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甲子園はあと少し! プロ野球も終盤戦へ…今週の野球みどころランキング[7月30(火)〜8月5日(月)]

 『今週の野球みどころランキング』は、7月第5週(8月第1週)はじめの時点で注目度の高まっている野球関連の話題について紹介していきます。
 最後には今後の簡単な野球界のスケジュールを添えていますので、重要事項はチェックしておいてください!


井口日米通算2000本安打達成、マー君劇的14連勝、斉藤和巳復帰断念へ
―――NPB

 まずは日米で活躍を遂げている内野手の偉業から。

 26日の西武戦で日米通算2000本安打達成 へあと2本と迫った井口資仁(ロッテ)は27日の楽天戦に「3番・ファースト」でスタメン出場。相手は今や押しも押されぬ日本球界のエース・田中将大であったため、「今日2本打つのは無理」と家族も翌28日から仙台へ呼び寄せる予定を取っていた井口だったが、4回の第2打席でレフトへ安打を放つと、6回の第3打席ではレフトスタンドへ飛び込むソロ本塁打で、見事日米通算2000本安打を達成。

 「東都のプリンス」と呼ばれた青山学院大学時代にはアトランタ五輪に出場し、銀メダル獲得に貢献。鳴り物入りでダイエーに入団し、プロデビュー戦で満塁本塁打という華々しいデビューだったが、なかなか打率が上がらなかったり、セカンドへのコンバートをしたり、低迷した時期もあった。しかし、2001年には日本球界史上3人目の30本塁打・40盗塁を達成する。2005年の渡米1年目にはホワイトソックスの一員としてワールドチャンピオンに大きく貢献した。

 祝福の言葉は、プロ入り後の恩師・王貞治氏や、ホワイトソックス時代の監督であるオジー・ギーエン氏からも届けられるなど、その実績に加え、高い人間性も大いに感じる偉業の達成となった。

 その試合に開幕14連勝をかけたのが、楽天の田中。9回を投げ、井口の本塁打を含む2失点で、9回表を終え1−2のビハインド。しかし、ドラマはその裏に待っていた。先頭打者・銀次のツーベースを皮切りに四死球などで満塁のチャンスを作ると、最後は女房役の捕手・嶋基宏がサヨナラ安打。これで斉藤和巳(ソフトバンクコーチ)が達成した開幕15連勝の最多開幕連勝記録まであと1勝と迫った。

 その斉藤和巳は28日、現役復帰を断念する意向であることが分かった。現在はリハビリ担当コーチという肩書きで現役復帰の可能性を探ってきたが、今季の支配下選手登録期限となる今月31日を前に決断したようだ。2007年に右肩の疲労から調子が上がらず、2008年1月にメスを入れたが、その後も回復は思わしくなく、2011年からは支配下選手登録から外され、現職に就いていた。

 かつて2003年に20勝、2006年には18勝を挙げ、幾多の名勝負も演じてきた剛腕がついにマウンドから去ることとなった。

 また、中日や楽天などで活躍し、両リーグで本塁打王、40代で100本塁打、セ・リーグ最年長サヨナラ安打など晩年でさらに一花を咲かせた山?武司が引退を表明した。プロ生活27年は楽天時代の監督で、師と仰ぐ野村克也氏と同じで「これだけは並ぶことができたので、非常に長くやれたと思う」と引退会見では満足そうに笑みを浮かべた。

松井秀喜氏の引退セレモニー、その日にかつての同僚が大活躍
―――MLB

 28日、松井秀喜氏の引退セレモニーがアメリカ・ニューヨークのヤンキースタジアムで華々しく行われた。この日のためにヤンキースは松井氏と1日だけのマイナー契約を交わし、「ヤンキースの松井」として思い出の地に戻った。他球団で現役を終えた選手が引退セレモニーを行うことは異例だが、デレク・ジーターとお互いに「最高のチームメイト」認め合うなど、選手そしてファンに愛された松井氏だからこそのセレモニーだったといえる。

 それに合わせるかのように、この日復帰したジーターはなんと初打席にホームラン。さらには元広島で、先日トレードによりカブスから復帰したアルフォンソ・ソリアーノがサヨナラ打、そしてマリアーノ・リベラが勝利投手に。まさに松井氏の功績をプレーで称えるかのように、かつての同僚たちが大活躍。この式典に関わったすべての人を幸せにさせる素晴らしい式典となった。

 またこの日、イチローは4安打の大活躍を見せ、打率を.279に押し上げた。

 同じく同僚の黒田博樹は25日にレンジャーズ戦に先発。7回を投げ6安打無失点で10勝目を挙げた。これで日本人投手としては史上初の4年連続の2桁勝利。黒田の功績にまた1つ輝かしい記録が加わった。

 レンジャーズのダルビッシュ有は27日のインディアンス戦に先発。先頭打者本塁打を浴びたものの、6回を投げ3安打1失点11奪三振と力投。だが味方の援護が無く5敗目を喫し、2年連続の2桁勝利達成とはならなかった。試合後、ロン・ワシントン監督は「1点の援護だけでも勝つ。ロジャー・クレメンスもそうだった」とメジャー通算354勝の大投手の名前をあえて出し、ダルビッシュへの高い期待を込めた思いを語った。

 またブルワーズの青木宣親は28日の6号本塁打を放ち、9試合連続安打(28日現在)と好調をキープしている。チームはナ・リーグ中地区最下位に沈み停滞、さらには主砲のライアン・ブラウン外野手が薬物規定違反で今季の残り試合の出場停止が決定。青木がなんとかチームの起爆剤になりたいところだ。

強い! JX-ENEOSが連覇! 大型右腕・吉田はアクシデントに泣く
―――社会人野球

 第84回都市対抗野球の準決勝・決勝が22日と23日に東京ドームで行なわれた。

 まず神奈川県勢同士の対戦となったJX-ENEOS(横浜市)vs 東芝(川崎市)はJX-ENEOSの新人・石川駿が大暴れ。「(元広島の名投手・外木場義郎さんによる)始球式で1球、ボールを見ていたのが良かったです」と試合後に振り返った先頭打者初球本塁打に加え、8回には走者一掃のダメ押しタイムリー。投げては大城基志が好投し、6月の壮行試合で2−9で敗れた東芝相手に今度は7-1で雪辱した。

 準決勝もう1試合のJR東日本(東京都)vs 新日鐵住金かずさマジック(君津市)の試合はJR東日本の4番・松本晃が大会通算3000号となる初回の先制ツーランと9回に試合を決めるダメ押しスリーランを放つ大活躍。投げては入社9年目のベテラン左腕・片山純一が完封。快勝で決勝戦に駒を進めた。

 そして迎えたJX-ENEOSとJR東日本の対戦は昨年と同じカード、さらに昨秋の日本選手権も加えると、なんと3大会連続で同じ決勝戦の顔合わせとなった。

 そして過去2大会で連敗しているJR東日本はその気迫を前面に出すかのように、初回に先発・吉田一将が三者連続三振。一方JX-ENEOSの先発・三上朋也も好調な立ち上がりを見せ、試合は両者の緊迫した投手戦になるかと思われた。

 だが2回、吉田にアクシデントが襲う。1死二塁の場面で、JX-ENEOSの6番・宮澤健太郎の強烈なセンター返しが吉田の右ヒジを直撃。これで吉田は無念の降板となってしまった。


▲ドラフト候補にも挙がる吉田は無念の降板に試合後、涙を見せた。[写真:山本晃子]

 昨日完封のベテラン・片山に後を託したが、JX-ENEOSはこのチャンスを逃さず、7番・山崎錬の内野安打で先制。5回にも5番・池辺啓二のタイムリーで2点差とする。

 JR東日本も好投する三上に対し、7回に松本の本塁打で1点差に迫ったものの、その後は沼尾勲から大城と繋ぐリレーに、あと1歩本塁が届かず。9回にも宮澤のタイムリーでダメ押ししたJX-ENEOSが3−1で逃げ切り、見事に連覇を達成。

 なお都市対抗野球での連覇は1962年に JX-ENEOSの前身である日本石油が連覇して以来51年ぶりの快挙となった。


▲MVPにあたる橋戸賞には全5試合に登板した大城が2年連続で選ばれた。[写真:山本晃子]

各地で続々と代表校が決定、悲喜こもごも...
―――高校野球

 夏の高校野球各地方予選もいよいよ大詰め。続々と代表校が決まっている。

 まずは春のセンバツでの熱投が記憶に新しい、済美の安樂智大。愛媛大会準決勝の川之江戦では相手にリードを許す、苦しい試合展開だったものの、6回に自己最速となる157キロをマーク。「打者・安樂」としては5打席で4四球、そのうち3つは敬遠と、完全に勝負を避けられたが、チームは9回に逆転し決勝戦へ。

 昨夏準決勝で敗れた今治西との再戦となった決勝戦では、連投ということもあり変化球を普段より多く使った組み立てで相手に狙いを絞らせず、8安打10奪三振2失点で完投。センバツのリベンジを誓う逸材は、全国制覇とともに「甲子園最速(※)を目指したい」と新たな野望も口にした。
※歴代最速は2001年夏の寺原隼人(当時日南学園/現ソフトバンク)が出した158キロ

 数多くのドラマが各地区で生まれているが、悲劇のドラマも繰り返された。

 この6年で4回目の茨城大会決勝進出となった霞ケ浦。2年前にはあと1球から逆転サヨナラ負けを喫するなど、甲子園にあと1歩まで何度も迫りながら、未だ夏の甲子園の土を踏めていない同校。今年の決勝戦の相手は昨年の代表校・常総学院。8回表まで2−0でリードし「今年こそ」の機運が高まったが、その裏に同点にされると9回裏にサヨナラ本塁打を浴び敗戦。またもあと1歩届かなかった。

 東東京大会では過去9度準優勝を誇るが、こちらもいまだ夏の甲子園は経験の無い二松学舎大付(センバツは出場4回)が決勝戦に進出。ノーシードながら第1シードの帝京を破り勢いに乗る修徳との対戦となったが、6−13と乱打戦に敗れ今年も涙。

 一方、歓喜の男泣きを見せたのは箕島の尾藤強監督。故・尾藤公元監督(2011年に他界、享年68歳)の長男である強監督は今年3月に就任すると、いきなり春の和歌山県大会を制覇。それがフロックではなかったことを証明するかのように、智辯和歌山が早々と敗退した波乱の和歌山を見事に制し、29年ぶりの夏切符を手にした。

 また、その箕島と1979年夏に、延長18回の名勝負を繰り広げた星稜も、ライバル・遊学館との決勝戦に5−2で競り勝ち、6年ぶりの出場。34年ぶりの再戦を期待する声も今後大きくなりそうだ。

 また昨年、プロ野球へ選手を輩出しながらも甲子園に行けなかった花巻東(日本ハム・大谷翔平)、自由ヶ丘(オリックス・武田健吾)が見事雪辱を果たし、それぞれ岩手代表・福岡代表となった。

大物高校生たちの夏が終わる…
―――高校野球

 勝者がいれば当然敗者もいる。それは将来を嘱望される10代の高校生も例外ではない。

 まず何といっても、この夏1番の衝撃となるだろう、「ドクターK」松井裕樹、桐光学園の神奈川大会での敗退だろう。

 準々決勝まで順調に勝ち進んだ桐光学園の前に立ちはだかったのは横浜。渡辺元智監督・小倉部長(現コーチ)でタッグを組んで以降、同一校への3連敗は無いという同校。今回、その歴史に松井が終止符を打つかと思われたが、高濱祐仁(兄はロッテの高濱卓也)と浅間大基の本塁打で3点を奪った横浜に軍配があがった。投げては伊藤将司が桐光学園打線を2点に抑え、見事に「3度目の正直」を果たした。

 一方、松井は試合後大粒の涙を流しながらも言葉を振り絞り周囲への感謝を口にした。進路はまだ正式に表明をしていないが、27日の千葉大会決勝には弟・和輝(習志野高校1年※ベンチ外)の応援に駆けつけ元気な姿を見せた。

 野手で最も注目が高かったのは東海大甲府の遊撃手・渡邉諒。昨夏チームの全国4強に大きく貢献。この夏はチーム事情により投手として出場することもあり、そこで快速球を披露しまた大きな注目を浴びていた。

 しかし26日に行なわれた山梨大会準決勝・日本航空戦でまさかの事態が起こる。3点リードで迎えた7回1死二、三塁の場面でショートゴロをトンネル。さらに続く打者のライナーはさばくも、その後の併殺狙いの送球が悪送球になり1点差に詰め寄られる。この後、同点を許すと渡邉がリリーフでマウンドへ。汚名返上を狙った渡邉だったが四球や暴投などで、さらに2点を失い、勝ち越しを許し、そのままゲームセット。大きなプレッシャーに押しつぶされてしまった形となった渡邉だが、この悔しさは必ず次の舞台での飛躍の糧となるだろう。


 今週には夏の甲子園の全出場校が決定、いよいよ大舞台が近づいてきます。さらに高校野球の熱さは高まっていくでしょう。その一方で、負けてしまった野球部員の夏、高校3年生はこれにて引退。夏の終わりの寂しさを噛み締めることでしょう。

 またプロ野球でも、この8月から9月に向かって、順位争いがますます白熱してくると同時に、斉藤和巳や山?武司といった現役引退を発表する選手も出てくる時期にもなってきます。熱くもあり、もの寂しくもある夏…、今年の夏も十分に堪能していってください!

■プロフィール
文=高木遊(たかぎ・ゆう)/1988年、東京都出身。幼い頃よりスポーツ観戦に勤しみ、東洋大学社会学部卒業後、スポーツライターとして活動を開始。昨年は東都大学野球春・秋1部全試合を取材。大学野球を中心に、アイスホッケー、ラグビー、ボクシングなども取材領域とする。高木遊の『熱闘通信』随時更新中(http://www.plus-blog.sportsnavi.com/buaka/)twitter(@you_the_ballad)


<<野球界の主なスケジュール>>
女子プロ野球関連

8月11、12日『ティアラカップ仙台大会〜女子野球祭り2013〜』
※次戦の予定は8月11(土)、12日(日)ともに仙台市民球場で開催される予定となっており、それまで公式戦はありません。

アマチュア野球スケジュール

夏の高校野球地方大会はほぼ終了。7月31日に愛知と宮城で決勝戦が行われ、全出場校が出揃う予定。
甲子園大会は8月8日に開幕し、全15日間に渡り熱い戦いが繰り広げられる。
組み合わせ抽選は8月5日の夕方に開催。


プロ野球の主な予定

12球団それぞれで夏のイベントを実施しています。詳しくは各球団のHPでチェック!

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