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高校時代から飛ばし屋の吉田正尚は室伏広治との出会いでさらなる高みへ。あの選手、ここがスゴいんです

文=勝田聡

高校時代から飛ばし屋の吉田正尚は室伏広治との出会いでさらなる高みへ。あの選手、ここがスゴいんです
 プロ野球が開幕してもうすぐ1カ月になる。両リーグともに独走するチームはなく、昨シーズン以上に混戦となりそうだ。そんななか、選手個人にスポットを当ててみると若い選手が頑張っている。

 離脱してしまったが、吉川尚輝(巨人)は1番打者としてチームを牽引。坂本勇人、丸佳浩の前でリードオフマンの役割をしっかりと果たしていた。また、その丸が抜けた広島では野間峻祥がレギュラーに定着し、チームの状態が悪いなかで奮闘している。

 中日では今シーズンから主将に就任した高橋周平が3割を超える打率をマークするなど、チームの躍進に大きく貢献している。

 ここまでに名前を挙げた選手は贔屓チームのファンならもちろん知っているだろう。また、他チームのファンも名前を聞いたことはあるだろうが、「どこがすごいのか」という特徴まで知っている方はどれくらいいるだろうか。

 ここではそういった「名前を知ってはいるけどよく知らない」選手たちを取り上げ、いったい何がすごいのかを『野球太郎』編集部のカバディ西山に聞く。

 投手編の前回に続く、野手編の今回は以下の通り12球団から1人ずつピックアップ。いずれもここ数年で頭角を現した野手たちだ。

■「野手編」で取り上げる選手
広島:野間峻祥
ヤクルト:廣岡大志
巨人:吉川尚輝
DeNA:桑原将志
中日:高橋周平
阪神:糸原健斗
西武:外崎修汰
ソフトバンク:牧原大成
日本ハム:淺間大基
オリックス:吉田正尚
ロッテ:藤岡裕大
楽天:田中和基

吉川尚輝(巨人)、淺間大基(日本ハム)に見る身体能力とセンス


──前回の投手編では山本由伸(オリックス)、大竹耕太郎(ソフトバンク)、桑原謙太朗(阪神)、笠原祥太郎(中日)らを取り上げましたが、今回は野手編。事前にお伝えしていた12人の野手をどう見ていますか?

カバディ西山:パッと見て身体能力が武器だな、と感じるのが吉川尚輝(巨人)、野間峻祥(広島)、廣岡大志(ヤクルト)、藤岡裕大(ロッテ)ですね。

──なんとなくわかる気がします。吉川なんかはとくに。

カバディ西山:吉川は身体能力に加えて、アクロバティックな華やかさがありますね。非常に“野球的なきらびやかさのある身体能力”というか。

──たしかに、坂本勇人との大型二遊間コンビはともに華やか。観客を魅了しますね。

カバディ西山:藤岡は足は速いし、肩も強い。でも動きが直線的で、プレーが固い印象です。ショートよりも野間のように外野でダイナミックに動いたほうが生きると思います。その野間は、高い身体能力をうまく野球に生かせるようになってきたように見えます。

──野間は昨シーズン、初めて規定打席に到達しました。

カバディ西山:野間はシーズンを通して140試合もつのかどうか、もポイントでしたが、その課題はクリアできました。今シーズンもレギュラーでしょうから継続できるか注目ですね。そういう意味では、吉川は高い身体能力を持ちながら離脱しがち。シーズンを通して戦えていません。

──2年連続で開幕スタメンをつかんだ廣岡はどうでしょう。

カバディ西山:智辯学園高時代からスイングが強い廣岡は、1軍レベル相手でも力負けしません。昨年は1軍でも2軍でも成績は落としましたが、いま考えると村上宗隆が入団した気負いがあったのかもしれません。オフには太田賢吾が移籍して、未来のショート、サードのライバルが増えました。ここでしっかりと廣岡に期待したい未来を指し示して、気持ちを落ち着かせたいですね。高校時代は1つ上の先輩・岡本和真(巨人)に匹敵するかも? というトータルでのポテンシャルを持った選手でしたから。

──日本ハムの淺間大基も身体能力があるように見えるのですが、西山さんの見立てはどうですか?

カバディ西山:淺間は身体能力というより、センスですね。ソツがないというか。チーム事情で三塁が空いたから、首脳陣が「ちょっと守らせてみるか!」と起用してみても、こなせてしまうのはセンスの賜物です。

──淺間の現状には、日本ハムのチーム方針も影響していそうですね。

カバディ西山:そうですね。守備はよほど下手じゃなければOK。打撃がよければポジションは考える、というスタンスですから。その方針のもと、横尾俊建を二塁で使ってみたりとか。

 プロ野球選手の比較をする際、身体能力とセンスは同じような意味合いで使われることが多い。そこを分けた見方をカバディ西山は指摘。これも身体能力、センスともに発展途上にあるアマチュアの選手と、プロ入り後の成長過程と完成形というプロセスを数多く見てきた『野球太郎』編集部ならではの視点だろう。

中学時代から“飛ばし屋”だった吉田正尚


──ほかの選手はどう分類されていますか。

カバディ西山:次は体は大きくないけど、好成績を残している選手をピックアップしました。

──このなかだと吉田正尚(オリックス)でしょうか?

カバディ西山:そうですね。あと吉田以外では、糸原健斗(阪神)、桑原将志(DeNA)、外崎修汰(西武)もこの分類ですね。

──たしかにプロ野球の世界だと4人は小柄です。

カバディ西山:はい。そのなかで去年ブレイクした糸原は小柄なうえに、特にプレーの見栄えがするタイプというわけでもありません。

──たしかにすごくパワーがあるとか、べらぼうに足が速いとかそういった特徴がないですよね。でも、出場して結果を出しています。

カバディ西山:そうなんです。パワーやスピードといったわかりやすい武器はないですが、球際の強さや、得点圏打率が高いといった勝負強さではなく、与えられたチャンスをモノにしたり、苦境を打破したり、という数字化できない“勝負強さ”を持っているところが特徴です。使われてこそよさが出るタイプと言えるのではないでしょうか。そのような選手を指名して、起用した当時の金本知憲監督も凄かったです。

──外崎はどうでしょう。チームメートの中村剛也、山川穂高と巨漢の選手がいるなか、小さく見えますが……。

カバディ西山:外崎は小さく見えるといっても身長177センチ(笑)。昨シーズン18本塁打放っているパワーがあります。

──小柄だと当てにいきがちですが、外崎はそんなことないですもんね。

カバディ西山:バットを振れる力を養っている、とでもいいましょうか。とにかく振れます。桑原も同じようなタイプ。2017年は13本塁打を打ちましたし。

──その一方、吉田正尚は小柄ですがパワー系です。

カバディ西山:吉田は小さくても飛ばし屋ですね。敦賀気比高に入学した時点で打撃は完成していました。「高校ではあまり指導することはなかった」と指導者が語っていたほどです。

──高校時代に完成しているとは恐ろしい選手ですね。

カバディ西山:そんな吉田ですが、体の消耗度が大きいあのスイングでは1年間もたないのでは? と懐疑的に見られることがあり、実際にプロ1年目も2年目もケガで離脱しました。そこで、ハンマー投げの室伏広治氏とトレーニングを行い、体の使い方を学び、ケガをしない体になってきています。

──初めてフルシーズン出場を果たした昨シーズンは、本塁打だけではなく打率も好成績でした。

カバディ西山:あれだけ振っているのに打率が高いのは、考えて野球をしているからでしょう。ただの大振りではない。野球に対して研究熱心だから打率も残せますし、ケガをしないためにトレーニングをするだけでなく、室伏氏に学びに行く、という目の付け所のよさを感じる選手です。

 今シーズンの吉田は開幕から絶不調。チームが波に乗れないひとつの要因となってしまった。しかし、西村徳文監督が打順を3番に変更すると、本来の打撃を取り戻した。4月16日の日本ハム戦では本塁打を含む4安打と大暴れしている。

 高校入学前から完成されていたと言われる打撃に「ケガをしない体」が加わり、そして「研究熱心さ」を持ち合わせている。すでに若手としては十分な実績を残しているが、さらなる成長に期待できそうだ。

伸びまくる田中和基は進学校出身だから経験値が少なかった?


──高橋周平(中日)、牧原大成(ソフトバンク)、田中和基(楽天)はどうでしょう。とくに高橋と田中は昨シーズン、初めて規定打席に到達しました。

カバディ西山:高橋はよ〜〜うやく開花しつつありますね。

──2011年のドラフト1位。今シーズンは8年目です。

カバディ西山:中日の伝統なのか、開花に時間かかりますね(笑)。福田永将や堂上直倫、平田良介もそうです。

──起用されながらの成長ですが、堂上は10年近くかかってますしね。

カバディ西山:これにはベテランや即戦力を期待する社会人にも重きを置く落合博満元監督の起用方針の影響もあったのでしょう。

──今は“ポスト落合”がようやく形になってきた頃。今シーズンは高卒じゃないですが阿部寿樹も出てきました。

カバディ西山:社会人出身の5年目ですが……ようやく日の目を見そうです(笑)。

──牧原は数年前に筑後(HAWKSベースボールパーク筑後)で見たことあるのですが、「うーん……」という感じでした。それがこの活躍。田中も2年目で一気に開花しましたね。

カバディ西山:田中は進学校の西南学院高出身ということもあり、そこまでプロを目指す選手がやる質も量もともなう追い込んだ練習をしていなかったと思います。立教大時代にレベルの高い練習や試合の経験を積んで、ようやく名門校の高校球児と同じ経験値を得たようにと思うんです。

──そこからの伸びしろが大きかったという感じですね。

カバディ西山:はい、もともと東京六大学のなかでも身体能力は抜群でした。プロ2年目までに獲得した経験値と高い身体能力と技術の向上がうまく馴染んで、一気に開花してきたのではないのでしょうか。

 大卒選手の田中を見て「高校が進学校出身だから経験値が少なかった」という分析も、ドラフト情報に通じて多く触れているからこその視点だろう。誰もが知っているスターになる可能性を秘めた12人の野手について、少しでもすごさが伝われば幸いだ。

文=勝田聡(かつた・さとし)

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