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【東都大学野球リーグ入替戦・速報号】2部3部の壁はまたも破られず/上智大はリベンジマッチに大勝利!

 日本大が7季ぶりの1部復帰を果たした1部2部入替戦から1週間。2部3部、3部4部の東都大学リーグ入替戦が神宮球場で行われた。

 先週の1部2部入替戦では昇格&降格が発生し、3部4部は昨秋に入れ替わったばかり……と比較的、入れ替わりは起こっている。しかし、2部3部の入替戦だけは、2007年春に大正大が降格し、拓殖大が昇格して以降、一度も入れ替わりが起きていない。

 2部3部の「越えられない壁」は今回も立ちはだかるのか? そして、昨秋に入れ替わり、立場が変わっての再戦となった一橋大と上智大。一橋大が3部の貫禄を見せられるか、上智大のリベンジなるか? その模様を速報レポートでお伝えしたい。

●昨秋と同じ顔合わせ! 上智大の3部返り咲きなるか?

 3部最下位の一橋大と4部優勝校の上智大の一戦。先発は一橋大が前野統馬(2年・洛星高)、上智大は4部MVPと最優秀投手賞に輝いた菊地宏幾(3年・都駒場高)。

 試合は初回から動いた。上智大は2死二塁から4番・田島一輝(4年・東京都市大付高)がレフトへタイムリー二塁打を放って、先制点を叩きだす。その直後、一橋大は足を生かした攻撃で1死二塁のチャンスを作るが、連続三振に倒れて無得点。その後はチャンスらしいチャンスもなく、互いにゼロ行進。結局、初回の1点を菊地が守り抜いた上智大が先勝。5安打無四球完封、3回以降は二塁を踏ませない菊地の快投で3部復帰へ王手をかけた。

 2回戦は、前日に完投した両投手がこの日も先発のマウンドへ。
 この試合、先制点を奪ったのは一橋大。初回、ヒット2本と四球で1死満塁とすると、日下部、文字に連続タイムリーが飛び出す。さらに、指名打者の瀬川駿(1年・横浜翠嵐高)が3点目となるタイムリーを放って、3点を奪った。5回には再び、文字の2点タイムリー二塁打で、5−0に。

 一橋大の先発・前野は、ほぼ毎回走者を出す苦しい展開も、要所を締め、スコアボードに0を並べていく。7回こそ内野ゴロの間に1点を返されたものの、リードを守り切って完投勝利。1勝1敗のタイに戻した。

 そして、運命の3回戦。一橋大は倉石知輝(3年・世田谷学園高)が、上智大はなんと3連投となる菊地がマウンドに立った。

 この日も初回から試合が動く。4番・田島のタイムリーで上智大が先制すると、5回にも田島の3点タイムリー三塁打などで4点を奪う。一橋大は4回からこちらも3連投となるエース・前野に試合を預けていたが、突き放されてしまった。その後、一橋大はエラーで1点を返すもそこまで。菊地は被安打7ながらも粘りの投球で完投勝利。上智大が2季ぶりに3部への復帰を決めた。

▲4番として3部復帰を後押しした田島

 この3試合で菊地は23回339球、前野は22回292球の熱投を見せた。

●2部の壁は厚い? 2007年春を最後に入れ替わっていない2部3部

 5季連続で下部との入替戦に進んだ東京農業大。先発はもちろんエース・幸良諒(4年・興南高)。順天堂大はリーグ戦では救援を担っていた大野駿(3年・習志野高)に初戦の先発を託した。

 先制したのは東農大。2回表、2死から藤岡康樹(3年・富山商高)がヒットで出塁すると、盗塁を決めて2死二塁。鮎川雄輔(4年・九州国際大付高)のタイムリーで1点を先制した。4回には、先頭の隈本高晟(4年・筑陽学園高)がレフトポール際へ叩き込むソロ本塁打。5回は相手の守備の乱れをついて2点を追加し、リードを広げていく。

▲ソロ本塁打を含む2安打3打点の隈本

 投げては幸良が三者凡退を続け、危なげない投球を披露。5回と6回は走者を三塁に背負うものの、本塁は許さず。

 反対に、9回、西島幸成(4年・千原台高)がライトスタンドへ飛び込む3ランを放った。このとき、順天堂大・三塁手が西島のベース踏み忘れをアピールし、これが認められて追加点は2点のみとなった(記録は二塁打)。

▲リーグ戦では首位打者に輝いた西島。3打点の活躍を見せた

 最後にミスが出たものの、15安打11得点と東農大が快勝。幸良は散発の4安打、完封勝利で格の違いを見せつけた。

▲8奪三振で完封勝利を収めた幸良

 順天堂大は送り出した投手全員が失点を喫するなど力の差がはっきり。3部の首位打者に輝いた飯笹智貴(4年・県銚子高)は無安打に抑え込まれ、守備にもミスが相次ぎ、援護できなかった。

 翌日の2回戦は東農大が佐々木竜次(1年・花巻東高)、順天堂大は加藤宏太(2年・佐倉東高)の先発で幕が開けた。

 試合序盤は東農大が押し気味に試合を進めたものの、順天堂大が好守の連続でピンチの芽を摘んでいった。そのような守備から流れを引き寄せた順天堂大は4回、連続三振で簡単に2死となってから、4番からの3連打で先制のチャンス。フルカウントからファウルを続けて粘りを見せたが、セカンドフライで好機を逸してしまった。

 その裏、東農大の攻撃。1死二塁の場面で、一・二塁間を抜けようかという当たりが飛んだ。なんとか一塁手の小川五月(3年・都城東高)が追いつき、捕球。ベースカバーに入る2番手投手の大浦裕太(3年・川越工高)に転送しようとするが足を滑らせ、送球が高くそれてしまった。ボールがフェンス際を転がる間に二塁走者が生還、東農大がこの試合も先手を奪った。

 前日に続いてミスが出てしまった順天堂大。1回戦のようにズルズルいってしまいそうなところを食い止めたのが、さきほど送球を浮かせてしまった小川五月だった。直後の5回表、先頭打者として打席に入り、思い切り振り抜くと、レフトスタンドへ飛び込む同点本塁打。ミスを取り返す伏兵の一発で試合を振り出しに戻した。

▲チームで唯一の得点を叩き出した小川

▲拳を高く突き上げてベースを回った

 1死後、四球で走者を出し、続く打者はセカンドゴロ。併殺かと思ったが、トスが浮き、オールセーフ。この勢いで、順天堂大が一気に勝ち越しか!? と思われたものの、次打者が併殺打に倒れて、追加点はならなかった。

 試合はめまぐるしく動いていく――

 5回裏、東農大はエラーでもらった走者を盗塁失敗で失い、2死を取られる。しかし、そこから連打で二、三塁とチャンスを広げると、ここで隈本がタイムリーを放って、勝ち越しに成功。そして、続く外間正伍(4年・興南高)がレフトスタンドへ値千金の3ランを叩きこんで順天堂大を突き放した。

▲大きな追加点となった外間の3ラン

 7回から幸良が登板する万全のリレーで逃げ切り、5−1で勝利。2部残留を決めた。

 敗れた3部優勝の順天堂大は8安打を放ちながら、ソロ本塁打の1点止まりに終わった。持ち前の強打が繋がらなかった。その反面、捕手の冨永心大(2年・城西大城西高)が盗塁を3つ刺し、2安打を放つ奮闘を見せた。2部のチームと戦った経験を秋に繋げてほしい。

▲攻守に存在感を見せた冨永。まだ2年生なので、これを糧に成長を期待したい


■ライタープロフィール
山田沙希子(やまだ・さきこ)/東京都出身。早い時期から東都大学リーグの魅力にハマり、大学生時は平日の多くは神宮球場または神宮第二球場に通い詰めた、三度の飯より東都大学リーグが好きなライター。多くの東都プレイヤーの取材を通して、さらに東都愛は加速中。イベント「TOHKEN〜東都大学リーグ野球観戦研究会〜」でも活躍。

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