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味方の援護がなければ俺が打つ! 自らを援護する自援護(ジエンゴ)な投手たち


 野球には「投手は9人目の野手」という格言がある。その言葉通り、今季のセ・リーグ投手陣のなかには、野手顔負けの勝負強い打撃をみせている投手たちが多い。

 そんな、自らを慰めるように「自援護(ジエンゴ)して勝つ!」を実践している投手たちを紹介しよう(記録は5月10日現在)。

巨人のエースは打つ方も凄いんです!


菅野智之(巨人)
7試合 4勝0敗 防御率0.79
17打数7安打 打率.412 1打点 3犠打

 昨年の9月27日は、ヤクルトにマジック3が点灯した日。巨人対ヤクルトの試合に先発した菅野智之(巨人)は、この試合で石川雅規(ヤクルト)に打たれて敗北。マジック点灯を許してしまった。

 その悔しさをバネに? 今季の菅野は打撃も絶好調。本塁打こそ無いものの、チームのレジェンドでもある堀内恒夫、桑田真澄らを彷彿とさせるバッティングを披露している。

 自身が登板中に記録された自チームの得点を投球回数で割り、1試合あたり何点の援護を得たかを表す「援護率」。昨季の菅野は3.19と、やや寂しい援護率であった。

 昨季は無援護(ムエンゴ)投手の部類に属していた菅野は、今季は自らを援護する自援護(ジエンゴ)投手へ生まれ変わった。4月の月間MVPも獲得して、ノリにノッている菅野の目覚めたバッティングに引き続き注目したい。


プロの打席にも慣れてきた?


原樹理(ヤクルト)
7試合 2勝2敗 防御率3.86
12打数2安打 打率.167 2打点 1犠打

 開幕から好投を続けるも味方打線の援護が少なく、なかなか勝てなかった原樹理。しかしプロ6戦目の5月1日の巨人戦で、嬉しい初勝利を挙げた。

 リードを許したこの試合で、逆転のタイムリー二塁打を自ら放つなど、今まで勝てなかった5戦が嘘のように、危なげなく勝利を飾った。

 2勝目を挙げた5月8日の阪神戦でも、得点には結びつかなかったものの、得点圏で安打を放っている。ルーキーながら経験を積むことで、マウンド捌きに磨きがかかると同時に、打席でもプロの水に慣れてきたといえるだろう。

ジエンゴすれば勝てるんです!


 開幕当初から貧打が続き、先発投手が好投を続けるも、なかなか勝ちに恵まれなかったDeNA投手陣。そんななか、自援護(ジエンゴ)すれば勝てると気づいた2人の投手がいる。

今永昇太(DeNA)
6試合 1勝4敗 防御率2.03
12打数2安打 打率.167 1打点 1犠打

 味方打線の貧打で、なかなか勝てなかった今永昇太。ドラフト1位の盟友ともいえる原樹理(ヤクルト)が勝ち星を挙げた5月1日に遅れること5日後。5月6日の広島戦でプロ初勝利をマークした。

 この試合、今永は自らのスクイズで貴重な3点目を奪っている。不遇だった今永は「ジエンゴすれば勝てる!」と思ったか、「ジエンゴしなきゃ勝てない……」と思ったかは知る由もない。しかし、投手も9人目の野手であるということを改めて感じただろう。これからの今永の投打に期待したい。

山口俊(DeNA)
5試合 2勝1敗 防御率3.41
12打数4安打 打率.333 1本塁打 4打点 0犠打

「どすこい」の愛称通り、パワフルな打撃を披露。セ・リーグ投手で今季唯一、本塁打を放っているのが山口俊だ。

 開幕投手に指名されながら、ケガで出遅れた山口。今季初登板となった4月9日のヤクルト戦で、自らレフトスタンド中段へ豪快な2ランを放ち、今季初勝利を挙げた。

 クローザーから先発に転向した今季、まずまずの結果を残している山口。打席に入る回数も増えることは間違いないだろう。パワフルな打撃に期待したい。

 4人以外にも藤浪晋太郎やランディ・メッセンジャー(ともに阪神)、野村祐輔(広島)など、打撃好調な投手たちが目立つ今季のセ・リーグ。

 油断してトイレに立ってしまいがちな「投手の打席」にも、注目してみてはどうだろうか。


文=勝田 聡(かつた さとし)
松坂世代のひとつ上にあたりサッカーの黄金世代となる1979年生まれ東京育ち。プロ野球、MLB、女子プロ野球、独立リーグと幅広く野球を観戦。 様々な野球を年間約50試合現地観戦し写真を撮影する。プロ野球12球団のファンクラブ全てに入会してみたり、発売されている選手名鑑を全て購入してみるなど幅広く活動中。

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