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【プロ野球ファンの生態レポート第2回】野球女子もじんわり。去りゆく男と後を継ぐ若武者のドラマ

取材・文=山本貴政

野球女子もじんわり。去りゆく男と後を継ぐ若武者のドラマ
 野球がない日はつまらない! 試合が気になって仕事が手につかない! そんな熱烈プロ野球ファンの生態を調査する連載企画『そこまでやる!? プロ野球ファンの生態レポート』。第2回(前編、後編)に登場してもらうのは、ベイスターズ熱にあてられた途端ハマスタにハマり、気づけば横須賀スタジアムの2軍戦にも足を運ぶようになっていた野球女子のCさん。横浜出身のCさんは普段、ドラッグストアの化粧品売り場で働いている22歳の女性だ。

 前編で聞いたベイスターズ熱が再燃したきっかけ、Cさんをトリコにしたイケメン選手、球場での観戦スタイルなどに続いて、今回の後編では球場でのチェックポイント、今季のベストゲーム&ベストプレー、球場観戦のすすめなどなど、“野球とともにある日々”を聞いてみた!

観戦日は1日登場曲を聴いてテンションを上げる!


 まず、Cさんの人となりを知ってもらうために、前号のおさらいから。物心がつく前の幼少期に、ベイスターズファンの父に連れられて横浜スタジアムに通っていたCさん。しかし、小・中学生時代はベイスターズの暗黒期。熱心に応援を続ける父を横目にチラチラと気にしながらも、心は離れていた。ところが、高校2年になった2012年、DeNAが運営する新生・ベイスターズが誕生。横浜駅のポスターをはじめ、街中に選手の姿が溢れ出したのに歩を合わせ、ベイスターズが俄然、気になりだしたという。

 2016年シーズンのハマスタ最終戦。9月26日、Cさんはハマスタを訪れる。ファンなら忘れもしないハマの番長・三浦大輔の引退試合の日だ。6回1/3、被安打12、10失点。打たれても打たれても泥臭く投げ続ける三浦の最後の熱投にスタンドは大声援。この一体感と臨場感にやられたCさんはハマスタ観戦のトリコに。2017年シーズンはオープン戦から駆けつけ、野球とともにある日々が始まった。

 野球女子にとって切っても切れないのが、お気に入りのイケメン選手。「最初は顔。『何、カッコいい!』は重要なポイントです!!」とうなずくCさんに、今ホットな選手を聞いてみると「神里(和毅)くん!『何、この濃い顔、イケメン!』って(笑)」とのこと。ちなみにビビビときたCさんを、初対面で神里は先頭打者ホームランでおもてなし。野球女子のハートを射止める王子はさすがです!

 なお、Cさんのお気に入りの席は三塁側の前の方。神里のユニフォームを着て、神里のタオルを肩にはおり、神里が打席に入るや、望遠レンズをつけたカメラで“私だけの神里くん”を写真に収める。神里は左打者のため、この席が絶好のポジションなのだという。ファインダー越しに、いつの日か赤い糸が結ばれてほしいところだが、果たして……。

 ここから後編スタート。まず、ハマスタでの過ごし方を聞いてみた。

「ハマスタに入って座席に着くと『今日はここから』という感じで動画を撮るのが好きなんです。グルっと座席からの360°の全景を写しますね。『今日の記録』として後で見返しますし、インスタにもアップしてます(笑)。それから内野の2階にあるショップにいって、神里くんたちの缶バッジや写真を買って。でも、神里くんの写真は私が撮ったものが一番!」

 おっしゃる通りです(笑)。では、球場観戦ならではの見ていて楽しい風景は?

「練習中での、ほかの球団の選手との絡みです。ヤクルト戦だと、ロペスとツッツ(筒香嘉智)がよくバレンティンとしゃべっていますね。で、そこにつば九郎が絡んできて。あと阪神戦だとウチのマスコットのバートとチャピーがよく大山(悠輔)選手にちょっかいを出しに行ってて。大山選手はしっかりと相手をしてくれるので、見ていてほっこりします」

 大山選手。おつかれさまです! なお、お酒が好きなCさん。最近、お気に入りのハマスタ飯は餃子らしい。餃子に舌鼓を打ち、多い時で3、4杯のビールで喉をうるおす。チケット代、交通費、グッズ代、ビールにハマスタ飯……。1試合の観戦で、けっこうなお金がかかっていますね。

「う〜ん。なんだかんだ8000円くらい使っているかも。最近は、自由に使えるお金はだいぶん野球に振っていますね」

 Cさんはお金だけでなく、自由に使える時間も野球に振っている。ハマスタからの帰路はTwitterで検索して動画をチェック。勝った日にはスポーツニュースと寝るまで野球漬けだ。ただし、負けた日は毎日録画しているスポーツニュースは見られることなくゴミ箱へと直行となる……。

 ハマスタ観戦の日は、テンションを挙げるために誰かしらの登場曲を1日中聴いて過ごすという。

「なかでもテンションが上がるのは宮崎(敏郎)選手の『心絵』。あと今年は東(克樹)くんが投げる日を観ることが多かったので、東くんの登場曲をよく聴きました。東くんはバナナを頬張ってる姿がかわいいなと思っていつも眺めています(笑)」

 なお、観戦できない日もテレビやAbemaTVで試合をチェック。野球漬けの日々は終わらない。

野球女子もじんわり。去りゆく男と後を継ぐ若武者のドラマ

去りゆくレジェンドから未来を担う若者へ。運命の連鎖は続く……


 続いて、Cさんに球場観戦がやめられない理由を聞いてみた。

「あの臨場感、一体感が好きになっちゃって。クセになるというか、ある種の病みつき、中毒になりますね。ヤスアキジャンプ? もちろんしますよ!」

 Cさんが一番の一体感を味わったのは2017年11月1日、ソフトバンクをハマスタに迎えた日本シリーズ第4戦だったという。この試合を落とすとDeNAは1勝3敗。後がなくなる正念場の一戦で、気迫満点の濱口遥大は8回1死までノーヒットピッチと快投。6対0で完勝した。

「あの日はヤバかった。本当にみんなが一体になって戦いましたね」

 球場に行ってみたい! そう思っている野球女子のみなさん、どうですか? この興奮のるつぼを味わってみませんか!?

 では、Cさんがハマスタで見たベストゲームを聞いてみた。

「今年の9月21日、加賀(繁)選手の引退試合(中日戦)。先発した加賀選手が平田(良介)選手を三振に取ってくれて……。その後に投げたのが京山(将弥)くん。代わって最初のバッターだった京田(陽太)くんにホームランを打たれたけど、最後まで投げきって“準完投勝利”。大人になって最初に行ったハマスタで番長の後を継いでマウンドに立ったのが加賀選手。で、私が去年のファームの最終戦を観に行った時に投げていたのが京山くん……」

 去りゆく功労者が若者に未来を託す。野球人生が交錯する。

「番長が去り、その後のマウンドを受けた加賀選手が去り、これからのベイスターズを担う京山くんが登板。こんなに育って……。京山くんが投げ終わった時はじんわりきましたね」

 ちなみに三浦は最後のマウンドでヤクルトの未来を担う廣岡大志に「初打席初ホームラン」を打たれている。ベイスターズの若武者が後を託されれば、相手チームの若武者も黙ってはいない。京山も然り。そんなところにもCさんは運命の連鎖をしみじみ感じたという。

 うーん……。京山選手、そしてベイスターズの若武者諸君(もちろん主力選手も)。近い将来、Cさんを「日本一の風景」のなかに連れていってください!

球場観戦は心にも体にも効用あり!


 Cさんにベストプレーを聞いてみよう。すると、ある一つのプレーではなく、選手の名が挙がった。今シーズン、阪神から移籍してきた大和だ。

「何回、大和選手に助けられたんだろう。どのプレーか選べないほど、助けられるシーンが多すぎて。本当にベイスターズに来てくれてありがとうと思いました」

 大和選手。Cさんとともに筆者も御礼申し上げます!

 ところで大和の補強も含めて、今シーズンのベイスターズは優勝を狙っていたはず。少なくともCS出場は固いかと思われていたが……。

「あと1本っていうタイムリーが本当に出なかった。ここぞという場面でゲッツーだったり、あっさり三振したり」

 野手陣のみなさん、来シーズンはCさんが溜飲を下げるタイムリーをお頼みします。ところで、イケると思われていた自慢の若手先発投手陣は?

「先発に限らず投手陣は……しょうがないです。頑張った。でも、去年に比べて何が起こったんだろう? 今永(昇太)くん、石田(健大)くん、濱口(遥大)くんが去年並みだったら2位には入っていたんだろうけど。でも、最後に濱口くんが復活の兆しを見せてくれたし。来シーズンは番長がピッチングコーチになって投手陣が変わると思うので巻き返しに期待です!」

 今シーズンの反省と来シーズンの展望について語るCさん。最後に1つ「阪神にもう少し勝てるようにしよう」と言い加えた……。

 最後に球場観戦が心と体にもたらす効用を聞いてみた。

「球場に通い出す前とはまったく変わりましたね。試合に勝てば『自分もベイスターズのようにいこう!』、負けたら『明日こそは勝つぞ!』と、毎日頑張ろうって思えます」

 Cさんはベイスターズ、そしてハマスタ観戦にハマって気持ちに張りを得た。そこで球場に通ってみたいけど、ちょっと躊躇してしまっている女性に向けては?

「昔のイメージだと野球場はおじさんしかいなくて、汚い……。でも、今はそんなことはなくて、きれいになっているし、小さな子どもも女性もいっぱいいますよ。だから、迷っているならまずは1回、足を運んでほしいです。そしたらテレビでは伝わりにくい臨場感を味わえるし、なによりカッコいい選手がいっぱいいますよ!」

 野球女子予備軍の皆さん、贔屓のチームのホームグラウンドで野球を観戦しませんか? 間近でイケメン選手がおもてなししてくれるはずです!

 なお、最後に言い忘れたことはと聞くと、Cさんは「私にはツキがあるみたいです。ガールズフェスタというイベントデーで、どの選手のグッズがもらえるかはわからない特典があったんですけど、一発で神里くんを引き当てました。これも運命ですね」。まるで松坂大輔(当時西武/現中日)のあの名言、「自信が確信に変わりました」と似たひと言を口にした。

 イケメン選手も、人生のブルースを背中で鳴らす選手も、日本中の野球場もあなたを待っている。運命の出会いを見つけに球場観戦に足を運んでみよう!

取材・文=山本貴政(やまもと・たかまさ)

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