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プロ野球ドラフト指名順位にまつわるジンクスや法則を徹底検証!

 ドラフト会議の結果、そして新人選手たちの展望を「ジンクス」「法則」から探っていくこのコーナー、2回目は「ドラフト指名順位」に焦点を絞って掘り下げてみたい。

「外れ1位」は「外れ」じゃない!


 開幕した「プレミア12」で世界一を目指す「侍ジャパン」。このチームでニ遊間コンビを組む坂本勇人と山田哲人、抑えとして期待がかかる山崎康晃。彼らにはある共通点がある。それはいずれもドラフトで「外れ1位」だったということだ。


 坂本は2006年ドラフトで堂上直倫(現・中日)を外した巨人が1位指名。山田哲人は2010年ドラフトで斎藤佑樹(現・日本ハム)と塩見貴洋(現・楽天)を外したヤクルトが、山崎康晃は有原航平(現・日本ハム)を外したDeNAが1位指名した選手だ。現段階での成績を比較する限り、いずれも競合した選手以上の大活躍を見せている。

 球史をさかのぼれば他にも、1980年ドラフトで原辰徳を外した広島が川口和久を指名。通算139勝をあげ、特に巨人戦で33勝と「巨人キラー」として活躍した。

 1982年ドラフトでは荒木大輔をヤクルトと巨人が競合指名。結果、荒木はヤクルト入りし、通算39勝。巨人は外れ1位で斎藤雅樹を指名。通算180勝をあげる大投手へと成長を遂げた。

 1989年ドラフトでは8球団が野茂英雄を競合し、近鉄が指名権獲得。外した球団のうち、ロッテは外れ1位で小宮山悟を、大洋は外れ1位で佐々木主浩を獲得。ともに球団史に輝く投手として活躍している。

 もちろん、原辰徳や野茂英雄の例が示す通り、手が届かなかった選手もしっかり活躍した事例は多い。また、あえて誰とは書かないが“本当に外れ”だったケースもあるだろう。いずれにせよ忘れてならないのは、「外れ1位選手」には独特の矜持がある、ということだ。野球太郎が以前インタビューした木田優夫(1986年巨人1位指名)はこんなコメントを残している。

『僕は、阿波野(秀幸 ※近鉄1位)さんの外れ1位だった。だから、阿波野さんにだけは負けたくない、と思った時期がある』

 今年のドラフトでは楽天が外れ1位でオコエ瑠偉(関東一高)を、中日が小笠原慎之介(東海大相模高)を、日本ハムが上原健太(明治大)をそれぞれ指名した。「外れ」なんて冠を付けてしまってスミマセン……何年か後、そう謝ることになる成績を期待したい。


3位指名野手には「個性派」が多い


 古くは1967年ドラフトで西鉄から指名され、死球の多さから「特攻隊」「死球王」と呼ばれた竹之内雅史。以降も「コンコルド」淡口憲治(1970年巨人)、「オバQ」田代富雄(1972年大洋)、「赤い疾風」高橋慶彦(1974年広島)、「絶好調」中畑清(1975年巨人)、「珍プレー」宇野勝(1976年中日)などなど、ニックネームで呼ばれるような「個性派」を多数輩出したのがドラフト3位の系譜だ。

 その象徴ともいえるのが1978年にロッテから指名された「オレ流」落合博満だろう。

 以降も「スーパーカー」高木豊(1980年大洋)、「神様」八木裕(1986年阪神)、「侍」小笠原道大(1996年日本ハム)などが続く。また、ニックネームはなくとも松井稼頭央(1993年西武)、稲葉篤紀(1994年ヤクルト)、今江敏晃(2001年ロッテ)など、球史に輝く選手はまだまだ多い。

 今年のドラフト3位野手でも、楽天が指名した茂木栄五郎(早稲田大)、オリックス指名の大城滉二(立教大)など、強打を期待されている野手が何人もいる。彼らも含め、今年のドラフト選手からどんな個性派が生まれ、どんなニックネームで呼ぶことになるのかにも注目していきたい。


4位指名の「野手」は大成する


 ドラフトを巡る法則ですっかり有名になったのがこの「4位指名野手」に関するものだ。1986年の藤井康雄(阪急)、1988年の初芝清(ロッテ)、1989年の前田智徳(広島)、1990年の鈴木尚典(大洋)、1994年の多村仁(横浜)、1996年の和田一浩(西武)、1997年の坪井智哉(阪神)、1999年の川崎宗則(ダイエー)、2000年の赤星憲広(阪神)、2003年の青木宣親(ヤクルト)……と挙げればキリがない。

 特に象徴的なのが1991年ドラフト。イチロー(オリックス)、金本知憲(広島)、中村紀洋(近鉄)、桧山進次郎(阪神)と、のちのスター選手を多数輩出した。


 4位指名野手が活躍する背景にあるのは、ドラフトではどの球団もまず「投手」から指名していくのがセオリー、ということ。今年も上位1〜3位の全36選手中、約2/3にあたる26名が投手だった。裏を返せば「野手で4位指名」は実はかなり評価が高い、ということなのだ。

 今年のドラフト4位でも、楽天・堀内謙伍(静岡高)、西武・大瀧愛斗(花咲徳栄)、日本ハム・平沼翔太(敦賀気比)、DeNA・戸柱恭孝(NTT西日本)、広島・船越涼太(王子)、巨人・宇佐見真吾(城西国際大)とやはり野手が多かった。この中から、法則通りの活躍をみせてくれる選手は何人現れるだろうか。


文=オグマナオト(おぐま・なおと)

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