週刊野球太郎
中学、高校、プロ・・・すべての野球ファンのための情報サイト

鯉のぼりが舞う季節! 好調カープの過去10年の5月成績を調べてみた


 宙を舞う鯉のぼりのごとく、広島が躍進している。5月1日、逆転で中日を下して単独首位に浮上。6試合で54得点を奪った脅威の打線で、一気に首位まで上り詰めた様は、まさしく鯉の滝のぼり。

 そんな絶好調の広島だが、他球団のファンからは「広島の勢いは鯉のぼりの季節まで」と、半ばバカにされたように言われている。

 この言葉は今年に限らず例年言われ続けているのだが、実際のところはどうなのだろう? 過去10年の5月の成績を見ることで検証したい。

5月通算103勝124敗7分


 2006年から昨シーズンまでの5月の勝敗は以下のとおりだ。()内はシーズン順位

2006年 12勝13敗 (5位)
2007年 12勝11敗1分 (5位)
2008年 12勝11敗1分 (4位)
2009年 10勝12敗1分 (5位)
2010年 8勝14敗 (5位)
2011年 7勝12敗2分 (5位)
2012年 7勝14敗2分 (4位)
2013年 9勝13敗 (3位)
2014年 12勝12敗 (3位)
2015年 14勝12敗 (4位)

 10年間の5月通算成績は103勝124敗7分け。10年間で5月勝ち越しを決めたのは2007年、2008年、2015年の3度のみ。やはり広島にとって5月は鬼門なのか? クライマックスシリーズ進出を果たした2013年、2014年も負け越しと5割という結果が出ている現状をみればそう言わざるを得ない。


実は鯉がのぼってすらいない事実!?


 このように5月失速説が根強い広島。しかし、失速の定義は3月・4月の好調さがあってこそ成り立つはずなのだが、ここ10年間の3月・4月の成績はどうだろうか?

2006年 8勝14敗2分
2007年 11勝15敗
2008年 10勝14敗
2009年 11勝11敗1分
2010年 12勝17敗
2011年 9勝5敗2分
2012年 11勝13敗2分
2013年 12勝14敗1分
2014年 18勝9敗
2015年 9勝16敗

 通算101勝128敗8分と、5月以上に負けが込んでいる。そもそも広島が春先好調だったという前例があまりないのがおわかりいただけるはずだ。少なくともここ10年間に関してはそんな結果が出ている。これを見る限り、『鯉のぼりの季節まで』ということ以前に、鯉がのぼってすらしていないではないか!?

 ではなぜ、広島が鯉の季節までの言われるのか? それは、単純にカープ=鯉というチーム名が原因としか思えない。

 虎(阪神)、竜(中日)、鷹(ソフトバンク)、獅子(西武)など、その勇ましさをチーム名とする向きの強い中、鯉という淡水魚をチーム名に据えているのは異例中の異例だ。その珍しさもあってか、恐らく12球団の中で球団名でなく、最もチーム名で呼ばれているのは「カープ」であるのは間違いない。

 それゆえに、他球団のファンは、鯉のぼりが宙を舞う季節はカープを連想し、鯉のぼりがしまわれる頃に忘れる。再びカープを見たら下位に沈んでいた…。この負の連鎖が、『広島は鯉の季節まで』という妙な格言の由来と考えられる。

カープとは復興のシンボル


 そもそもなぜ鯉がチーム名になったのだろうか? カープというチーム名、その由来はいくつかあるが、

《鯉は滝を登り、龍になると言われている出世魚。その滝を登る鯉の姿に、原爆が投下された広島の復興の想いを込めた》

 この由来が、カープとして親しまれている最大の理由と思われる。

 そんな広島が2年ぶりに躍進している。猛打爆発中の今シーズンは球史に残る打線、1996年のビッグレッドマシンの再来とも言われている。この1996年は5月を16勝7敗と驚異の勝ちっぷりを見せている。

 このまま打線爆発で5月勝ち越しを決めることができたとき、25年ぶりの悲願が訪れるのも夢ではないかもしれない!?


文=井上智博(いのうえ・ともひろ)

記事タグ
この記事が気に入ったら
お願いします
本誌情報
雑誌最新刊 野球太郎No.32 2019ドラフト直前大特集号 好評発売中
おすすめ特集
2019ドラフト指名選手一覧
2019ドラフト特集
野球太郎ストーリーズ
野球の楽しみ方が変わる!雑誌「野球太郎」の情報サイト
週刊野球太郎会員の方はコチラ
ドコモ・ソフトバンク
ご利用の方
KDDI・auスマートパス
ご利用の方