振り返らずにはいられない！2014年ドラフト会議のサプライズ・ランキング!!

2014/11/4

　プロ野球は日本シリーズが終了。日米野球などが予定されているものの、一旦、2014年シーズンは終わった感がある。

　一方で、アマチュア球界は、最後の公式戦・明治神宮大会の開幕を待つばかり。そこで今週から4回にわけて、高校野球をはじめとするアマチュア球界の今シーズンに起きた主な出来事を、ランキング形式で振り返ってみよう。1回目はアマチュア球界最高のイベントでもある、2014年ドラフト会議を取り上げたい。

　ドラフト会議で最も注目されるのが、くじ引きのドラマだ。今年は4球団が競合した有原航平（早稲田大）と、2球団が競合した安樂智大（済美高）の2人を、それぞれ日本ハムと楽天が引き当てた。そして今ドラフトを総合的にみて、最も成功したと評判だったのが、一番人気を引き当てた日本ハムであった。

　即戦力投手として有原を引き当て、2位でも大型捕手として将来有望とされる清水優心（九州国際大付高）を押さえた。3位で淺間大基、7位で?濱祐仁の横浜高コンビなど、7名もの有望高校生の指名を成功させた。

　当日、『野球太郎』編集部で開催されたドラフトイベントでのアンケート調査でも、一番成功したのは日本ハムとの声が多く、ネット上でも同様の答えが多くみられた。

　ドラフト会議につきものなのが、サプライズ指名。いわゆる“隠し玉”と呼ばれる選手の指名は、今も昔も、ドラフトファンの胸を躍らせる。

　今ドラフトで最も衝撃的な“隠し玉”といえば、広島から2位指名を受けた、薮田和樹（亜細亜大）を挙げる声が多い。

　薮田は、大学3年生の春季リーグで2試合投げただけ、と大学での公式戦実績はほぼゼロに近い投手。上位指名された瞬間、ネット上では「この投手は誰だ？」という話題で持ちきりとなった。

　岡山理大付高出身の薮田は、大学進学後は故障に悩まされるなど、ほとんどマウンドに上がることはできなかった。しかし、高校時代からその素質は注目されており、150キロを超えるストレートを連発する本格派右腕として、リーグ戦未勝利ながら、大化けする可能性を秘めている。



　関西地区を中心にドラフト前から話題沸騰だった田中英祐（京都大）。ただ指名されるだけでなく、ロッテから2位指名という、予想より上位で指名されたことで、また盛り上がりを見せ、京都大から史上初のプロ野球選手が誕生することに華を添えた。

　指名後の会見では「これで新たな一歩を踏み出せる」とコメント。すでに一般企業への内定を得ていたという報道もあったが、プロ入りへの支障はない。今年で50回目を迎えたドラフトの歴史の中でも、確実にエポックメイキングなドラフトになるだろう。

　ドラフトの指名予想をするファンは少なくなく、それに一喜一憂する姿がよく見られる。しかし、スポーツ新聞にとっては、各チームの1位指名予想でどれだけ当てられるかは、ライバル紙たちとの戦いであり、大きな勝負となっている。

　そんな中で、マスコミをあざ笑うかのような、意外な1位指名をしたのはロッテ。野手ではトップレベルの評価を浴びている中村奨吾（早稲田大）を指名したのだ。ドラフト当日、中村の1位指名を的中させたスポーツ紙はゼロ。ロッテ・伊東勤監督によると、最後まで岡本和真（智辯学園高）と迷ったそうで、即戦力候補として、中村の一本釣りを指名直前に決めたという。

　最後に、日本ハムから5位指名を受けた瀬川隼郎を紹介したい。社会人野球の室蘭シャークスに所属する瀬川は、今年28歳。北海道札幌市の出身で、北海高卒業後は、働きながら野球を続け、社会人9年目の昨年にブレイク。昨秋の日本選手権、今夏の都市対抗野球では本大会出場に貢献し、プロの目に留まった。2年前に結婚した子連れの“遅咲き”ルーキーを、応援しないわけにはいかない。


　数々の話題をふりまいた2014年プロ野球ドラフト会議は無事に終了。現在熱戦が繰り広げられている社会人野球日本選手権大会、11月14日から開幕する明治神宮大会では、指名のあった選手をチェックするだけでなく、2015年ドラフト候補となる大学3年生や高校2年生を探すこともできる。来年に向けたドラフトマニアたちの旅は、すでに始まっているのだ。


■ライター･プロフィール
鈴木雷人（すずき・らいと）／会社勤めの傍ら、大好きな野球を中心とした雑食系物書きとして活動中。自他共に認める「太鼓持ちライター」であり、千葉ロッテファンでもある。Twitterアカウントは@suzukiwrite