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則本昂大(楽天)ら4投手でMBL打線をノーヒットノーラン! 日米野球の名場面をプレイバック


 来年の第4回WBCでの世界一奪還に向け、11月10日からメキシコ代表、オランダ代表と強化試合を行う侍ジャパントップチーム。
 大谷翔平(日本ハム)を筆頭に筒香嘉智(DeNA)、山田哲人(ヤクルト)など、普段のペナントレースでは敵として戦う選手たちが結集し、同じ日の丸のユニフォームを身につけてともに戦うのは大きな見どころだ。

 まだWBCもなくプロが参加する日本代表も存在しなかった時代、野球ファンにとっては2年に一度開催される日米野球が楽しみの一つだった。

 特に日米の実力差が縮まってきた1990年代には、「この選手はメジャーリーグで通用するかどうか」という新しい見方も生まれてきた。そんな日米野球の名場面を振り返ってみたい。

野茂英雄凱旋、「リトル松井」にメジャーが高い評価


 今から20年前の1996年。この年の最大の注目は前年ドジャースに入団し、全米に「NOMOフィーバー」を巻き起こした野茂英雄の凱旋登板だった。

 野茂は東京ドームでの第2戦にメジャーリーグ選抜チームの先発として登板。試合は序盤から大きな盛り上がりを迎える。1回表、全日本の1番打者としてパ・リーグ3年連続首位打者のイチロー(オリックス)が打席へ。イチローにはプロ2年目の1993年、新潟・悠久山球場で、当時近鉄にいた野茂からプロ初本塁打を放った過去があった。

 イチローは野茂の投じた2球目、高めのストレートをセンター前へ弾き返した。その後、野茂は全日本打線を3回無失点に抑える好投を見せ、東京ドームに集まったファンを大いに喜ばせた。さらに野茂は甲子園球場で行われた第6戦でも先発。2回には近鉄時代に名勝負を繰り広げた清原和博(西武)からフォークボールで三振を奪う。

 この年のメジャーリーグ選抜チームは野茂の女房役として日本でも知られていたマイク・ピアザ(ドジャース)、「鉄人」ことカル・リプケン(オリオールズ)、この年40本塁打&40盗塁を達成したバリー・ボンズ(ジャイアンツ)、ア・リーグ首位打者で当時21歳のアレックス・ロドリゲス(マリナーズ)ら錚々たるスター選手が名を連ねていた。

 一方、全日本は松井秀喜(巨人)がチーム最多の2本塁打を放つ活躍を見せる。そして、途中で負傷した田中幸雄(日本ハム)に代わり、追加召集されたのが松井稼頭央(西武)だった。

 松井稼は初めてスタメン出場した第5戦で3安打2盗塁と結果を残すと、以降はスタメンとして起用され、自慢の俊足を武器に活躍。メジャーリーグ選抜チームからは「リトル松井」と呼ばれ、鮮烈な印象を残した。

 この日米野球で一躍知名度が上がった松井稼は翌1997年、盗塁王を初めて獲得し球団を代表する選手に成長した。

川尻哲郎、メジャー相手に好投


 2年後の1998年、メジャーリーグ選抜チームの目玉は、マーク・マグワイア(カージナルス)とすさまじい本塁打王争いを繰り広げたサミー・ソーサ(カブス)だった。

 大阪ドーム(現・京セラドーム大阪)で行われた第4戦では先発・川尻哲郎(阪神)の好投が光った。この年10勝を挙げた川尻は、サイドスローからスライダー、シュートといった変化球を駆使しMLB打線を翻弄。MLB先発のカート・シリング(フィリーズ)と投手戦を展開した。

 0対0で迎えた6回、全日本はイチローの犠飛で1点を挙げ川尻を援護。川尻は終盤に入っても得点を許さず、ついに9回のマウンドに上がる。日米野球初完封の期待が高まったが、1死から安打と死球を与えてしまい、ここで無念の降板に。後を受けた大塚晶文(近鉄)が後続を打ち取り1対0で全日本が勝利した。

 川尻は完封こそ逃したが、散発4安打に抑え勝ち投手となった。


4投手による日本チーム初のノーヒットノーラン


 日米野球はその後、第1回WBCが行われた2006年を最後にその役目を終える。しかし、8年後の2014年、前年に常設化された侍ジャパンが親善試合としてMLBオールスターチームを招き日米野球が復活した。

 この年の第3戦では歴史的快挙が達成された。侍ジャパンの先発・則本昂大(楽天=写真)が5回を投げパーフェクトに抑えると、続く西勇輝(オリックス)は6回、7回と先頭打者にそれぞれ四球、死球を許すも、安打は打たれず2回を無失点でまとめた。

 8回から登板した3番手の牧田和久(西武=写真)は2つの四球を与え得点圏に走者を置いたが、このピンチを切り抜ける。そして9回、西野勇士(ロッテ)が三者凡退に打ち取り4対0で侍ジャパンが勝利。4投手の継投でノーヒットノーランを達成した。

 MLBオールスターチームの主力選手に辞退者が出た背景があったとはいえ、この年の日米野球は3勝2敗で侍ジャパンが勝ち越している。


文=武山智史(たけやま・さとし)

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