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変則左腕・森福允彦(ソフトバンク)、宮西尚生(日本ハム)のワンポイントリリーフは戦術的価値あり!


 投手の分業制が当たり前となったプロ野球。絶対的なリリーフ陣をいかに作り上げるかが、ペナント制覇の近道ともいえる。

 だが、WBCなどの国際大会に目を向けると、リリーフが重要と言いながらも、投手陣の大半は先発タイプが占めている。きつい言い方をすればリリーフを軽視しているとも感じるが、果たしてそれでいいのだろうか。改めて考えてみよう。

(所属球団は当時のもの)

過去3大会でみえたリリーフ登板の課題


 まず、WBC過去3大会での日本代表のリリーフ投手編成を振り返る。

 2006年の第1回では、大塚晶則(レンジャーズ)がクローザーを務め、胴上げ投手にもなった。ほかのリリーフ投手は藤川球児(阪神)と薮田安彦(ロッテ)が4試合、藤田宗一(ロッテ)が3試合に登板した。

 2009年の第2回はクローザーを固定できず、準決勝と決勝ではダルビッシュ有(日本ハム)が最後を任された。固定できなかったといっても、投手13人のうちリリーフ投手は藤川と馬原孝浩(ソフトバンク)、山口鉄也(巨人)の3人だけだった。

 2013年の第3回もクローザーを決められず、リリーフ投手は2回連続で代表入りした山口のほかに、今村猛(広島)と森福允彦(ソフトバンク)の3人だった。

 過去3大会での共通点は、先発が本職の投手がリリーフに回っていることだ。

 WBCには球数制限があるため、第2の先発としてある程度長いイニングを投げられる投手が必要となる。しかし、イニングの途中で登板することもあり、慣れない登板状況に戸惑う選手も多かった。それならば、イニング途中で第2の先発を登板させるより、ワンポイントのリリーフを投入したほうがいいのではないだろうか。

 過去3大会はいずれも投手を13人登録したが、前述のようにリリーフタイプは3人か4人しか登録しなかった。先発7人、リリーフ6人ぐらいの比率のほうが、より慣れた状況で投手を投げさせることができる。

第2先発よりも左のワンポイントの方が効果的!?


 では、ワンポイントタイプのリリーフでは誰がいいか。今回は左投手に絞り、考えてみたい。

 過去2回で代表入りした山口鉄也は今季、0勝5敗、防御率5.97と絶不調(7月27日現在、以下同)。勤続疲労や衰えによるものだろうが、今季の成績を見る限り、来年のWBCで代表入りすることは難しいだろう。

 前回代表入りした森福は昨季、防御率5.82と不振に陥った。しかし、今季は28試合の登板で防御率1.29と本来のピッチングを取り戻している。

 以前は相手打者の左右を問わず起用されていた森福だが、工藤公康監督が就任して以降、左打者へのワンポイントとして起用されることが増えた。今季に至っては、のべ57人と対戦し、右打者は3人だけと左打者専門となっている。左の変則タイプは初見ではなかなか打てないだろう。

 左の変則タイプといえば、日本ハムの宮西尚生も候補のひとりだ。プロ入りから昨季まで8年連続で50試合以上登板しているタフネスリリーバーである。27日の西武戦では通算500試合登板を達成した。森福と違い、宮西の強みは右打者を苦にしないところだ。今季、右打者に対し被打率.111、左打者に対し被打率.150と左右問わず抑えている。

 左打者相手でも関係なく抑えられる右投手がいれば問題なく、左右のバランス面だけで左投手を入れる必要はない。だが、森福や宮西といった変則の左投手がひとりでもいれば、戦術面でも幅が広がる。小久保裕紀監督には、ぜひとも検討してもらいたい。


文=京都純典(みやこ・すみのり)

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