンピックもあり都内の交通渋滞や混雑が予想される。それを緩和するために時期を入れ替えるわけだ。

 また、全日本クラブ選手権は例年8月以降に開催されるが、今年は時期を早め5月に行われる。

侍ジャパン選出選手だけでなく皆、心身のコンディショニングがカギ


 NPBではオールスター・ゲーム終了後、中断期間が23日間もある。その間、各球団は無観客試合の練習試合を行うという。もちろん侍ジャパンのメンバーを含む各国の代表に選出されているメンバーは代表チームに帯同する。ここでのコンディショニングが、後半戦のカギを握ることになる。

 前半戦が不調でも、この中断期間中にミニキャンプを張るなどの対策を立てることができれば、後半戦に復調する可能性も十分にあるだろう。もちろん、その逆もありうる。

 また練習試合を行うとはいえ緊張の糸が緩むことが、どう影響するのかは未知だ。2軍や若手の選手などはシーズン終了後にフェニックス・リーグやウインターリーグで戦うことはあるが、1軍の主力にほぼそういった機会はない。心身ともに一度緩んだものを戻すのは、意外に難しいかもしれない。

 また、侍ジャパンの選手たちは国を背負って母国で戦う。これまでにない重圧を背負うことになることは間違いない。どういう結果に終わろうとも解放感はあるはず。燃え尽き症候群のような状態になってもおかしくはない。

 かつてイチロー(元マリナーズほか)は2009年のWBC後に胃潰瘍と診断され、開幕から数試合を欠場した。WBCの激闘が胃潰瘍のすべての原因なのかはわからないが、少なからず影響はあっただろう。イチローでさえもこんなに疲弊するわけである。侍ジャパンの選手たちにも何らかの影響があってもおかしくはない。

かつての前後期制に近い?


 チームとしての臨み方は、(これほど長期の中断ではなかったものの)イメージとしては1973年から1982年にパ・リーグが行っていた前後期制に似ているかもしれない。

 前期で低迷したチームが後期で巻き返して優勝することも可能だった。ちなみに前後期とも同一チームが優勝したのは、1976年と1978年の阪急だけ。残り8年は異なる球団が勝ち上がり、前後期の優勝チームでプレーオフが行われている。

 この前後期制時代には、若き日の野村克也監督が率いる南海が1973年に用いた「死んだふり作戦」もあったと聞く。南海は前期で優勝したものの、後期は優勝した阪急との直接対決は0勝12敗1分とさっぱり。しかし、阪急優勢と目されるプレーオフで阪急を破ってみせた。つまり仕切り直しという制度を利用して、強敵を油断させたというわけだ。

 とはいえ、中断期間を利用してどのチームもこのような作戦が可能なわけではない。あらためて年間を通じて強さを維持することが重要であると同時に難しいことがよくわかる。

 ただ、これだけの長期にわたる中断があるのは2リーグ制の歴史のなかで初めてのこと。どのような展開になるのかは誰にもわからない。

 新型コロナウイルスの影響、そして東京オリンピックによる変則日程。果たして、野球界にとってどんな1年になるのだろうか。

文=勝田聡(かつた・さとし)

記事タグ
この記事が気に入ったら
お願いします
本誌情報
雑誌最新刊 野球太郎No.32 2019ドラフト直前大特集号 好評発売中
おすすめ特集
2019ドラフト指名選手一覧
2019ドラフト特集
野球太郎ストーリーズ
野球の楽しみ方が変わる!雑誌「野球太郎」の情報サイト
週刊野球太郎会員の方はコチラ
ドコモ・ソフトバンク
ご利用の方
KDDI・auスマートパス
ご利用の方